人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

仲道郁代の弾き振りでモーツアルト「ピアノ協奏曲第20番」、「同第21番」を聴く

2013年02月18日 07時00分06秒 | 日記

18日(月)。昨日、サントリーホールで仲道郁代の「オール・モーツアルト・プログラム」コンサートを聴きました プログラムはピアノ独奏で①キラキラ星変奏曲ハ長調K.265、②ピアノ・ソナタ第11番イ長調”トルコ行進曲付K.331”、仲道の弾き振りで③ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467、④同第20番ニ短調K.466です

 

          

 

自席は1階20列29番と、かなり後方の右サイドです。会場は9割方埋まっているでしょうか 拍手に迎えられて仲道郁代が上がゴールド、下が白のドレスで登場、マイクを持ってあいさつします

「今日はお越しいただきありがとうございます。いつもと違って、ご覧のようにピアノに蓋がありません。蓋がないなんて、ミもフタもない話ですが(会場)。蓋を外さないと、指揮をしながらピアノを弾くのにオーケストラの人たちが見えないのです。いつもは蓋が反響板になって前に音が出ていくのですが、今日は上に向かって出ていきます。最初はピアノ・ソロの曲なので蓋をしたまま演奏しても良いのですが、協奏曲になったときに皆さまが戸惑うといけないので、最初から外して演奏します

”ミもフタもない話”のシャレには思わず笑っちゃいましたが、ユーモアは人気ピアニストの条件でもあるのでしょうね もっとも、蓋のないピアノは”ミもフタもない”のではなく、フタはないけれど(ドレミの)ミはあります。ピアノですから

そして、曲の解説をしてから「きらきら星変奏曲ハ長調K.265」を軽やかに演奏しました 次いで2曲目の「ピアノ・ソナタ第11番イ長調K.331」について次のように解説し演奏に移りました

「モーツアルトの曲は日本では明治時代に入ってきて、現代まで同じ演奏解釈が受け継がれてきましたが、モーツアルトの時代に今のような弾き方をしていたとは限りません その後、モーツアルトの時代の演奏が研究されました。今日はその研究に則って弾きます。第3楽章のトルコ行進曲の部分はいつもと違うと思います。お聴き下さい

なるほどトルコ行進曲のリズムがいつもと違います。ちょっとひっかかるというか、音符が多いような気がします

次に演奏するピアノ協奏曲の弾き振りについて解説します

「指揮をしながらピアノを弾く、弾き振りは、もっとおばあちゃんになって、”巨匠”と言われるようになってからチャレンジしたいと思っていたのですが(会場)、思わぬことから実現することになりました。皆さんに背中を向ける形で指揮をしながらピアノを弾きます。モーツアルトの協奏曲は2011年末にゲルハルト・ボッセ先生と神戸市室内合奏団と共演する予定だったのですが、先生が体調を崩され、その後死去されたことから急きょ私が弾き振りすることになりました そのようなきっかけを作ってくださったボッセ先生に捧げるつもりで演奏したいと思います

オーケスラのメンバーが登場しスタンバイします。ピアノを中央にして、左に第1ヴァイオリン、チェロ、右にヴィオラ、第2ヴァイオリンが向かい合う対向配置をとります コンマスは女性です。そして仲道郁代の再登場です。弾き振りをするためでしょう、髪の毛を後ろで軽く束ねています

ピアノ協奏曲第21番が始まります。仲道の右手に注目が集まります。ン?あれは何だ 指揮棒というより箸のように短い棒です。仲道が指揮棒を振ると、箸で納豆をかき混ぜているような・・・・・・弾き振りのための苦肉の策なのでしょう

仲道は時にピアノに集中し、時に右手でピアノを弾きながら左手で指揮をし、時に立ちあがって両手で各楽器に合図を送ります 指揮をするときは身振り手振りを大きくしてオーバー・アクションを取ります見ていて、ちょっとせわしない感じがしなくもないのですが、懸命にモーツアルトに対峙する姿は美しくあり頼もしくもあります

オケの神戸市室内合奏団は個々人の演奏レベルが相当高いと思います 管楽器もいいし、弦楽器のアンサンブルも美しく響きます。次のピアノ協奏曲第20番でも、仲道の弾き振りのスタイルは変わらず、懸命に単調のモーツアルトに対峙していました デモーニッシュな演奏まではいま一歩だったと思いますが、それでもモーツアルトの魅力が十分に伝わってくる素晴らしい演奏でした

会場溢れんばかりの拍手とブラボーに、楽器セクションごとに立たせて賞賛し、首席と握手をして、舞台の前後左右の声援に応えました そして、聴衆との再会を祈ってエルガーの「愛のあいさつ」を愛情を込めて弾きました

とても気持ちの良い楽しいコンサートでした クラシック・コンサートというと、演奏者が黙って出てきて演奏して、終わるとニコニコして、はいさようならという硬いイメージがありますが(実際その通りなのですが)、演奏前に演奏する曲や演奏する気持ちを聴衆に語りかけることによって、少しでも距離を縮めようとする努力はもっとあっても良いのかも知れません 

ロビーには主催者側だけでなく芸能人からの花束がいくつか飾られていて、彼女の交友関係の広さを物語っていました また当日配られたチラシ類を見るとファン・クラブがしっかりしていて、企画力もあり、動員力もあることが伺えます そういうバックボーンのあるピアニストは決して多くないでしょう。もちろん本人の努力あっての人気だとは思いますが、幸せなピアニストです。これからも、きっとクラシック・ピアノ界のセンターを歩んで行く人だと思います。中道行くよ

 

          

 

 

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諏訪内晶子、ウィスペルウェイ、江口玲でブラームスとメンデルスゾーンの「ピアノ三重奏曲」を聴く

2013年02月17日 07時13分21秒 | 日記

17日(日)。昨日、横浜みなとみらいホールでヴァイオリニスト諏訪内晶子が主宰する「国際音楽祭NIPPON」のフィナーレを飾る「アンサンブル・コンサート」を聴きました 午後のコンサートは通常2時か3時、あるいは夕方6時か7時の開演が多いのですが、4時の開始です。主催者側に4時にこだわる何らかの理由があったのでしょう

ホール入口近くに諏訪内晶子が1990年にチャイコフスキー国際コンクールで優勝した時の写真が何枚か飾られていました 当時彼女は18歳でした。あれから23年も経ってしまったとはとても信じられない想いです 優勝した本選の模様を収録したレーザーディスクを持っていたのですが、LDプレーヤーが故障したため涙ながらに手放しました

さて、この日のプログラムは①ブラームス「ピアノ三重奏曲第1番ロ長調」、②ラヴェル「ヴァイオリンとチェロのためのソナタ」、③メンデルスゾーン「ピアノ三重奏曲第1番ニ短調」の3曲ですが、②のラヴェルは後から追加されたプログラムです 演奏はヴァイオリン=諏訪内晶子、チェロ=ピーター・ウィスぺルウェイ、ピアノ=江口玲です

