昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (七) 正直な女性だ

2014-12-20 09:54:13 | 小説
喫茶店から外に出ると、とたんに寒風が二人を襲った。 「うぅ、さぶい。寒いよお、貴子さあん」 別に、意味のある言葉ではなかった。全く、他意はなかったのだ。 しかし貴子は、 「はい、はい。分かったわよ。これでいい? 少しは、暖かいでしょ」 と、彼の腕に自分の腕を滑り込ませた。 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (七) どうだった? ふる里は

2014-12-18 08:50:45 | 小説
テーブルに並べられた二種類のサンドイッチを、二人してパク付き始めた。 「ねえねえ、野菜サンドも食べなきゃだめよ!」 彼がハムサンドに手を出すと、貴子は軽く彼の手をつねった。 「痛てて。もう、母親みたいなこと言わないでよ」 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (七) 区域の変更

2014-12-16 15:57:24 | 小説
伝票を繰りながら、彼は愕然とした。区域の変更が為されていた筈なのに、元の区域に戻っていた。 「あのお、課長。区域が違うんで…」 彼は井上の元に出向き、困った顔つきで尋ねた。麗子の居る区域に戻っていたのだ。デパート側の方針として、半年毎に区域の変更をしていた。 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (六) 武士への無理強いは、だめ

2014-12-13 15:19:19 | 小説
一瞬の事とはいえ、彼の心に過ぎった気持ちだ。 すぐにも打ち消しはしたが、そんな己が忌まわしく思えた。 これから茂作と顔を合わせる度に、居たたまれない思いを抱いてしまうのだと思うと、居たたまれない。 せめてもの罪滅ぼしにと、昨夜は介護の真似ごとをしてはみたものの、二日三日と続けられるようなものではなかった。 . . . 本文を読む

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