レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

アイスランド ヘルシーライフ雑感

2014-02-10 05:00:00 | 日記
「ヘルシーライフ」というのは先進国(という言葉は好きでないのですが、要するにある程度の物質的豊かさを持った国々)ではキーワードのようになっている気がしますね。

日本でも常に何かしらのダイエットがブームになっているのではありませんか?もう何年か前のことですが、帰省した際にお見舞いである病院に行ったのですが、売店に立ち寄ったら「バナナ、入りました」と段ボール紙に書いたアナウンスが目に入りました。

その時は「?」と思っただけでしたが、後でバナナダイエットの大流行でみんながバナナを買いあさっているのだ、ということを知らされました。「へーェ、バナナがね?」と不思議でした。さらにその何年か前には、ラジオで若い女性に敬遠されるフルーツNo.1はバナナだと聞いていたのです。理由は「猿を連想させる」でした。

ダイエットのためなら猿のイメージなどなんのその。女性の皆さんの執...情熱は大したものだと敬服いたしました。

アイスランドでもヘルシーライフ指向の人はかなりあるようです。ただこちらではダイエットよりは、フィットネス系と健康食品への情熱が主流のように見受けます。日本よりははるかに要ダイエットの人が多勢いると思うのですが。面白いですね。

で、例によって正直に言っておきますが、ワタシはほとほとそういうものに関心がありません。ですから詳細は知らないのですが、フィットネスにしても、健康食品にしてもずいぶんと掛かりがするように思われます。

スーパーとかでも健康食品コーナーがありますが「ちょっとここは違うわよ」的なオーラが出ています。実際、有機栽培の野菜などは「えっ?」と引いてしまうほど値が張るものがあります。

フィットネスもわざわざ通りから中が見えるようなガラス張りだったり、折り込みの広告などでもセクシーな美女が「ワタシガインストラクターデス。ドウゾヨロシク」みたいなので、ワタシのような庶民派初老には人寄せどころか「アンタワ、カンケイナシヨ!」と言われているようでハードルが上がってる感があります。

で、ワタシの独断と偏見によるとこのアイスランドでの「ヘルシーライフ」は、何というか、健康よりもそれ自体がひとつのステイタスシンボルになっていると思います。見栄えばかりを気にかけるアクの強いマダムたちとヤッピーな男どものセクトのような?気もするなあ...

でもまあ私の見た範囲だけでもまじめに健康食品に取組んでいる人は確かにいます。ウーン、セクトはどちらかというとフィットネス系でしょうか?

ワタシはほとんど何でも気にせずに食べますし、飲みますし、ジョギングもフィットネスも全くしていません。タバコこそ吸いませんが、その他では不健康生活の見本のようだと自覚しています。

決して昔からそうだったわけではありません。大学時代から神学校にかけてはボクシングの大ファンだったので、自分もボクサー気分で食事はきちんとカロリーを計っていましたし、筋力トレなどもしていました。

アイスランドに移ってからも三四年は筋力トレとサンドバッグは継続していました。ですがとある事情の下でギックリ腰になってしまい、しばらく筋力トレからは遠ざかってしまいました。それ以来、ずーーーと安逸な怠惰をむさぼっています。

ところがどういう風の吹き回しか知りませんが、そういう怠惰不健康人間のワタシに「ヘイルストルグ」(健康広場)というヘルシーライフ「売り」のサイトから短いインタビューの依頼がきました。それはまた次回書きます。




ホンモノのヘルシー指向の「ベルクソン デリ&ジュース」
Myndin er úr Facebook.com/bergssondeli


さていろいろと、アイスランドのヘルシーライフを語った金拝セクトの悪口を書きましたが、繰り返します。本当に真摯に健康のことを考えて良い活動をしている人やグループやお店もあります。

レイキャビクでの一押しは知り合いの邦人女性(若い美人ですが、私にとっては「姪」の範疇です)が店長さんをしている「ベルクソン デリ&ジュース」 Bergsson delí & djús です。身体に良いナチュラルジュースや軽食を、店長さんの素敵な笑顔と共にいただけます。レイキャビクのダウンタウンのど真ん中にありますので、こちらへいらっしゃる予定の方はぜひ訪ねてみてください。

こちらです、「ベルクソン デリ&ジュース」 


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通訳、プラス?マイナス?