 

          

 

自席は1階C8列10番と、かなり前の席で、演奏者の表情が良く見える位置です 2020人収容のホールは9割方埋まっている感じです。このホールは開演の合図がドラの音です。いかにも中華街を擁する横浜のホールらしい”音の顔”です 会場後方にはNHKのカメラが数台構えています。いずれ録画放送するはずです

黒のドレスに身を包まれた諏訪内がウィスペルウェイ、江口とともに登場します 彼女はスタイルがいいのでファッション・ショーから抜け出てきたような雰囲気です

1曲目のブラームス「ピアノ三重奏曲第1番ロ長調」は、ブラームスの中で一番好きな曲です まず江口のピアノが第1主題をゆったりと奏で、次いでウィスペルウェイのチェロがふくよかな調べを奏でます。この時、思わず背筋が寒くなりました さらに諏訪内の温かいヴァイオリンが入ってきて3者のアンサンブルが続きます 何と感動的な音楽、何と詩情あふれる演奏でしょうか 理想のテンポで理想のブラームスが目の前で演奏されている喜びに浸りました

何年か前、韓国のチョン姉弟のトリオ(指揮者チョン・ミュンフンのピアノ、上の姉チョン・ミョンファのチェロ、下の姉チョン・キョンファのヴァイオリン)による演奏でこの曲を聴きましたが、あまりにもテンポが速すぎて、意識が着いていけなかったのを思い出しました チョン・ミュンフンはチャイコフスキーコンクール・ピアノ部門の入賞者ですが、ピアニストよりも指揮者としての彼の方がいいな、と思いました

第3楽章のアダージョをこんなに感動的に演奏したのを聴いたことがありません チェロが良く歌い、ヴァイオリンが絡み、ピアノが支えます

15分の休憩にホワイエに出ましたが、収容人数2020人のホールにしては狭いような気がしました2006人収容のサントリーホールのホワイエがさほど狭く感じないのは多分、奥行きがあるからではないか、その点、みなとみらいホールは横に長い代わりに奥行きがないからではないかと思いました。気のせいかもしれませんが

休憩後に追加されたラヴェル「ヴァイオリンとチェロのためのソナタ」は4つの楽章から成るソナタですが、時にバルトークのような曲想が見え隠れした面白い曲でした 第3楽章の冒頭はチェロが厳かに演奏しますが、メロディーがまるで「君が代」なのでました。

さてトリはメンデルスゾーン「ピアノ三重奏曲第1番ニ短調」です。作曲者36歳の時の作品ですが、モーツアルトの短調の曲に倣って言えば”疾走する哀しみ”と表現するのが相応しい曲想です 第3楽章「スケルツォ」はメンデルスゾーン特有の主題が軽快に”駆け巡る”曲想です そして第4楽章「アレグロ・アッサイ・アパッショナート」で華やかにフィナーレを飾ります。何とも見事なアンサンブルです

今年はまだ19回しかコンサートに行っていませんが、その中ではダントツの第1位です

 

          

          

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ディドナートvsヒーヴァー・女王対決~METライブビューイング「マリア・ストゥアルダ」を観る

2013年02月16日 07時02分09秒 | 日記

16日(土)。昨日の日経朝刊に「ウォルフガング・シュルツ公演中止」のお知らせが載りました 記事によると、3月5日に日経ホールで開催予定の日経ミューズサロン「ウォルフガング・シュルツ フルート・リサイタル」は、出演者が病気のため中止とし、代替公演として彼の息子でウィーン国立歌劇場管弦楽団フルーティストのマティアス・シュルツを迎えて、予定プログラムのまま開催するとのことです 非常に残念ですが、仕方ありません。払い戻しにも応ずるそうですが、名門オーケストラに所属するシュルツ2世の演奏を聴いてみたいと思うので、キャンセルしないで聴きに行こうと思います それにしても”病気のため”っていったい何の病気でしょうか。まさか、最初から息子に演奏させることを予定していた訳じゃないと思うけど ”主役急病”の代演でチャンスを掴んで世に出たアーティストも少なくないですから、そういう点で期待するところもありますね

 

   閑話休題  

 

昨日、新宿ピカデリーでMETライブビューイング、ドニゼッティ「マリア・ストゥアルダ」を観ました これは今年1月19日に米メトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像ですが、MET初上演とのことです

キャストはマリア・ストゥアルダ(スコットランド女王メアリー・スチュアート)にジョイス・ディドナート(メゾソプラノ)、エリザベッタ(イングランド女王エリザベス1世)にエルザ・ヴァン・デン・ヒーヴァー(ソプラノ)、レスター伯爵ロベルトにマシュー・ポンザレー二(テノール)、タルボット卿(タルボ)にマシュー・ローズ(バス)、セシル卿にジョシュア・ホプキンス(バリトン)、ハンナ・ケネディにマリア・ジフチャック(メゾソプラノ)他、マウリツィオ・ベニーニ指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団、演出はデイヴィッド・マクヴィカ―です

台本はドイツの文豪シラーの戯曲「マリア・ストゥアルト」を元にしています。シラーは、実在したスコットランド女王メアリー・スチュアート(マリア・ストゥアルダ)とイングランド女王エリザべス1世(エリザベッタ)をめぐる史実を”女同士の闘い”に焦点を当てた一大悲劇として描いています

 

          

 

このオペラの一番の見どころは第2幕のマリアとエリザベッタの対決場面です レスター伯爵ロベルトは、女王エルザベッタに許しを乞うようにマリアを説得します。はじめは跪いて慈悲を求めていますが、エリザベッタの高慢な態度に我慢が出来なくなり「いやしい私生児の娘」とののしってしまいます 怒ったエリザベッタはマリアを捕えます。この”女王対決”シーンは2人の歌手の迫力ある歌と迫真の演技が素晴らしく、目が離せません

ジョイス・ディドナートは米カンザス州出身で1998年にプロ・デビューしたMETの看板メゾソプラノの一人です。今回のような悲劇のオペラを歌っても、モーツアルトの歌劇のような喜劇を歌っても、非の打ちどころのない素晴らしい歌声を聴かせてくれます 今回のマリア役でも、第1幕の前半こそ出番はなかったものの、それ以降はアリアに次ぐアリアで、しかもゆったりと息を伸ばす曲なので、非常に難しいと思うのですが、どのアリアも完ぺきに歌い上げていました 最近ではクラシック界で初めてグラミー賞(第54回)を受賞しています

