人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

今日はプッチーニ「トゥーランドット」初演の日 ~ 1926年4月25日 ミラノ・スカラ座で / 三島由紀夫著「文章読本」を読む ~ 三島文学の美学の本質は格調と気品

2020年04月25日 07時23分16秒 | 日記

25日(土)。東京都から外出自粛要請が出ていることから、最近は余程のことがない限り外出を控えているので、1日最低8000歩のノルマがなかなか達成できません 昨日は午前中 整骨院に行き、2か月に1度通っている理髪店に行き、その帰りに巣鴨地蔵通り商店街を散策しながら帰ってきましたが、それでもやっと6800歩でした

幸い理髪店は都の営業自粛対象に含まれていません。リハツな判断と言うべきでしょうか 入口で両手のアルコール消毒を求められました 理髪用の椅子は5つありますが、使っているのは1つおきの3つだけで「バーバー・ディスタンシング」をとっていました 2か月前には想像も出来ない寂しさでした 大通りにある銀行のキャッシュ・ディスペンサーには、建物に入りきれない人たちが「バンク・ディスタンシング」をとって並んでいました 「おばあちゃんの原宿」地蔵通り商店街は毎月4のつく日、4日、14日、24日は縁日で、商店街の道路には所狭しと屋台が並べられ、顔の踏み場もない、もとい、足の踏み場もないほど混雑していますが、昨日 24日は4のつかない日よりも少ない人通りで、思わず美空ひばりの「愛燦燦」を即興で替え歌にした歌を口ずさんでしまいました

  街  閑散と~  この身に沁みて~ 

わずかばかりの  マスク買えずに  恨んだりして~ 

コロナは  くやしい  憎らしいものですね~ 

それでも  客たちは マスク求めて歩く~ 

人生って  空しいものですね~   

笑いごとではありませんぞ

ということで、わが家に来てから今日で2033日目を迎え、トランプ米大統領は23日の記者会見で、CNNが報道した北朝鮮の金正恩委員長の健康不安説について「フェイクニュースだ」と語った  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     金委員長から受け取ったという「素晴らしい書簡」はどんな内容だったのかな?

 

         

 

昨日、夕食に「鶏の唐揚げ」を作りました いつものように栗原はるみ先生のレシピによる「うまみ醤油」に漬け込んだ鶏もも肉を揚げたので、とても美味しかったです

 

     

 

         

 

昨日はプッチーニのオペラ「トゥーランドット」が初演された日です この曲はジャコモ・プッチーニ(1858‐1924)が1921年から24年にかけて作曲しましたが、第3幕の途中でプッチ―二が死去したことから未完に終わりました 第3幕後半は弟子のフランコ・アルファーノが草稿に基づいて補筆・完成、1926年の4月25日、ミラノ・スカラ座でアルトゥーロ・トスカニーニの指揮により初演されました

この曲が日本で脚光を浴びるようになったのは2006年のトリノ・オリンピックの時でした 開会式でルチアーノ・パヴァロッティがこのオペラの第3幕冒頭のカラフのアリア「誰も寝てはならぬ」を歌い、フィギュア・スケートで荒川静香がその曲に乗って演技して優勝した時です イナバウアー、懐かしいですね

ところで、このオペラは 伝説の時代の北京が舞台で、放浪の王子が絶世の美女トゥーランドット姫に魅せられ、姫が出す3つの謎に挑戦するというストーリーですが、3つとも正解なら結婚、1つでも外れたら斬首という 姫に圧倒的に有利な条件設定になっています   姫はよほど結婚したくないようです

突然ですが、ここでクイズです 姫が出した3つの謎は次の通りですが、それぞれ 答えは何でしょうか

【第1問】 暗い夜に虹色の幻影が飛んでいる。それは暗い人類の無限の上に翼を広げ昇っていく。人はみなこれに祈り、人はみなこれに憧れる。しかしその幻影は人の心に蘇るために夜明けには消えてしまう! そして夜ごとに生まれ そして日ごとに死ぬ!

【第2問】 炎のように揺らめきながら炎ではない! 時には我を忘れることもある! 激しい熱を持って燃え上がる時もある! しかし、安逸がそれを無気力に変える時もある! もしも打ちのめされたり、死んだりすれば冷たくなってしまう! もしも勝利を夢見る時は燃え上がる。その声は微かにお前に聞こえるだけ! そして、それは夕陽の輝きのように煌めくのだ!

【第3問】 氷はあなたに火を与え、その火からさらに冷たい氷を得る! 純白で暗い! もしも彼女があなたを自由にしたいと思えば奴隷にするだろう。もしもそれを受け入れるなら、彼女はあなたを国王にするだろう! 火と変わる氷は何か?