2014-02-06 05:00:00 | 日記
前回、アイスランドでの通訳事情について少し紹介しました。通訳の使用を義務付けられている医療機関が実際には通訳を手配せず、患者の子供などに通訳をさせている、というニュースがきっかけでした。

ちょっとその続きです。この「通訳」が話題になる度にくっつてくる議論というか主張があるのです。それは「アイスランド語がわからないのは、その移民が勉強しないからではないか。なぜそのような怠け者のために国が通訳費を払わなければならないのか?通訳の助けが欲しければ自分で雇えばいい」という主張です。

これは今に始まった議論ではなく、何度も何度も持たれてきたものです。なぜ何度も繰り返されてきたかというと、この主張が幾ばくかの正当性を含んでいるものの、完全に正しくはない、というところにあると思います。にもかかわらず、この主張の持ち主は自説に落ち度はない、という固い信念に立ってしまっているのです。

そのため異なる見解との間でのやりとりが昇華されず、より高い見解を生み出すことを阻んでしまっているように思われるのです。

私がこの主張に頷けない点はまず、「アイスランドができない移民は勉強する気のない怠け者だ」という粗暴な一般化です。特に母国語に格変化などがないアジア人にとってはアイスランド語はかなり文法的に難解な言語です。

加えて発音でも例えば日本語では存在しない音というものがいくつも存在します。そのためアイスランドの地名や人名をカタカナ表記にするには相当な無理があり、思わず失笑してしまうようなことさえあります。

私自身、二十年以上ここに住んでいますし、アイスランド語の勉強も相当したつもりでいますが、読み書きはともかく会話は非常に苦手です。単数複数、格変化、男性女性中性などによって細かく変化する単語を、しゃべりながら正しく操ることは単純に「無理」です。多分、子供のころから慣れさせないと脳にそのような働きが付かないのではないではないでしょうか?

私の周囲の移民の人たちを見ても(日本人を含めて)、長年住んでいるけどアイスランド語は苦手、という人はかなりいます。では、その人たちが「怠け者」なのかというとそんなことはありません。中には仕事が忙しすぎて勉強する時間がないという人だっています。

歳をとってから移ってきた人や、若くてもシングルマザーで子育てと生活費のための仕事で手一杯という人もいます。要するに人様々なのです。

加えて相当アイスランド語ができる人でも、医療関係の語彙や表現にどれだけ通じているかということは疑問に思われます。日常語とは相当の違いがありますから。

と、こういうことを説明しても、先の主張の持ち主の中には(全員ではないことを望みますが)頑迷に「いや、私の知っている移民はきちんと勉強してアイスランド語をしゃべっている。しゃべれないヤツはその気がないからだ」と譲りません。

(ちなみにそう主張する輩の多くが「私は移民の友達が多勢いるし、彼らの気持ちも良く分かっている」という前書きをいつもぶら下げています)

私が指摘したい点の第二は医療機関が通訳を使う理由ですが、これは患者さんのためというよりは、むしろ医療従事者が正しい情報を患者さんから得るため、そして正しい指示を患者さんに与えるためだということです。

アレルギーに関する質問をして、患者さんが意味が分からずに間違った答えを言ってしまった。結果、その患者さんが命を危うくした。というようなことが起ったとしたら、そのお医者さんだってたまったものではありません。責任を問われてしまいます。

(もうひとつ付け加えると、人はカタコトの言葉を使わねばならない場合、正しい情報を与えるよりは、自分が言えることを言ってしまうという傾向があります)

この点を加味すると「なぜ国が通訳費を負担しなければいけないのか?」という疑問にはある程度答えることができます。もちろん自己負担では通訳が使えないような低所得者が移民には多いという事実もそこに加わります。

というわけで、私は先の「怠け者論」には基本的に反対です。ただ、ちょっとだけ「確かに」と言わざるを得ないのは、「アイスランド語を勉強する気はない」という移民もいるのが事実だからです。

私が知っている移民でそのような態度を取る人の多くはかなり裕福な階層の人たちです。その場合は問題ないでしょう。しかし同じ態度をとりつつも裕福ではない人もいます。あえて国名は出しませんが、コミュニティを作るくらいに同胞が多勢住んでいる移民に属する人が多いようです。

コミュニティに籠っていれば確かにアイスランド語は必要ないかもしれません。困った時には助けてくれる誰かがその中にいるでしょうし。

これはこれからの課題ですね。どのように考えて、どのように対処すべきなのか?現実に即して考えていかねばなりませんが、今の私の立場としては、そのようなパターンが移民一般のパターンにはなってほしくはないですね。アメリカやドイツのような大国ならまだしも、ここはちいちゃな国なのですから。中途半端な垣根は作らずに、仲良く生活したいものです。


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通訳、あり?なし?