一方、エリザベッタ役のヒーヴァーは南アフリカ・ヨハネスブルク出身(珍しい!)の若手歌手で、今回がMETデビューです エリザベッタ役を引き受けるに当たり、頭を剃って坊主にして臨んだという意欲的なソプラノです 幕間のインタビューでD.ヴォイトから「演出のマクヴィカ―から役作りについてどんな指導があったの?」と訊かれ、「私が女王らしく振る舞おうとすると『そうじゃない、もっと横柄な態度で』と言われました 女王なんだから『優雅さは?』と訊くと、『そんなものは必要ない』と言われましただから、そういう風に振る舞うことにしました」と答えていました。ヴォイトは「あなたって、演出家にとって理想の歌手ね」と褒めていました。力強い歌声のソプラノで、マリアに対するイジメ役に徹していました。しかし、一旦、役を離れてインタビューに答える彼女は本当に明るくチャーミングな女性です

男性陣もボレンザー二をはじめ歌も演技も素晴らしかったのですが、何しろ2人の女王が圧倒的な存在感で、完ぺきに打ちのめされた感じです

是非お薦めしたいのですが、「マリア・ストゥアルダ」の上映は昨日で終了しました あとはアンコール上映を祈るばかりです。次のMETライブビューイングはヴェルディの「リゴレット」で、3月9日(土)から15日(金)まで、東京では新宿ピカデリー、東銀座の東劇ほかで上映されます。16世紀の舞台を、1960年代のラスベガスに移した新演出で上演するとのことです。さて、どうなりますか

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ホロヴィッツの弾いたスタインウェイで演奏~永富彩ピアノ・リサイタルを聴く

2013年02月15日 07時00分03秒 | 日記

15日(金)。昨日の日経朝刊「東京・首都圏経済欄」に「渋谷公会堂建て替え 耐震補強から一転 区庁舎と同時検討」という記事が載りました 記事を要約すると、

「渋谷区は、東京オリンピックが開かれた1964年に完成し老朽化が進んでいる区庁舎と渋谷公会堂の建て替えを検討する 建て替えには200億円以上かかる見込みだが、敷地の一部を定期借地権マンション用に貸し出して資金源とし、区の財政支出を押えた上で、2015年にも着工する

渋谷公会堂といえば、大学2~3年のころに通った「團伊玖磨ポップスコンサート」を思い出します テレビ番組の公開録画のためのコンサートで、ハガキで応募して当たると招待券が届くというものでした。大学の友人に誘われて何度か聴きに行きましたが、團氏が進行役と指揮者を務め、クラシックに限らずポピュラーな音楽も演奏していました 毎回コンサートの最後には同氏が作曲した”花の街”という歌を全員で合唱したものです クラシックを聴き始めるきっかけとなったモーツアルトの「フルート協奏曲第2番」を知る前のことでした そんな思い出深い渋谷公会堂が建て替えられると聞いて、時の流れとはいえ、ちょっぴり寂しくもあります

 

 閑話休題  

 

昨夕、東京文化会館小ホールで永富彩のピアノ・リサイタルを聴きました プログラムは前半がグリーグ、ショパン、リスト、スクリャービンで、後半がスカルラッティ、ラフマニノフ、ラヴェルです

 

          

 

自席はK列18番でやや左サイドですがかなりいい位置です しかし通路側ではないし、前の座席との間が狭いので窮屈な感じです。古いホールの唯一の欠点といえましょう 会場は300人位の入りでしょうか。小ホールにしては入っている方だと思います

舞台中央には、伝説のピアニスト、ウラディミール・ホロヴィッツが弾いたというスタインウェイ”CD75”が鎮座しています 一目見て、古いという印象です。現代のピカピカに黒光りしたグランド・ピアノに比べるとくすんでいて、それが逆に魅力になっています

ピアニストの永富彩は1986年生まれといいますから、あの萩原麻未と同じ年です 2005年9月からハンガリー国立リスト音楽院に留学、ジョルジュ・ナードル氏に師事しました

ゴールドの衣装に身を包まれた永富が登場します 小柄できゃしゃな感じですがシンの強そうな印象です。ピアノに向かい、頭をゆっくり回してから、おもむろに両手を鍵盤に持っていきます。それが彼女の演奏前の”儀式”なのかも知れません

1曲目のグリーグ「抒情小品集~春に寄す」は静かで良い曲です。永富のピアニッシモは美しいですところが、2曲目に入ろうとするとき、2人の遅刻者がコツコツと足音を立てて入ってきて着席しました。背中でその気配を感じた永富はしばし演奏に移れませんでした こういう傍若無人の非常識なヤカラがいると回りが不愉快になります もちろん演奏者に対して大変失礼です 二度と来るなと言っておきます

2曲目のグリーグ「抒情小品集~ノクターン」も静けさが身に染みる良い曲です。ここで一旦立ち上がって拍手を受けます

3曲目と4曲目はショパンです。まず「幻想即興曲」を鮮やかに弾きます。次いで練習曲”革命”を息もつかせぬ速さで駆け抜けます そして、英雄ポロネーズを堂々と演奏します ここで一息、リストの「コンソレーション第3番」を穏やかに奏で、気分を取り直してスクリャービンのエチュードから3曲(嬰ハ短調、嬰ニ短調、詩曲”焔に向かって”)を一気呵成に弾き切ります

どうも席が狭苦しいので、後半は空いている後方の席(0列16番)に移ることにしました

後半の最初はスカルラッティのソナタ「ロ短調」と「ホ長調」です。とくにホ長調の方は馴染みのある軽快な曲です 次いでラフマニノフの「絵画的練習曲”音の絵”」からハ長調、変ホ長調、イ短調、ニ長調の4曲を力強く演奏、次いで「ヴォカリーズ」を詩情豊かに奏でます

最後にラヴェルの「ラ・ヴァルス」を圧倒的なテクニックで色彩感豊かに弾き切りました。それにしても良くスタインウェイを鳴らしていました

会場一杯の拍手に、永富はマイクを持って、

「きょうはリサイタルにお出でいただきありがとうございました 東京文化会館は小さい頃からの夢の舞台でした。生まれて初めて観たオペラは東京文化会館の大ホールでしたし、その後も何度かオペラを観に来ました。今回、歴史のある東京文化会館小ホールで、今までで一番楽しく演奏できて良かったと思っています それでは、リストの”愛の夢”を演奏します

とあいさつし、演奏に入りました。ロマンティックな中にもシンのある演奏でした

それでも拍手が鳴り止まなかったので、永富は再びマイクを持って登場し、

「準備していなかったのですが、大好きなリストの”ラ・カンパネラ”を演奏します

と言って超絶技巧曲を見事に弾き切りました 初めて永富彩のピアノを聴きましたが、弱音は綺麗で遠くまで届き、最強音も濁ることなく美しく響きました。永富彩・・注目のピアニストです

          

 

  も一度、閑話休題  

 

