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人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ディドナートvsヒーヴァー・女王対決~METライブビューイング「マリア・ストゥアルダ」を観る

2013年02月16日 07時02分09秒 | 日記

16日(土)。昨日の日経朝刊に「ウォルフガング・シュルツ公演中止」のお知らせが載りました 記事によると、3月5日に日経ホールで開催予定の日経ミューズサロン「ウォルフガング・シュルツ フルート・リサイタル」は、出演者が病気のため中止とし、代替公演として彼の息子でウィーン国立歌劇場管弦楽団フルーティストのマティアス・シュルツを迎えて、予定プログラムのまま開催するとのことです 非常に残念ですが、仕方ありません。払い戻しにも応ずるそうですが、名門オーケストラに所属するシュルツ2世の演奏を聴いてみたいと思うので、キャンセルしないで聴きに行こうと思います それにしても”病気のため”っていったい何の病気でしょうか。まさか、最初から息子に演奏させることを予定していた訳じゃないと思うけど ”主役急病”の代演でチャンスを掴んで世に出たアーティストも少なくないですから、そういう点で期待するところもありますね

 

   閑話休題  

 

昨日、新宿ピカデリーでMETライブビューイング、ドニゼッティ「マリア・ストゥアルダ」を観ました これは今年1月19日に米メトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像ですが、MET初上演とのことです

キャストはマリア・ストゥアルダ(スコットランド女王メアリー・スチュアート)にジョイス・ディドナート(メゾソプラノ)、エリザベッタ(イングランド女王エリザベス1世)にエルザ・ヴァン・デン・ヒーヴァー(ソプラノ)、レスター伯爵ロベルトにマシュー・ポンザレー二(テノール)、タルボット卿(タルボ)にマシュー・ローズ(バス)、セシル卿にジョシュア・ホプキンス(バリトン)、ハンナ・ケネディにマリア・ジフチャック(メゾソプラノ)他、マウリツィオ・ベニーニ指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団、演出はデイヴィッド・マクヴィカ―です

台本はドイツの文豪シラーの戯曲「マリア・ストゥアルト」を元にしています。シラーは、実在したスコットランド女王メアリー・スチュアート(マリア・ストゥアルダ)とイングランド女王エリザべス1世(エリザベッタ)をめぐる史実を”女同士の闘い”に焦点を当てた一大悲劇として描いています

 

          

 

このオペラの一番の見どころは第2幕のマリアとエリザベッタの対決場面です レスター伯爵ロベルトは、女王エルザベッタに許しを乞うようにマリアを説得します。はじめは跪いて慈悲を求めていますが、エリザベッタの高慢な態度に我慢が出来なくなり「いやしい私生児の娘」とののしってしまいます 怒ったエリザベッタはマリアを捕えます。この”女王対決”シーンは2人の歌手の迫力ある歌と迫真の演技が素晴らしく、目が離せません

ジョイス・ディドナートは米カンザス州出身で1998年にプロ・デビューしたMETの看板メゾソプラノの一人です。今回のような悲劇のオペラを歌っても、モーツアルトの歌劇のような喜劇を歌っても、非の打ちどころのない素晴らしい歌声を聴かせてくれます 今回のマリア役でも、第1幕の前半こそ出番はなかったものの、それ以降はアリアに次ぐアリアで、しかもゆったりと息を伸ばす曲なので、非常に難しいと思うのですが、どのアリアも完ぺきに歌い上げていました 最近ではクラシック界で初めてグラミー賞(第54回)を受賞しています

一方、エリザベッタ役のヒーヴァーは南アフリカ・ヨハネスブルク出身(珍しい!)の若手歌手で、今回がMETデビューです エリザベッタ役を引き受けるに当たり、頭を剃って坊主にして臨んだという意欲的なソプラノです 幕間のインタビューでD.ヴォイトから「演出のマクヴィカ―から役作りについてどんな指導があったの?」と訊かれ、「私が女王らしく振る舞おうとすると『そうじゃない、もっと横柄な態度で』と言われました 女王なんだから『優雅さは?』と訊くと、『そんなものは必要ない』と言われましただから、そういう風に振る舞うことにしました」と答えていました。ヴォイトは「あなたって、演出家にとって理想の歌手ね」と褒めていました。力強い歌声のソプラノで、マリアに対するイジメ役に徹していました。しかし、一旦、役を離れてインタビューに答える彼女は本当に明るくチャーミングな女性です

男性陣もボレンザー二をはじめ歌も演技も素晴らしかったのですが、何しろ2人の女王が圧倒的な存在感で、完ぺきに打ちのめされた感じです

是非お薦めしたいのですが、「マリア・ストゥアルダ」の上映は昨日で終了しました あとはアンコール上映を祈るばかりです。次のMETライブビューイングはヴェルディの「リゴレット」で、3月9日(土)から15日(金)まで、東京では新宿ピカデリー、東銀座の東劇ほかで上映されます。16世紀の舞台を、1960年代のラスベガスに移した新演出で上演するとのことです。さて、どうなりますか

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