26日(火)。昨日の朝刊各紙に「サバリッシュ死去」の記事が載っていました ウォルフガング・サバリッシュはドイツの指揮者で、長い間NHK交響楽団の客演指揮者を務め、最終的には桂冠指揮者を務めていました
残念ながら彼の演奏を生で聴いたことはありませんが、N響アワーでは何度かその指揮振りを拝見しました
メガネをかけた彼は”大学教授”というのが相応しい雰囲気の人でした。N響の誰かがサバリッシュのことを訊かれ「彼は指揮者にならなくても、どんな職業についたとしてもトップを登りつめていた人だ
」と言っていたのが印象に残っています。それは、指揮者としてオーケストラをまとめるに止まらず、マネジメント能力にも優れていたことを意味しています
サバリッシュの録音したCDで一番好きなのはドレスデン国立歌劇場管弦楽団を指揮したシューマンの交響曲全集(EMI。1973年録音)です 世界で一番好きなオーケストラを挙げよ、と言われたら、私は躊躇なくスターツ・カペレ・ドレスデン(ドレスデン国立歌劇場管弦楽団)を挙げます
そのオケをサバリッシュが振ったシューマンのシンフォニーは溌剌としていて躍動感に満ちています
ドイツ南部グラッサウの自宅で死去、89歳だったとのことです。謹んでご冥福をお祈りします
閑話休題
昨日、新宿武蔵野館で映画「よりよき人生」を観ました セドリック・カーン監督の2011年制作作品です
コックのヤン(ギョーム・カネ)はウェイトレスで9歳の息子の母親であるナディア(レイラ・ベクティ)とともに、レストランを買うために銀行からの融資に留まらずサラ金にも手を出し、苦しい資金繰りの泥沼に陥ります それを抜け出すため、ナディアは息子スリマンをヤンに預け、カナダに飛んで職を求めます。フランスに残されたヤンは、やっと手に入れたレストランを守るため借金取りと闘いながらスリマンと暮らします
そして、よりよき人生を求めて、集金中の悪徳貸金業者を襲って現金を手に入れ、スリマンとともにカナダに飛び、無実の罪で刑務所で服役中のナディアにスリマンを引き合わせ、優秀な弁護士を雇い彼女を救い出します
一度決めたらとことん夢を追及する意志の強い、ある意味強引なヤンをギョーム・カネが体当たりで演じています 9歳の息子を抱えながら懸命に生きるレバノン移民のシングル・マザーのナディアをレイラ・ベクティが見事に演じています
この人は目に魅力があり独特の存在感があります
この映画は、ヤンがナディアを救ってスリマンと3人で幸せに暮らすというハッピーエンドで終わる物語ですが、一つだけ不満が残ります それは、スリマンが運動靴を万引きしてきた時に「うちには万引きするような悪いやつはいない
」と言って、高い金を払って引き取った運動靴をスリマンに履かせて、罰として運動場を何周も走らせたのに、自分では高利貸しを襲って現金を奪い、その金でカナダに飛んだことです
ストーリーからはその高利貸しは”悪いやつら”と分かるものの、主人公が生き残るためには何をしてもいいのか、と言いたくなります
さて、今の自分の人生を鑑みて、よりよき人生とはどんなものだろうか?
つい最近、リビングとダイニングと寝室の蛍光灯をすべてLED照明に代えました マンションに住んで19年も経つと、あちこちにほころびが出てきます。今に至ってはまともに点く蛍光灯は一つもありませんでした
久しぶりに真っ当な照明の下で暮らして、小さいながらも”よりよき人生”の第一歩を踏み出したかな、と思います。次は、ほとんど点かないガス器具の番です。これって、よりよい人生というよりも、よりよい暮らし?