ちょうど2年前の2月15日にこのtoraブログを立ち上げました 時の流れの速さを痛感する今日この頃です。自分の記録のために2年間の”中間決算”を書いておきたいと思います

①最近1週間(2/3~9)の確定合計訪問者数     2,357 IP(1日平均337 IP)

②    〃            確定合計閲覧数    5,822 PV(1日平均831 PV)

③    〃      確定goo blogランキング  1,991位/182万2,891ブログ

④2年間(11.2/15~13.2/14=730日)の合計訪問者数  171,429 IP

⑤     〃                      合計閲覧数   542,536 PV 

⑥     〃                      合計投稿回数        791回

⑦2年間のうち投稿しなかった日数            1日(2011年3月17日)

                   

ちなみに、1年前(12.2.15)の記録を見ると次のようになっていました(ブログ開設1年後)

①1年間の確定合計訪問者数    68,556 IP

②  〃  確定合計閲覧数    206,014 PV

③  〃  確定合計投稿回数        423回

④  〃  確定goo blogランキング 4,668位/168万3,580ブログ

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三浦章宏 vs ヴィヴィアン・ハーグナー~ブラームス「ヴァイオリン・ソナタ」ほかチケット入手

2013年02月14日 07時00分19秒 | 日記

14日(木)。昨夕、テナントFのH氏を招いて、当社4人と地下のRで飲みました もちろん仕事上の話が中心でしたが四方山話に花が咲きました。ビール 試飲の焼酎2種類 日本酒 を立て続けに飲んで相当酔いが回ったところで、X部長とタクシーで上野に向かった、と思うでしょう?・・・・・・ところがどっこい・・・・・・その通りです。どうしてこう意志が弱いんでしょうか もちろんカラオケ歌合戦を繰り広げたのですが、当社某氏から「カラオケで90何点を出したとかブログに書かない方が良いのではないか ほかの店では同じ機械でもそんなに高い点数は出ない。いかにも歌が上手かと勘違いするされるからやめた方が良い」という指摘を受けました。私は他のカラオケ・スナックには行かないため「井の中の蛙」状態なので、犯人の要求に屈して点数は書かないことにしました。94点でしたけど

 

  閑話休題  

 

昨日の日経朝刊スポーツ面に米大リーグ、ヤンキース所属のイチロー選手のインタビュー記事が載っていました イチローは1992年から2000年までオリックスに所属、その後、2001年に米マリナーズに移り11年以上活躍し、さらに昨年からヤンキースに移籍して活躍しています

日米通算(21年)で2862試合出場し、11,704打数3,884安打、打率3割3分2厘、222本塁打、1,189打点、452盗塁という輝かしい記録を打ち立てています 今年10月には40歳を迎えますが、日本の野球界では40歳が定年のように言われていることについては「理解に苦しむ」と語っています

習慣の異なる勝負の世界で意識してきたことを問われ、次のように語っています

「今はまだ色紙に一言と言われても書けない。大切にする姿勢や哲学はあるが胸を張って一言残せるほどの自分ではない 偉人の言葉を引用する年配の方がいるが、あれはダサいと思う 拙い表現でも将来自分の言葉で伝えられたらなと思う。しかし結局、言葉とは『何を言うか』ではなく『誰が言うか』に尽きる。その『誰が』に値する生き方をしたい

さすがはイチローだと思います。不断の努力によって強靭な体力を維持し進化を続けています 「言葉とは『何を言うか』ではなく『誰が言うか』に尽きる」ということについては、評論家・小林秀雄が何かのエッセイで書いていたように思います。小林秀雄を主人公にして言い換えれば、「同じ絵を見て『美しい』という言葉を小林秀雄が言うのと、どこかのオジサンが言うのとは意味合い、重みが違うということです。もっとも、彼は「本当に美しいものを観た時は言葉を失う」と言っていますが

 

  閑話休題  

 

先日チケットを3枚買いました 1枚は4月6日(土)午後6時から東京文化会館小ホールで開かれる三浦章宏&清水和音の「ブラームス ヴァイオリン・ソナタ全曲リサイタル」です ブラームスの第1番から第3番までのヴァイオリン・ソナタが演奏されます。三浦章宏はご存知の通り東京フィルのコンサートマスターです。一方、清水和音は1981年のロン・ティボー国際コンクールピアノ部門優勝者です。男同士のブラームスに期待します

 

          

 

2枚目は4月29日(月・祝)午後2時から紀尾井ホールで開かれる「伊藤惠ピアノ・リサイタル」です プログラムは①ブラームス「シューマンの主題による変奏曲」、②シューベルト「4つの即興曲作品90」、③ショパン「24のプレリュード」です。男まさりのブラームスを期待します

 

          

 

3枚目は6月18日(火)午後7時から紀尾井ホールで開かれるヴィヴィアン・ハーグナー「ヴァイオリン・リサイタル」です プログラムは①シューベルト「ヴァイオリンとピアノのためのロンド」、②リスト「悲しみのゴンドラ」、③同「協奏的大二重奏曲」、④ブラームス「ヴァイオリン・ソナタ第1番」、⑤同「ハンガリー舞曲集」より。ピアノは高橋礼恵です。女同士のブラームスに期待します

 

          

 

別に意図したわけではないのですが、すべてのコンサートにブラームスが入っていました モーツアルト、マーラー、ベートーヴェン、バッハに次いで好きな作曲家と言っても良いかも知れません

 

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新日本フィル・トリフォニーホール定期会員2013-2014継続へ

2013年02月13日 06時59分33秒 | 日記

13日(水)。昨日の北朝鮮の3回目の核実験にはました。織田雄二ではありませんが「来たぁー挑戦!」と叫びそうになりました 核実験をやってもいいか?と問われれば「NOす、懲りや!」と答えたくなります 「人は、生まれる国と生まれる時代を選ぶことが出来ない」と言われますが、飢える国民をないがしろにしてミサイル実験や核実験にいそしむ国に生まれなくてつくづく良かったと思いますそれは、大気汚染を放置し国民だけでなく日本にも輸出している公害大国・中国にも言えることです

 

  閑話休題  

 

新日本フィルから「2013-2014シーズン継続案内」が届きました 今年9月から始まる新年度はコンダクター・イン・レジデンス(常任指揮者?)のインゴ・メッツマッハ―と、ミュージック・パートナー(首席客員指揮者?)のダニエル・ハーディングの双頭態勢で臨むとのことです

新日本フィルの定期演奏会は「トりフォニーホール・シリーズ」と「サントリーホール・シリーズ」があり、それぞれ年間8公演ありますが、私は「トりフォニー・シリーズ」の会員になって数年が経ちます。新年度も演奏者とプログラムを比較して、これまでどおりトりフォニー会員を継続することにしました

 

          

 

