1日(金)。早いもので、今日から2月です。月の初めに当たって思うのは、政府自民党の安倍首相による”アベノミクス”の行方です 巷間言われているように”アベノリスク”のままで推移するのか、1年後に”アベノミス”で終わるのか、セーフのまま任期を全うすることができるのか、いつの間にか自眠党になって休眠状態で解散の憂き目にあっているのか、結局のところ安倍首相には強気のシンゾーで頑張ってもらうしかないのではないか・・・・・・と、考え出したら夜も眠れない
こうなったら、昼寝をするしかないか・・・・・・そんなことを考えているうちに2月は28日しかないこともあって、アッという間に過ぎ去ることでしょうね
閑話休題
昨夕、初台の新国立劇場でドニゼッティの歌劇「愛の妙薬」を観ました キャストは、アディーナに二コル・キャベル、ネモリーノにアントニーノ・シラクーザ、ベルコーレに成田博之、ドゥルカマーラにレナート・ジローラミ、ジャンネッタに九嶋香奈枝ほか、ジュリアン・サレムクール指揮東京交響楽団、演出はチェーザレ・リエヴィです
「ネモリーノは純朴な農夫ですが、農場主のアディーナに夢中です 軍曹のベルコーレがアディーナに言い寄るので、ネモリーノも勇気を出して告白しますが、相手にされません
そこへインチキ薬売りのドゥルカマーラがやってきて、愛の妙薬と称して安いワインを売りつけます
ネモリーノは酔いにまかせて強気でアディーナに告白しようとしますが、怒ったアディーナはベルコーレと結婚すると言い出します。ネモリーノはもっと妙薬を買うためのお金を稼ぐためベルコーレの軍隊に入隊します。そのことに心を動かされたアディーナはネモリーノに愛を告白し、二人はめでたく結ばれます
」
このオペラは同じ演出で2010年の新国立公演で観ています 舞台、衣装からキャストの髪の毛に至るまでカラフルに染められていて、実に明るいイメージを前面に出した演出です
イタリアの指揮者リエヴィのタクトで前奏曲が始まります 若干インパクトが弱いかな、と思っているうちに徐々に東響の本領が発揮されてきました
今回の公演の目玉は何と言ってもネモリーノを歌うシラクーザです。高音部も無理なく美しい声で歌い上げます とくに第2幕後半のロマンツァ”人知れぬ涙”は感動的でした
また、アドリブなのか時に日本語のセリフを言って会場の笑いを誘っていました
こういうところは天性のものを感じます。この人に喜劇のベルカント・オペラを歌わせたら天下一品です
アディーナを歌った二コル・キャベルはカリフォルニア出身のソプラノです 最初は彼女がアディーナを歌っていることに何となく違和感がありました。人種差別をする気はさらさらないのですが、彼女は黒人なので、衣裳との不釣り合いを感じたのかも知れません
それも時間の問題で、彼女の歌うアリアを聴いているうちに、その美しい声に魅せられて、むしろ彼女ほどアディーナに相応しいソプラノはいないのではないか、とさえ思うようになりました
とくにネモリーノの”人知れぬ涙”の後にアディーナが歌う”レチタティーヴォとアリア”はほれぼれするような美しい声で、すっかり魅了されました
ちなみに彼女は昨年の新国立劇場の「ドン・ジョバンニ」でドンナ・エルヴィーラを歌った歌手です
ベルコーレ役の成田博之は終始安定したバリトンで、シラクーザに食い下がっていました
このオペラでもう一人の主役はバリトンのレナート・ジローラミです 全くの悪役でなく、なぜか憎めないインチキ薬売りのドゥルカマーラを見事に演じ、深みのあるバリトンで歌い上げていました
公演プログラムに山田高誌という人が「興業としてのイタリア・オペラ~特筆されるべきドニゼッティの多作性~」という文章を寄せています それによると、ヴェルディは54年間で26作、ワーグナーは42年間で14作、プッチーニは41年間で12作、それぞれオペラを作曲しましたが、ドニゼッティは27年間で70作以上のオペラを作曲したとのこと。これは意外でした
ドニゼッティと言えば「愛の妙薬」のほかには「ランメルモールのルチア」、「アンナ・ボレーナ」、「連隊の娘」、「ドン・パスクワーレ」くらいしか頭に浮かんで来ません。70作以上とは随分異常な多作家だったのですね