2014-02-03 05:00:00 | 日記
先週の月曜日の新聞に移民のための通訳サービスに関するニュースがありました。アイスランドでは病院などの公共の医療機関では、診療を受けにくるのが外国人の場合(正確にはアイスランド語では適切な診療を受けられないと見なされる受診者の場合は)その人の母国語の通訳を手配することが法律で義務付けられています。

義務付けられているのは医療機関であって、移民の側ではありません。ちなみにこのような通訳を使うことの義務付けは医療に限られており、その他の分野では通訳を希望する場合は、移民の側の費用負担になります。

月曜日のニュースの内容は、このような義務付けにも関わらず、医療機関が通訳を使わずに受診者の身内や子供を通訳として使っている事実が指摘されている、というものでした。移民の場合は親よりも子供の方がアイスランドの能力がずっと発達していることが珍しくないのです。

子供が通訳をすれば、当然費用はかかりません。その反面、子供が親の病気の診断の真っ只中に巻き込まれてしまうことになります。インフルエンザとか通風くらいの病気ならまだしも、癌のような深刻な病気の場合には決して望ましいことではありません。

2000年代になってからの移民政策では「子供を通訳代わりにしない」ということは大分強く言われてきたと思います。にもかかわらず、経済恐慌以来の財政難で通訳代が確保できない、というのが医療機関の現状であるようです。

実際、通訳者を手配するのかなり高くつくのです。通訳サービスのオフィスはいくつかあるのですが、それぞれのオフィスが通訳者を登録していて、病院やその他の機関や会社が求めてくる言葉の通訳を送り出すわけです。ちょっと人材派遣会社に似ています。

ほとんどの通訳者はプロではなく、何か他の仕事を持っています。そういう人がわざわざ出かけていくのですから、きちんとした稼ぎにならなければ通訳のなり手はなくなってしまうでしょう。というわけで一回の呼び出しは一律最低でも二時間枠として勘定され、一万クローナ程度の収入になります。

ところがオフィスはオフィスで手配料を取りますので、総計で一回の呼び出しが一万五千クローナ以上になってしまいます。原則としてオフィスは自分配下の通訳者が病院等から直に仕事を請け負うことを禁止しています。

こう書くと何か通訳オフィスが中間搾取集団のように思われてしまうでしょうからちょっと弁護しますが、通訳の手配はかなりの大仕事です。以前仕事でそのようなオフィスに近いところにいたことがあるのですが、電話はひっきりなしにかかってきますし、病人の人のための通訳のように突然、いつどこどこへ来てくれ、という要望にかなう人を捜すのはそう容易くないことも多いです。

また、通訳者は他人のプライバシーを見聞きするわけですから、それに関する秘密厳守についての講習会や、あるいは他人の危機的な状況に立ち会ったりする通訳のための心理カウンセリングなども用意しなければなりません。

私自身、何度も日本語の「通訳」をしたことがあるのですが、通訳者というのはただの「翻訳ツール」ではなく、かなり病人、けが人、その他困った状況にある人たちの「悩みの聞き手」に自然になってしまうものなのです。

私の場合はもともと牧師なので、そういうことには慣れていますし一応の教育も受けていますが、そういうことに不慣れな人の場合はそれなりの講習を受けていかなくてはならないわけです。で、それは通訳オフィスの仕事になります。

通訳に関してのアイスランドの悩みは、小さな社会の故に全ての言語について通訳がこなせる人がいるわけではない、ということです。先ほども書きましたが、ほぼ全部の通訳者はプロではなくアマチュアです。

さらに、これも小さな社会の故の悩みなのですが、例えばタイ語しか分からない人が困っていて相談に来た際に、通訳を手配したらその通訳が相談に来る人の知己であって「その人が通訳になるのはイヤ」というようなことが時々起ることです。

まあ、その気持ちは分かりますよね。自分の秘密のようなものが知り合いに筒抜けになってしまうというのは穏やかではないでしょう。「秘密」と分かると守秘義務どころか、やたらにしゃべりまくりたがる人っていますからね。

それにしても、冒頭のニュースのように病院が患者の未成年の子供を通訳に使うというのは、あまりにも安易な処置だと言わざるを得ないでしょう。良い解決を見つけてほしいものです。


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