私が新日本フィル定期選択の”決め手”にしているのはダニエル・ハーディングが何を演奏するか、次に他の客演指揮者がどんな曲を振るかです ハーディングはサントリーではブラームスの「交響曲第1番」、「第2番」、「第3番」、「ピアノ協奏曲第1番」(P:ポール・ルイス)を振るのが最大の魅力です またメッツマッハーはチャイコフスキーの「交響曲第5番」を振ります。一方トりフォニーでは、ハーディングはマーラーの「交響曲第7番ホ短調」とブラームスの「交響曲第4番」「ヴァイオリン協奏曲」(V:イザベル・ファウスト)を振り、巨匠ハウシルトがブルックナーの「交響曲第4番」を、下野竜也がブルックナーの「交響曲第6番」を、さらにメッツマッハ―はワーグナーの「ワルキューレ第1幕」を振ります ”大曲期待”の方針からは当然トりフォニー・シリーズを選択することになります したがってハーディングのブラームスの交響曲第1番~第3番とピアノ協奏曲は単発でチケットを買うことになります。

ただし、現在の席はセンターブロックの通路側とはいえ相当後方のA席に限りなく近いS席なので、もっと前方の席を取りたいと思います

 

          

                   (ダニエル・ハーディング)

 

          

                    (インゴ・メッツマッハ―)

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シュトゥッツマンでマーラー「亡き子をしのぶ歌」を聴く~東響第607回定期演奏会

2013年02月12日 06時59分19秒 | 日記

12日(火)。昨日、サントリーホールでコンサートを聴くついでに、6月の「サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン」のチケットを引き取ってきました 

あらかじめ「サントリーホール・メンバーズ・クラブ(登録料・会費無料)」に入会すると、一般発売よりも早く、しかも安くチケットが買える特典があることが分かりました 早速ホームページから登録して、パソコン上で希望の公演を選んで座席を指定し、コンビニで料金を支払い、サントリーホール・チケットセンターで直接チケットを受け取りました コンビニでは機械から入力するのですが、最初は要領がよく分からず戸惑いましたが、画面の表示通り落ち着いてトライしたら出来るようになりました ただし9件もあるので時間がかかりました。会員は2月22日まで先行して購入できます。一般発売は2月23日(土)午前10時からですが、会場の「ブルーローズ」(小ホール)は400席前後ですから、公演によっては先行発売でソルド・アウトになっているケースもあるかもしれません

「サントリーホール・チェンバーミュージック・ガーデン」は毎年6月にサントリーホールの「ブルーローズ」を会場に、内外のアーティストを集めて室内楽を演奏するイベントです 毎年ベートーヴェンの弦楽四重奏全曲演奏会があり、このイベントの”名物”になっているのですが、今年は「ボロメーオ・ストリング・クァルテット」がMacBookの電子楽譜を見ながら演奏するとのことです。進んでますねぇ

6月1日から16日までの間に21公演が挙行されますが、このうち次の9公演のチケットを押さえました

①1日  オープニング・コンサート フォーレ「チェロ・ソナタ」、ラヴェル「ピアノ三重奏曲」ほか。堤剛(Vc)、クレール・デゼール(P)ほか。

②6日  ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第10番、第11番、第12番」。ボロメーオ・クァルテット。

③8日  フランク「ピアノ五重奏曲」。鈴木理恵子(Vn)、若林顕(P)ほか。

④12日 2時 カルミナ・クァルテット・室内楽公開マスタークラス

⑤ 〃  7時 ドヴォルザーク「ピアノ五重奏曲第2番」。カルミナ・クァルテット、若林顕。

⑥13日 ベートーヴェン「大フーガ、弦楽四重奏曲第16番、第13番」。ボロメーオ・クァルテット。

⑦14日 モーツアルト「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲K.364」。渡辺玲子(Vn)、川本嘉子(Va)ほか。

⑧15日 ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第13番(大フーガ付)、第14番、第15番」。ボロメーオ・クァルテット。

⑨16日 フィナーレ・コンサート ブラームス「ピアノ五重奏曲ヘ短調」ほか。クレメンス・ハーゲン(Vc)、小山実稚恵(P)、クァルテット・エクセルシオ、ボロメーオ・クァルテットほか。

本当は2日のベートーヴェン「弦楽四重奏曲第1番~第6番」と9日の同「第7番~9番(ラズモフスキー第1~3番)」も聴きたかったのですが、すでにコンサートの予定が入っているので諦めました

6月第2週は以上の日程に加え、チョン・キョンファの「ヴァイオリン・リサイタル」やアファナシエフの「ピアノ・リサイタル」等もあるので、ほぼ毎日コンサートに通うことになります これを含めて6月はコンサートに20回行くことになり、もう限界に近いと思っています 身体もたないカモ

 

          

 

  閑話休題  

 

昨日、サントリーホールで東京交響楽団の第607回定期演奏会を聴きました プログラムは①マーラー「亡き子をしのぶ歌」、②フォーレ「組曲:ペレアスとメリザンド」、③ドビュッシー「交響詩:海」です。指揮は東響音楽監督ユベール・スダーン、①の独唱はナタリー・シュトゥッツマンです

 

          

 

マーラーの「亡き子をしのぶ歌」はドイツの詩人フリードリヒ・リュッケルト(1788-1866)の詩が元になっています 彼は1833年、短期間のうちに2人の子供を亡くしており、その時に書いた詩です

第1曲「太陽がかくも鮮やかに昇ろうとする」、第2曲「いまならわかる それほどに冥き炎を」、第3曲「きみのお母さんが」、第4曲「ふと思う あの子たちはちょっと出かけただけ」の4曲から成り立っていますが、マーラーは「この5つの歌曲は連続性が保たれなくてはならない」と指示しています

ナタリー・シュトゥッツマンが黒のシックなドレスを身にまといスダーンとともに登場します 彼女を生で聴いたのは20年以上前のことだったと思います。東京文化会館でシューマンの歌曲集を聴きましたあの時は彼女も若く溌剌としていました。時を経て目の前に見る彼女はすっかり老けて、もとい、すっかり貫録が出て、これまでの人生の遍歴が顔に刻まれていました しかし、その歌声は深みのあるしっとりとしたもので、その輝きは20年以上経ってもまったく衰えていませんでした

それにつけても、いつも思うのはコンサートのチラシやプログラムで使う顔写真のことです 若い時は良いのですが、ベテランの場合「いったいこれは何十年前の写真だ」と言いたくなるケースが少なくありません 中には「これは別人28号だ」、「これって詐欺じゃないのか」と言いたくなるような写真もあります。われわれは演奏家の顔を見に行くわけではなく、演奏や歌声を聴きに行くわけですから、いま現在の写真を使ったっていいじゃないか と思うのですが、どうでしょうか

