昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

奇天烈 ~赤児と銃弾の併存する街~ (五)とにもかくにも

2024-10-19 08:00:57 | 物語り

とにもかくにもざっと回覧に目をとおして、廃品回収の日付を確認した。
再来週の土曜日となっている。
そういえば、廃品回収ではにがい思い出がある。
なにが原因だったかは覚えていないけれども、些細なことからだったと思う。
その場をとりしきっていた男と口論となり、廃品の回収をきょひされてしまった。
たの人の取りなしで、持ちかえる事態はさけられたけれども。

以来、持ちだすのをやめた。
おかげで大量の新聞やらチラシがたまってしまった。
ちり紙交換車のアナウンスが聞こえたおりには、なにをおいても外にとびだして探したものだ。
ここではトラブルを起こさぬように、言動には気をつけねばとおのれに言い聞かせている。

「回覧ははやく回してください」と、うるさく言われている。
たしかになにかの行事があったとして、その開催日時後にとどいたのではなんの意味もなさない。
現に、そのようなトラブルが過去にあったらしい。
なので、その足で次の部屋へと回した。
ドアをノックすべきか? と迷ったけれども、出てこられては面倒だと郵便受けにさしこんで引き上げた。

明るいとはいっても、まだ早朝の六時ぐらいだ。
それなのに向かいにたつ棟の窓で、白い洗濯物がかぜにゆれている。
どこの洗濯機なのか、ゴーゴーと音も聞こえてくる。
年寄りの早起き? と思ったが、この団地の中には、若夫婦や中年夫婦も住んでいるはずだ。
いくらなんでも早すぎるのでは? と思うが、触らぬ神に祟りなしだ。

わたしの居るこの五棟だけが、うば捨て山のようにひっそりと年寄り連が居住している。
いや待て。ひっそりと、だと? そんなことはない。
毎日まいにちどこかしらから、幼い子どもたちの歓声が聞こえてくるではないか。
年寄りといえども、いや昨今の年寄りは、とにかく元気なのだ。
わたしにしても毎日の家事には、CDの音楽をながしている。

そうか、このことも、あの「お洒落さん」に関係しているのかも。
ながす音楽では、むかし懐かしいエルヴィス・プレスリーや、六十年代のロックミュージック等が多い。
友人のひとりに「変な奴」と言われるのだけれども、どうにもビートルズが好きになれない。
あのミリタリールックなる、わたしにいわせればへんてこりんな服装はいただけない。
ただ最近になって、気になる楽曲をみつけた。
「ガール(?)」「ミシェル」そして、そしてタイトルの分からぬ「エビナハード」と聞こえる歌が、だ。



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