レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

パウスカ、新年度、そしてエイプリルフール

2018-03-31 19:00:03 | 日記
Gledilega paska (グレージィレーガ パウスカ)!

Happy Easter!ということです。今年は四月の1日が復活祭の日曜日となりました。

日本では新年度の始まりで、いろいろな学校や会社で新しいスタートを迎えている人も多いことでしょう。まあ、学校はまだすぐには始まらないか?またエイプリルフールでもありますし、いろいろと重なった4月1日になりましたね。

さて、パウスカの度に言ってきたことなのですが、クリスマスと違いパウスカは毎年日付けが変わります。これは「春分の日の後の最初の満月の後の最初の日曜日」というのがパウスカの日付けを決める際の規則になっているからです。

なぜそんなに面倒臭い仕方でパウスカの日付けを決めているのかということなのですが、もともとパウスカの「基礎」というか「前提」にあるのが、ユダヤ教の祭りである「過越の祭り」というものです。

これはエジプトのファラオの下で奴隷となっていたユダヤ人を、神が救い出したことを記念し感謝するための祭りです。この祭りを祝う週にイエスは捕らえられ十字架刑に処されました。そしてその祭りの開始の直後の日曜日にキリストが復活した、というのがキリスト教会の信じるところなのです。

というわけで、復活の記念日は、ユダヤ教の「過越祭」を抜きにしては算出できないものでした。そして、その過越際は当然ユダヤ暦で決められるのですが、ユダヤ暦は太陽太陰暦と呼ばれるもので、月の運動をもとにした陰暦に、太陽暦を組み合わせたものです。つまりどうしても私たちが今使っている太陽暦をもとにした暦とはズレが生じることになります。

後年、教会が確立していく過程で、復活祭の日付けの決定をいつまでもユダヤ教の祭りに頼っているのは面白くない、という議論があったようで、先に書きました「春分の日の後の最初の満月の後の最初の日曜日」というルールが決められたようです。

ですが、実際には今でも復活祭は過越祭と同じ時期になります。去年の過越祭は4月10日から17日まででしたが、復活日は4月16日、今年は過越祭は3月30日から4月6日、復活日は4月1日という具合です。

ちなみに今年、西暦の2018年はユダヤ暦では5778年だそうです。紀元前3761年を世界の造られた日として勘定し始めるのだそうです。イスラエルでは今でも公式にはユダヤ暦を使っているということで、国際社会での付き合いの都合上西暦も併用する慣例になっているとか。




Gledilega paska!
Mynduin er ur atvreyjar.123.is


「暦」というのは、文明のあるところどこにも存在し続けてきたもののようですが、結構奥が深いというか、複雑で面倒なものですね。太陽暦にしても、昔はユリウス暦が主役で、今はグレゴリオ暦がさらに正確な暦としてとって変わりました。

太陽暦というのは、地球が太陽の周りを一周する期間を一年とする基準によって暦を確立します(とか、エラそうに言ってますが、ウィキで調べながら書いています)。

それで一年は「365日と端数」ということになるのですが、これを「1年=365日」と規定し、切り捨てられた「端数」を調節するために400年間に97回の「閏年」を挿入することにしました。

それまでのユリウス暦と何が違うかというと、ユリウス暦では1年を同じく365日としていたのですが、閏年を400年間に100回、つまり「四年に一度」と定めていたのです。って、レレ!? 今の暦と違うの?

これから先は、私にはまったく専門外の領域なのですが、ユリウス暦では短期的にはともかく、何百年という周期で見た時、暦と実際の季節の間に、かなりのズレが生じてくるのだそうです。例えば春分の日などが、実際には昼夜が均等でない日にズレてしまうというようなことが現実に生じたとのこと。

それを補正したのがグレゴリオ暦だそうで、閏年を「四年に一度」ではなく、「400年で97回」にすることによって、このズレは相当是正されるのだそうです。じゃあ、どこかで閏年がスキップされる?これより先を知りたい方は、ご自分で健闘されてください。(^-^;

ところがキリスト教界でも、東方正教会と呼ばれる教会は祭りの日付けを今でもユリウス暦を用いて定めています。ユリウス暦とグレゴリオ暦では、先に述べました「ズレ」の故に、13日間のギャップが生じています。

そのため、「クリスマスは12月25日」という私たちにとっては当たり前のようなカレンダーも、正教会では「クリスマスは1月7日」となっているのです。
(*ただし、私の記憶が間違いでなければ、ギリシャの正教会のクリスマスは12月25日だったと思います。要チェックです。スミマセン m(_ _)m)

ちなみに正教会でもクリスマスは固定祭日で、イースターのように移動はしません。その点は「西方教会」(カトリックやプロテスタント教会)と同じです。




アイスランドのパウスカには欠かせないチョコエッグ


中はこんな感じでキャンディ類がたくさん
Badar myndir eru ur InsipredByIceland


さて、今日のキリスト教会には三つのメジャーな祭日があります。クリスマス、イースター、そして「聖霊降臨日」と呼ばれるペンテコステです。これにキリストが天に昇ったとされる「主の昇天日」を加えて四つのメジャーな祭りと考えることもできます。主の昇天日は実際はメジャーとは言えませんが、祝日(お休み)になっていますから、その点では他の三つと並びます。

クリスマスは12月25日に固定されていますが、イースター(復活祭)は先に書きましたように「移動祭日」です。そして「主の昇天日」は復活日から勘定して四十日目、ペンテコステは五十日目と決められています。

ですから、主の昇天日もペンテコステも、イースターに連動して移動するわけです。よって、四つのメジャーな祭日のうち、三つがこのように毎年日付けが変わることになるわけです。

なぜ、このようなことをくどくど書いてきたかというと、キリスト教会の用いている「教会暦」というものをちょっとご紹介したかったからです。アイスランドはもちろんのこと、キリスト教文化圏では、この教会暦とその国の祝祭日は大きく関係しています。

例えば、先週がまさにそうだったのですが、復活祭前の聖週間の木曜日、金曜日は祝日ですし、多くのお店が閉まってしまい、生活に実際的な影響があります。

となると、例えばアイスランドへの旅行を考えている方があるとして、そういう方面の知識を持っていることも損ではないのではないか?と思い立ったわけです。

というわけなのですが、「暦」で思わぬ手間を取ってしまい、「教会暦」の説明までは入れませんでした。もう一回、教会暦についてのご紹介の機会を持ちたいと思います。

Happy Easter! そして良い新年度になりますよう!


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com

Home Page: www.toma.is

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