さて、第4曲「ふと思う あの子たちはちょっと出かけただけだ」を聴いて、マーラーのことを思いました原作者リュッケルトと同様、アルマと結婚した1902年、この歌曲集を作曲中に長女マリア・アンナを授かったものの、1907年にマリアは天に召されてしまいます マーラーの悲しみはどれほどだったでしょうか 歌詞の冒頭にあるように「あの子たちはちょっと出かけただけ。すぐに家に帰ってくるのだ」と思いたかったことでしょう     

休憩後の1曲目フォーレ「ペレアスとメリザンド」はベルギーの劇作家メーテルリンクの戯曲をもとにフォーレが作曲したものです 第1曲「前奏曲」で、スダーンは弦に情感豊かに歌わせていました 第2楽章「糸を紡ぐ女」ではオーボエがよく歌っていました 第3曲「シシリエンヌ」は単独で演奏される有名な曲ですが、スダーンはフルートの鮮やかな演奏を中心にやや早めのテンポで音楽を進めました そして第4曲「メリザンドの死」で静かに曲を閉じました。フランス情緒あふれる演奏でした

フォーレが終わると、第1ヴァイオリンの面々が舞台袖に引き上げます。次の曲の演奏に備えて管楽器も弦楽器も増やすようです 見ていると、たしかにかなりの数の演奏者が追加されましたが、第1ヴァイオリンが一時的に引き上げる必要は全くなかったのではないかと思うほど、関係ないところでの”追加変更”でした いったいどういう意味があったのでしょうか。関係者に聞いてみたいものです

最後のドビュッシーの交響詩「海」は、”3つの交響的素描”という副題がついています。第1曲「海の夜明けから真昼まで」、第2曲「波の戯れ」、第3曲「風と海の対話」から成り立っていますが、ひとつの場所に留まらない水=波の動きが色彩感豊かに管弦楽で表現されます この曲が1905年にデュラン社から出版された時、初版のスコアの表紙には、葛飾北斎の浮世絵「富嶽三十六景」の「神奈川沖波裏」が用いられていたことは良く知られています 作曲当時、パリで流行していた東洋趣味やジャポニズムの影響でした

スダーンの指揮のもと、東響は白いキャンバスにカラフルな絵巻を描きだしました

何度か舞台に呼び出されたスダーンが、聴衆の拍手を制し、英語で何かを言いました よく聞き取れないのですが、「200年前」、「マティルデ」という言葉から、今年生誕200年のワーグナーの曲を演奏するのだろうと見当をつけました ヴェーゼンドンクはワーグナーの庇護者でしたが、ワーグナーは彼の妻マティルデと情事を重ねる関係にありました 後でロビーの掲示で確認すると、ワーグナーの「ヴェーゼンドンクの歌」より”夢”でした。オーケストラだけで演奏されましたが、とても美しい音楽でした 私生活面ではどーしようもない女たらしでも、芸術面ではどーしようもなく美しい音楽を書くものですね

その後、拍手の中、スダーンが一人のヴァイオリン奏者のところに行き、声を掛けて握手をしました 髪の毛に白いものが混じっていたので、定年を迎える女性だったのでしょう さすがは音楽監督 東響のイメージアップにしっかり貢献してます 強いて言えば花束があると完ぺきでしたね

 

          

                   

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モーツアルト「パリ交響曲」、サン=サーンス「第2交響曲」を聴く~藝大チェンバーオーケストラ

2013年02月11日 07時19分58秒 | 日記

11日(月)。仲道郁代の「オール・モーツアルト・プログラム」コンサートのチケットを買いました 2月17日(日)午後2時からサントリーホールで開かれる公演です。今月2日に聴いたベートーヴェンの「ピアノ協奏曲第5番”皇帝”」の演奏を聴いて、仲道郁代の良さを”発見”したことから、急きょ買い求めたものです 手配が遅かったため残席が少なく、やっと1階席右サイド最後列近くの席を確保しました

プログラムはモーツアルトの①ピアノ協奏曲第20番K.466、②同第21番K.467、③ピアノ・ソナタ第11番K.331ほかです 神戸市室内管弦楽団を仲道郁代が指揮をしながら演奏するとのことで、一味違った楽しみがあります

 

          

 

昨日、上野の東京藝術大学奏楽堂で藝大チェンバーオーケストラの演奏会を聴きました プログラムは①モーツアルト「交響曲第31番ニ長調K.287”パリ”」、②ルーセル「小オーケストラのためのコンセール、③マルティヌー「室内オーケストラのためのセレナード」、④サン=サ―ンス「交響曲第2番イ短調」です この日の目的はモーツアルトとサン=サーンスの交響曲を生で聴くことです

開場30分前の午後2時半に会場に着いた時には、すでに長蛇の列が出来ていました 全自由席@1,500円ですから、誰もが早めに良い席をとろうというわけです 私はかろうじて1階16列25番、右ブロックの通路側席を確保できました。会場は7割程度埋まっている感じです

オケは総勢38名ですが、そのうち男性はコンマスを含めて11名で3割にも達していません 男子学生を見ると大学生というよりも高校生としか見えない幼い顔つきが目立ちます 弦楽器は左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリン、その後ろにコントラバスという対向配置を取ります

 

          

 

1曲目のモーツアルト「交響曲第31番二長調K.297」はパリのコンセール・スピりチュエルの監督ジョセフ・ルグロからの依頼により作曲され、1778年6月に初演されました モーツアルト22歳の時の作品ですが、第1楽章から溌剌として喜びに満ちています 第2楽章の「アンダンテ」を経て第3楽章「アレグロ」に移りますが、この楽章の冒頭部分についてモーツアルトは父親にあてた手紙の中で「聴衆が喝さいする仕掛けをしておいた」と書いています 冒頭はヴァイオリンの掛け合いから、突然オケ全体で演奏するトゥッティに移ります 「どうだい、これがぼくの”アレグロ”だよ」と得意顔をしたモーツアルトが目に浮かぶようです。オケは軽快に演奏しました

次の曲を演奏するにあたって、コンマス席の隣に譜面台が追加されました。通常は2人で1つの譜面台を見て演奏するわけですが、それぞれ別々に用意されるということは、2人が独奏者となることを意味します

ボフスラフ・マルティヌーは20世紀を代表するチェコの作曲家ですが、パリでルーセルに作曲を学び大きな影響を受けました 「室内オーケストラのためのセレナード」は1930年11月に作曲され、ルーセルに献呈されました

第1楽章は予想通り2本のヴァイオリンが主役となり楽しい音楽が奏でられます 印象としてはストラヴィンスキーの軽い曲のような雰囲気を持った音楽です。第2楽章ではオーボエがとても良い味を出していました また、第3楽章ではフルートが健闘していました そして第4楽章でエスプリに満ちたフィナーレを迎えます

