道子は、実子との分け隔てなくという思いから、泣き叫ぶ赤児を後目に長男に対する世話を優先した。そんな道子にシゲ子が苦言を呈した。しかし道子は相手にしない。
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孝道の懇意にする産婦人科医の計らいで、孝男・道子夫妻の実子として届けられた。孝男によって、長男と書いてナガオと呼ぶ名前が届けられた。
皮肉なことに、その二年後に次男が授かった。不妊治療に通うことをやめて後の妊娠だった。気持ちに余裕の出来た道子ゆえのことなのか、孝男に「あの金はなんだったんだ」と、嫌味の言葉を受ける道子だった。 . . . 本文を読む
といった苦い経験から、、二人が限界だと言ったのです。「いや」と言うだろうなと覚悟していたと思います。今ならば2時間弱ほどで着くかもしれませんね。でもあの当時だと、多分、時速80キロも出せなかったと思います。ですので、5時間はかかったでしょう。となると、朝の6時に出発したとしてお昼近くでしょうね。 . . . 本文を読む
どうなったか? ですか…。短いものでした。
結局のところ、負けたのでしょう、わたしが。
今なら当然に押し倒しますが、純情無垢だった、あの頃のわたしでは…。
潔癖すぎたのですね、やはり。
青春真っ盛りですから、ある意味、当然の結末といえるかもしれません。
大阪万博
では、大阪万博の話を。
といっても、わたし、結局行っていません。
約束はしたのです、彼女と二人だけで車を駆って出かけようと。
ど . . . 本文を読む
孝男と道子の結婚生活も七年を数えた。
子宝に恵まれぬ二人をよそに、高校三年の定男が、同級の女子生徒を孕(はら)ませてしまった。真剣な思いの二人、卒業と同時に結婚すると宣言した。親同士の話し合いを持ったが、すぐに結論が出るようなことではない。 . . . 本文を読む
激しく首を振る孝男に、道子が冷然と告げた。
「ツグオは、あなたにそっくり。好き嫌いが激しくて、気に入った人間にはとことん入れあげるけど。嫌いだとなると徹底的に排除して。それを相手の人格のせいにするの」 . . . 本文を読む
自宅に戻るやいなや、孝男の怒声が飛んだ。
「道子、ほのかはどこなんだ! そもそも、なんで介護士なんだ。ほのかにはどこでもあるんだぞ。銀行が良ければ入れてやるし、商社が良ければ話をつけてやれる。公務員はどうだったんだ。なんで、なんで、あんな老人のばかりのところに…」 . . . 本文を読む