19日(日)。昨日、高田馬場の早稲田松竹で映画「バグダット・カフェ」と「ブリキの太鼓」の2本立てを観ました 今日は1987年制作の西ドイツ映画「バグダット・カフェ」について書きます
物語はラスヴェガスとロサンゼルスの間に位置するハーヴェ砂漠の路上で、西ドイツから旅行にやってきた夫婦の口喧嘩から始まります 言い争いの末に妻のジャスミンは、車を降りて一人トランクを引きずって目的もなく歩き始めます。やがて道路脇にわびしい姿で現れたカフェ兼モーテル「バグダッド・カフェ」にたどり着き、宿泊を申し込みます
喧嘩をして夫を家から追い出した女主人のブレンダは、いつも不機嫌で店員や子どもたちに当たり散らしています 息子は、店に客がいようがいまいがピアノでバッハをつっかえながら弾いているし、娘はボーイフレンドたちと遊び歩いています。店員はあまりやる気が無さそう そんな家族バラバラの荒れた状態の中で、ジャスミンは家族の一人一人に少しずつ自分の存在を認めさせていきます いつも不機嫌なブレンダさえも心を開いていきます ジャスミンは旅行鞄に入っていた「手品セット」をマスターして、カフェの連中に披露すると、トラック運転手などに評判が伝わり、彼女の手品目当てでやってくる客で店は繁盛するようになります しかし、保安官から「不法滞在」として退去命令が出され帰国します 辛い別れの後、数年後?ジャスミンは再びバグダッド・カフェにやっきて、カフェは活気を取り戻します
最初に出てくる2組の夫婦の喧嘩のシーンを観ている時は、いったいこの物語はどうなってしまうのだろうか、と不安を感じていました 女性陣ときたら片や太ったドイツ人女性だし、片や怒りっぽい黒人女性だし・・・・・・ところが、ジャスミンがブレンダの仕事部屋が余りにも汚いので勝手に掃除をしてブレンダの反感を買うあたりから俄然面白くなってきます 最後には女同士、離れがたい友情で結ばれます
さて、音楽の話です ジャスミンが、ブレンダの息子が弾くバッハの「平均律クラヴィーア曲集第1巻」の第1番「プレリュードとフーガ」を目をつぶって聴いている時、突然ブレンダがやってきて「うるさい!お客がいる前で弾くのは止めなさい!」と叱ります それに対し、息子は「この人(ジャスミン)にはこの音楽が判るんだよ」と言って反論します。息子が「どこの国の人なの?」と尋ねるとジャスミンは「ドイツ人よ」と答えます。すると「なるほど、そうだよね」と言ってピアノの前の壁を見上げます。そこにはJ.S.バッハのあの有名な肖像画が掲げられています。言うまでもなくバッハはドイツ出身の作曲家ですね
今回上映されたのは、1987年制作のオリジナル版を、パーシ―・アドロン監督自らが2008年に再編集、すべてのカットの色と構図を新たに調整し直した「ニュー・ディレクターズ・カット版」によるものということです 上映時間は109分。早稲田松竹で1月24日(金)まで上映中。とても良い映画です。お薦めします
という訳で、バッハの「平均律」を聴きたくなりました CD棚から取り出したのはイギリスのピアニスト、アンジェラ・ヒューイットの1997年~99年に録音されたCDです。ヒューイットは、この演奏もそうですが1990年代にはスタインウェイのピアノを弾いていましたが、2000年代に入ってからはイタリアの小さなピアノ・メーカー、ファツォーリのピアノで弾くようになりました
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