休憩後の1曲目「小オーケストラのためのコンセール」は、20代半ばまで海軍士官として活躍したこともあるルーセルが1926年10月から翌年2月にかけて作曲した作品です 第1楽章冒頭はまるで冒険映画のテーマ音楽のような曲です そのせいかどうか、ひとつおいて隣のオジサンが寝息を立てて眠り始めました 前のオバサンは寝息が気になるらしく、後ろを振り返って「だれよ、この機に及んで寝ているのは」と言いたげな顔をしていました。1,500円を払ってまでコンサート会場で寝なくても、上野公園ならタダなのに・・・・と思いながらも、贅沢な人もいるものだ、と感心しました。そんなことを考えているうちに、短い曲だったのであっという間に終わってしまいました

さて、最後はサン=サーンスの「交響曲第2番イ短調」です。ここ数日、ジョルジュ・プレートル指揮ウィーン交響楽団のCDで予習してきたので、メロディーはしっかりと頭に入っています この曲は1859年7月から9月にかけて作曲されました。第1楽章「アレグロ・マルカート」ではオーボエがなかなか聴かせてくれました 第2楽章「アダージョ」、第3楽章「スケルツォ・プレスト」、第4楽章「プレスティッシモ」と続きますが、一瞬、メンデルスゾーンの曲を聴いていると勘違いをしてしまうほど、曲想が似ているような感覚に捕らわれました 途中、管楽器が突拍子もない音を出したところがありましたが、そこは学生オケのご愛嬌ということで、全体的には素晴らしい演奏でした

終演後、指揮者ボストックが会場の拍手を制して、日本語で「アンコールを演奏する」として曲名を言ったのですが、つたない日本語でまったく聞き取れませんでした。後でロビーの掲示で確認するとフランスの作曲家ドリーブの「歓楽の王。古風な様式による舞踏の調べ~『ガイヤード』」とありました。アンコールも含めて楽しく聴かせていただきました。学生オケはいいです。一生懸命で

 

          

          

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小林研一郎+フィルハーモニック・アンサンブル管弦楽団の「幻想」を聴く

2013年02月10日 08時59分43秒 | 日記

10日(日)。昨日の日経朝刊・文化欄に「ストラビンスキーのバレエ曲”春の祭典”100年 輝き健在」という記事が載りました 作曲家ストラヴィンスキーとバレエ団「バレエ・リュス」の主宰者ディアギレフが組んだバレエ「春の祭典」初演から今年でちょうど100年を迎えるとのことです 日本では、本日サロネン指揮フィルハーモニア管弦楽団が、4月にはマゼール指揮ミュンヘン・フィルが、秋にはラトル指揮ベルリン・フィルが「ハルサイ」を演奏するといいます

私がこの曲と出会ったのはズビン・メータ指揮ロサンゼルス・フィルのLPレコードで、途中、レコード針が跳ぶかと心配しながら聴いた覚えがあります 聴きなれないと、変拍子のトンデモナイ曲ですが、慣れるとクセになります 舞踏界では昨年映画で観た「ピナ・バウシュ」によるハルサイが印象に残っています

記事で面白いと思ったのは、「春の祭典」からさかのぼること100年前、ベートーヴェンの交響曲第7番がウィーンで初披露されているということです ご存知、ワーグナーが「舞踏の権化」と呼んだノリノリの曲です さて、「べト7」から200年後、「ハルサイ」から100年後の現在、後世に残る革新的な音楽はいったい何があるでしょうか

 

  閑話休題  

 

昨夕、サントリーホールでフィルハーモニック・アンサンブル管弦楽団の第54回コンサートを聴きましたプログラムは①ベートーヴェン「ヴァイオリン、チェロ、ピアノのための三重奏曲」、②ベルリオーズ「幻想交響曲」で、指揮は”炎のコバケン”こと小林研一郎です

フィルハーモニックアンサンブル管弦楽団は1976年、立教大学交響楽団OBにより結成され、その後、一般の社会人にも門戸を開き自主運営活動を続けています (それにしても「フィルハーモニック」と「アンサンブル」と「管弦楽団」って、どこかダブってない?) また、プログラムの演奏記録を見るとベルリン、ブタペスト、ウィーン、プラハなどにも演奏旅行に行っているのです。渡航費用やら何やら莫大なお金がかかるでしょうに、アマ・オケのどこにそんな大金があるのでしょうか。実に不思議な団体です

 

          

 

開場30分前の5時半にサントリーホールに着いたのですが、すでに多くの聴衆がカラヤン広場で入場待ちしています この人たちはどんなしがらみで、もとい、どんな関係でこのコンサートを聴きに来たのだろう、と思わず考えてしまいました アマチュア・オケですから楽員の家族、親せき、友人、知人などが多数なのでしょうが、それにしても大勢います 何の関係もない私のようなヤカラは「指揮者」の知名度と「演奏プログラム」で選びます

自席は2階RD1列8番。チケットの手配が遅かったため2階後方席になりました ただ、このホールはどこの席からも舞台が遠く感じません 舞台を右斜め上から見下ろすといった位置です。1曲目のベートーヴェン「三重奏曲ハ長調」のソリストの登場です。元N響ヴァイオリン奏者でこのアマ・オケのソロ・コンマスを務める村上和邦、現N響首席チェロの藤森亮一、そして昨年このオケとチェコ公演にも同行しピアノを演奏した小林亜矢乃(指揮者・小林研一郎の娘と言った方が早いでしょう)の3人です

小林のタクトで第1楽章に入ります。どうもヴァイオリンとチェロのソロが迫力ありません 曲の持つ性格なのか、パッとしません。あるいは1階席の前の方の席だったら印象が違うのだろうか。とにかく、自席には”ベートーヴェンの音楽”として届いてきません ただ、第2楽章「ラルゴ」のチェロ独奏は美しく響きました。オケは健闘していました。ソリストには花束の贈呈がありました。アマ・オケらしい風景です

2曲目のベルリオーズ「幻想交響曲」ではベートーヴェンでソロを弾いた村上氏がコンマスを務め、藤森氏がチェロ・セクションに加わります 第2楽章「舞踏会」は気持ちの良いワルツですが、途中で管楽器が張り切り過ぎてトンデモナイ音を出していました 第3楽章「野の風景」では、羊飼いの笛の音が舞台上と舞台裏で呼び交わされますが、小林は2階席左サイドにコールアングレ奏者を配置、舞台上と会話をさせました。コールアングレ(イングリッシュ・ホルン)は郷愁を誘う良い演奏でした。

第4楽章「断頭台への行進」はオケの聴かせどころです。迫力のある演奏です。舞台左サイドに教会の大きな鐘が2つ置かれ、存在感を誇っていました

第5楽章「ワルブルギスの夜の夢」では、管楽器が若干外してしまいましたが、小林がすぐに”修正”しました そして魔女たちの狂宴がクライマックスを迎え、ド派手なフィナーレに突入します ブラボーと拍手の中、いつものように小林は出来るだけ多くの楽員と握手をして、各セクションごとに立たせて賞賛を求めます。彼の場合”いつものように”この儀式が長いのです やっと終わったと思ったら”いつものように”拍手を制して挨拶をしました

