レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

マルチカルチュラル デー in Reykjavik

2015-05-10 05:00:00 | 日記
毎年五月の第二週の土曜日はレイキャビク市の「Multi-cultural Day」に定められています。今年は昨日の土曜日がマルチカルチュラルデーだったわけです。

今年で七回目、ということで経済恐慌に見舞われた直後の2009年から始められました。もっともこれには前史があり、2002、3年頃からレイキャビクとその周辺の町々の間でThodahatidショーザハウティーズ「国々の祭り」というものが持たれていました。

その頃は、それらの地方自治体が出資して設立されたAlthodahusアルショーザフース「インターナショナルハウス」というマルチカルチャーを推進する施設がありましたので、そこが中心になってこのお祭りを企画していました。

私はこのアルショーザフースにはその母体であったMidstod Nybuaミズストーズ・ニーブア「ニーブア(新居住者)センター」の頃から協力関係にあったので、これら一連のお祭りには始めから関わってきました。

ちなみにアイスランドではThodarhatidという人気の祭りがあり、毎年八月の最初の週末にウェストマン諸島という島で飲めや歌えやの馬鹿騒ぎをします。このThodarhatidは「国民の祭り」という意味なのですが、ThodarがThodaになると複数形となり「諸国民/国々の祭り」になります。これは「国々の祭り」の方が「国民の祭り」を模してつけた名称でした。

Althodahusのディレクターだったエイナル ・スクーラソンという人が私の友人なのですが、恐慌に見舞われ財政難で先行きが悪くなる以前から市に働きかけて「マルチカルチュラルデー」の設定を勧めていたのでした。

結局Althodahusは2010年に解散してしまいましたが、マルチカルチュラルデーの方は生き残ったわけです。

この日の説明的なことは以前にも書いたことがあります。そちらも見てみてくれると嬉しいです。

フョルメンニンガ-ダーグル In Reykjavik



さて、二年前のブログでも書いたように、私はエキゾチックな料理をつまんで、衣装やダンスを鑑賞して、というだけでは大した意味のあるイベントではない、と思ってきました。始めはそれでいいでしょうが、そこから進まなかったら何も変わっていないということになります。

ですが、幸いにももっと深く突っ込んで「マルチカルチャー」を考えよう、という向きもあちこちに見え始めました。その中で、今年私が一番嬉しく期待しているのがIdentities in Transition「変遷の中のアイデンティティ」とでもいうのでしょうか?

実際にはマルチカルチュラルデーの公式プログラムには申し込みが遅く入れなかったとのことですが、「精神は連帯しているから」とのことです。

これはListahaskolinn Islandsリスタハウスコリン•イスランズ「アイスランド芸術大学」の学生八人が企画しているプロジェクトです。この八人のうち四人は外国からの留学生。ついでに残りのアイスランド人四人の中のひとりが私の息子です。

このプロジェクトはもともとこのお祭りの為のものではなく、年度を通しての課題で「アイスランドの社会に対してどのような良い変革を提案できるか?」ということから始まって、難民の問題を考えよう、という風に発展してきたものだそうです。

それで実際に難民の人たちを訪問して話しを聞いたり、ビデオを撮ったりしています。難民の人たちのプライバシーにはひときわ気を遣わなければならないのですが、そういったこともあり私も(出過ぎないように)援助しています。

最終的にはなにか短編のドキュメンタリー的なものを作りたいようなのですが、決定はしていないとか。前日の金曜日には私のいる教会のキッチンを借りて、学生さんたちと二十余名の難民の人たちが一緒にクスクスとナンを作って食べていました。

そして祭りの当日にはダウンタウンで、お客さんにスープを振る舞いながら、難民の人たちとも話し合えるオープンカフェのようなものを開いたのでした。



美大の学生さんたちのプロジェクト会場 Kaffistofa


会場は今は使われていない一軒家なのですが、これは美大の持ち物で学生の作品のエキシビションなどによく使われているものです。前庭にスープの屋台を出して、庭では難民の人と通りがかりの人とが話しをしたりできるスペース。中ではそれまでのインタビューなどから、短い短編の紹介フィルムを上映しました。

題材からして行列ができるような賑わいにはなりませんでしたが、実によくお客さんが来ていたようです。学生さんたちも満足していましたし、さらにやる気を掻き立てられていたようです。

ちなみにマルチカルチュラルデーの本会場である市庁舎の方では「芋を洗う」ような人混みでした。いろいろな国の料理の試食や音楽、文化紹介。それはそれで楽しいものです。

今回は確かな「一歩前進」があったので、心安くそれらを楽しむことができました。(*^^*)


応援します、若い力。Meet Iceland


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« アイスランド旅行 事故と病気... | トップ | 教会の夏休み »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事