レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

アイスランド語 ...らしきことば

2012-08-30 20:56:19 | 日記
アイスランド語についてもう少し。

アイスランドは兄弟国のスウェーデンやノルウェーとは違い、移民に関しては後進国です。やはり北の島国であるせいか、いわゆる移民がアイスランドで増えて来たのはやっとここ20年くらいの間のことなんです。そういう私が移ったのも20年前です。

20年前でさえ、例えばストックホルムで銀行に入れば、5人いる窓口スタッフのうちの二人はアフリカ系とかアラブ系、アジア系のように伝統的?スウェーデン人のルックスではありませんでした。ここでは最近ようやくオリジナルはアイスランドではないな、と傍目に分かる人が目につき始めている状態です。(外見で「この人は移民だな」と判断してはなりません。移民の二代目で正真正銘のアイスランド人のこともあります)。

というわけで、アイスランドの人は実は「外国人が話すアイスランド語」というものにも慣れていなかったのです。で、褐色の肌のレディや髪の毛の黒いアジアのおじさんがアイスランド語(らしきことば)を発するというのは相当な珍現象であったようです。

もう15年も前のことですが、教会でやっとこさっとこ(これは方言なんだって!「かろうじて」という意味です)アイスランド語でお話しをしたことがあります。礼拝後、帰りがけのおばあさんたちが、「あなたのアイスランド語はちゃんとわかりましたよ」とか言ってくれたのですが、こちらとしては「良い内容のお話しでした」と言って欲しかったんですけどね。聞き所が違う!

もとより超小国のアイスランドは、自国の文化や伝統に強いこだわりを持っています。ことばはそれらの象徴でもあります。それはわかります。アイスランド人からアイスランド語を取ってしまったら、単に小さな島の島民になってしまいますから。ただし、往々にしてそのことばへのこだわりが、移民への偏見のもとになってしまったこともありました(あります)。

これは日本や他の国でも同じだと思うのですが、ある人がどんなことばを話すか、どんなことば遣いや口調をするかは、その人を判断する基準になりますよね。はすっぱな口のきき方や文法的に支離滅裂な日本語を使う人がいたら、それなりの判断をするのが普通だと思います。ですが....

外国人が後から学んだ日本語でしゃべろうとしている時に、日本人同士の間の時と同じ基準を使ったらまずいでしょ?ところがアイスランド人はそれをやることがよくあったんです。外国人が片言のアイスランド語で話しをしようとしているのに遭遇すると、その外国人の全人格と教育がその「片言」のレベルだと思い込んでしまうところがありました。今でもあります、大分そのような誤解は少なくなってきたとは思いますが。

私は教会の牧師で、もう少し言うとアイスランドの移民のために働くことを職務として与えられています。そういう関連から移民関係の問題で公に「もの申す」の機会もあるのですが、「アイスランド語の修得度合いの善し悪しはその人の人格を測る基準ではない」ということはこの10年以上コンスタントに主張してきたことです。

日本にも多くの外国人の方々が生活していますね。日本語の上手下手だけではくれぐれも人判断をされませぬよう。m(_ _)m
コメント (4)
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