「今日はおいでいただきありがとうございました。今回も、大震災で被災され、今も苦しんでいらっしゃる東北の方々50名を2階席にご招待させていただきました。ご堪能いただけたでしょうか?(2階席を中心に) ここでアンコールを、と言いたいところですが、あいにく本日は用意をしておりません。しかし、皆さま、このままでは立ち去り難いようにお見受けします(会場・笑)ので、いま演奏した”幻想交響曲”のフィナーレの部分をもう一度演奏し、アンコールに代えたいと思います」(会場

そして、弦楽器、管・打楽器総動員によるド派手なフィナーレを演奏し、再び拍手の嵐を呼びました。花束を受けた小林は、それをバラして2人のコンマスと2人のコールアングレ奏者に分け与えました こういうところは小林の人柄がよく現われています。そしてオーケストラ全員で正面を向いて一礼、後ろを向いて一礼、左を向いて一礼、右を向いて一礼し楽員同士が握手をして解散しました。この儀式は小林仕込みなのでしょう

 

          

 

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萩原麻未のシューマン「ピアノ協奏曲」を聴く~文化庁「明日を担う音楽家たち」

2013年02月09日 07時00分08秒 | 日記

9日(土)。昨夕、初台の東京オペラシティコンサートホールで「明日を担う音楽家たち」コンサートを聴きました これは文化庁委託事業として、文化庁と日本オーケストラ連盟の主催により開かれたもので、”海外留学”の成果を披露する公演です 出演は平成20年度フランス留学生・大矢素子(オンド・マルトノ)、21年度フランス・萩原麻未(ピアノ)、同ベルギー・坂口昌優(ヴァイオリン)、22年度ドイツ・伴野涼介(ホルン)の4人です

会場はほぼ満席。自席は1階9列11番で、センターブロック通路側、演奏者の顔の表情がよく分かる位置です 東京フィルのメンバーがスタンバイし、ワインレッドのドレスに身を包まれた坂口昌優(まゆ)が指揮の藤岡幸男とともに登場します 彼女は2006年に第14回イタリア・アルベルト・クルチ国際ヴァイオリン・コンクールで第2位に入賞しています

1曲目のプロコフィエフ「ヴァイオリン協奏曲第2番ト短調」が坂口のソロで始まります。緊張感に満ちた集中力のある演奏です 第1楽章は何となくコルンゴルトのヴァイオリン協奏曲を思い出しました 第2楽章は弦のピチカートに乗せてヴァイオリン・ソロが美しく奏でられます。そして第3楽章は技巧を要するパッセージが続きフィナーレを迎えます。なかなか聴かせるな、と思いました

2曲目のヒダシュ「ホルン協奏曲第1番」は弦楽器と打楽器のバックでホルンがソロを奏でる音楽です打楽器と言ってもビブラフォン、チェレスタなどで、ティンパ二や大太鼓は使われていません。ソリストの伴野涼介は現在、読売日響のホルン奏者です

ヒダシュ(1928-2007年)はハンガリーの作曲家ですが、ホルン協奏曲第1番の第1楽章を聴くと、ジャズが取り入れられたノリ易い音楽です 伴野は右手をホルンの中に入れ強弱や音色を変えていきますが、時に舞台裏で吹いているのではないかと思うほどのテクニックで弱音を吹きます 第2楽章は一転ノクターンのようなロマンチックな音楽です。第3楽章はラテン音楽が素材として使われた賑やかで華やかな音楽です

休憩時間を利用して指揮台の左サイドにオンドマルトノがセッティングされます オンドマルトノは一言でいえばチェレスタに似た電子鍵盤楽器です。真ん中に鍵盤を前にした演奏者が座り、すぐ後ろに琵琶をひっくり返したような形の共鳴箱(?)が、左右にはスピーカーのような物が設置されています 私の座席の位置はベスト・ポイントでオンド・マルトノの正面です。ソリストの大矢素子が明るいブルーのドレスで登場します

ジョリヴェ(1905-1974年)の「オンド・マルトノ協奏曲」は1947年に作曲されました 第1楽章冒頭を聴く限り、いったいどれがオンド・マルトノの音か判らなかったのですが、次第に存在感を増して主張するようになりました その音はエレクトーンのようでもあり、ノコギリをヴァイオリンの弓でこすったような音のようでもある不思議な音です 一言でいえば”宇宙の神秘”とでも表現すべき響きです

さて、いよいよ待ちに待った萩原麻未の登場です。深緑の生地を黒のヴェールで覆ったようなシックなドレスで登場します これまで、彼女は白か赤かどちらかの色のドレスを着ていたように思いますが、今回は”大人の雰囲気”を漂わせていました いつものように笑顔で一礼しピアノに向かいます

藤岡の合図でシューマン「ピアノ協奏曲イ短調」が始まり、萩原のピアノが力強く入ります にこやかに会場に顔を向けていた彼女の表情が、ピアノに対峙した瞬間、獲物を追いかける雌豹に変貌します彼女の演奏姿を見るといつも、若き日のマルタ・アルゲリッチを想い起します 何という素晴らしいピア二ズム集中力に満ち溢れ、彼女の演奏姿から目が離せません 幸い座席がベストに近い位置にあるので彼女の指使いがよく見えます 彼女の本領は第3楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」で発揮されます。最後のフィナーレでテンポを落とす箇所がありますが、いつか上原彩子がBBCフィルと演奏した時のように極端にテンポを落とすことなく、萩原麻未は自然の流れに身を任せて”適切な”テンポで演奏します。そして圧倒的なフィナーレを迎えます

会場一杯の拍手、ブラボーが舞台に押し寄せます 雌豹から再び笑顔の萩原麻未に戻り何度も聴衆の拍手に応えます 国内で彼女の演奏するコンサートはすべて聴いていますが、今まで聴いた中でもこの日のシューマンは最高の部類に入る素晴らしい演奏だったと思います。これからも彼女の出演するコンサートは追っかけて行きます

最後に出演者全員が再び舞台に登場して一礼し、コンサートを締めくくりました この日のコンサートは4人が4人とも素晴らしい演奏で、こんなに充実したコンサートは1年に何回もあるものではない、と思いました しかも、文化庁の主催ということもあって、S席が3,500円、A席が2,500円、B席が1,000円と格安なのは良心的だと思います

一夜明けた今朝も、萩原麻未の躍動感に溢れる演奏姿とシューマンのフィナーレのメロディーが目と耳に焼き付いて離れません

 

           

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