(答えはこのブログの最後にあります)

 

         

 

三島由紀夫著「文章読本」(中公文庫)を読み終わりました 三島由紀夫は1925年東京生まれ。学習院高等科を経て東京帝国大学法律学科を卒業。在学中に処女創作集「花ざかりの森」を刊行。1947年大蔵省に入り、翌48年退官。1949年に刊行した「仮面の告白」で名声を確立し、以後、文筆活動に専念する 「潮騒」で新潮社文学賞、「金閣寺」で読売文学賞を受賞など数多くの文学賞を受賞 1968年「楯の会」を結成し、1970年自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決

 

     

 

この本は、「婦人公論」昭和34年1月号の別冊付録の形で刊行されたものを同年6月に中央公論社から単行本として刊行、さらに昭和48年8月に中公文庫として刊行したものです

この本は次の8章と質疑応答から構成されています

第1章「この文章読本の目的」

第2章「文章のさまざま」

第3章「小説の文章」

第4章「戯曲の文章」

第5章「評論の文章」

第6章「翻訳の文章」

第7章「文章技巧」

第8章「文章の実際ー結語」

附   「質疑応答」

三島由紀夫がこの本を書いた目的は第1章「この文章読本の目的」の中で明確に書かれています 三島はアルベール・チボーデの用語を借りて、文学の読者を「普通読者」と「精読者」の2つに分類し、これまで普通読者(小説といえば何でも手当たり次第に読むような者)だった人々を精読者(本当に小説の世界を実在するものとして生きていくほど、小説を深く味わう読者)に導くのが自分の役割であると宣言しています その上で、第2章以降、文章の種類やその表現方法などについて具体例(著名な作家の作品など)を交えながら解説しています 言わば、これから作家になりたいという人に向けた実用的な文章入門書として書いたということです

私自身としては、別に作家になろうという大それた気持ちはなく、少しでも豊かな文章表現ができるようになればいいなと思って購入したのですが、内容的には大学の文学部あたりで習うような高度なもので(もっとも、文学部の授業を聴講したことがないので、本当のところは分かりませんが)、読むのに相当苦労しました

そんな中、気になった文章をいくつかご紹介します

第3章「小説の文章」の中で、三島は「良い文章」のお手本として森鴎外の「寒山拾得」と泉鏡花「日本橋」の一節を抜粋して紹介しています 無教養な私はいずれも読んでおりませんが、三島は「鴎外の文章は短編小説の文章であり、鏡花の文章は長編小説の文章だ」と書いています。これを読んだ私は、「これはクラシック音楽にも共通するのではないか」と思いました 例えば、モーツアルトのピアノ・ソナタやベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタなどを聴くときは、「それほど長くはかからない音楽だ」と思う反面、マーラーやブルックナーなどの交響曲を聴くときは、「この楽章だけで30分位はかかりそうだ」とか思います これは私が実際にそれらの曲がどのくらいの演奏時間を要するかを経験から知っているからではなく、作品そのものに内在しているものだと思います 文学に言い換えれば、モーツアルトやベートーヴェンは短編小説の音楽であり、マーラーやブルックナーは長編小説の音楽であるということです

第5章「評論の文章」の中で、三島は「評論家は、いわゆる文体を作ることがなかなかできませんでした しかし一人の天才が日本における批評の文章というものを樹立しました」として、小林秀雄を紹介しています。そして、「小林秀雄の文体の特徴は、ヴァレリーと同じようにあくまで論理的でありながらも、日本の伝統の感覚的思考の型を忘れずに固執したという強さであります」と書いています そして、最後に「美の前には 沈黙しかない」という小林秀雄の「モオツァルト」の有名な一節を紹介しています 新潮文庫「モオツァルト・無常という事」はこれまで何冊買って何冊捨てたか思い出せまん 気になったフレーズに線を引き、それを捨て、また新しい本を買って線を引き、それを捨て、ということを繰り返してきました 線が残っていると、新鮮な気持ちで読めなくなるからです 私にとってこの本はモーツアルトを聴く時のバイブルでした

 

     

 

第8章「文章の実際ー結語」の中で、三島は「私はブルジョワ的嗜好と言われるかもしれませんが、文章の最高の目標を、格調と気品に置いています 例えば、正確な文章でなくても、格調と気品がある文章を私は尊敬します」とし、「具体的に言えば、文章の格調と気品とは、あくまで古典的教養から生まれるものであります そうして古典時代の美の単純と簡素は、いつの時代にも心をうつもので、現代の複雑さを表現した複雑無類の文章ですら、粗雑な現代現象に曲げられていないかぎり、どこかでこの古典的特質によって現代の現象を克服しているのであります 文体による現象の克服ということが文章の最後の理想であるかぎり、気品と格調はやはり文章の最後の理想となるでありましょう」と結んでいます

格調も気品もない駄文を書き綴っている私にはキツイ「結語」ですが、それが三島文学の美学なのだと思います

         

【クイズの答え】①希望、②血潮、③トゥーランドット姫

オペラ好きの方には簡単でしたね

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