昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

「祭りの夜(改)」 (十八)

2013-07-09 19:49:01 | 時事問題
(十八)

「助けるんだ、助けるんだ、何としてでも助けるんだ。」

恐ろしい言葉が、やはり友人の口から洩れた。
言って欲しくなかった言葉が、洩れた。

「そうだよね、助けなくちゃね。」

私の口からも、信じられない言葉が出てしまった。
そして体がぶるぶると震えだした。

「なんだい、怖いのかい?」

「そういう君だって、震えてるんじゃないのかい。」

「怖くて当たり前だと思うよ。
でもここで逃げちゃ駄目だ。
勇気だ、勇気がいるんだ。」

しっかりと握られた友人の拳が、その時ほど頼もしく思えたことはなかった。
固く握られた拳にそっと手を添えると
「僕にもその勇気を分けてよ。」と、力を込めた。


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