レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

「ニーブアー」 新しい居住者たち

2014-02-17 05:00:00 | 日記
ちょっと時期がずれてますが、日本では年末になると「流行語大賞」というのがありますよね。実は去年の流行語は何だったのかわからずグーグルしました。「じぇじぇじぇ」「倍返し」「今でしょ」「おもてなし」の四つだったんですね。聞けば、なるほどと思いますが。(^-^;

アイスランドには流行語大賞はないようです。ワタシ、こちらの芸能関係には非常に弱いので知らないだけかもしれませんが。

流行語というのとは少し違いますが、やはり言葉は生き物であり、時代の中で生まれてきたり消えていったりするものであることを感じることがあります。今回はそういう言葉のひとつ「ニーブアー」をご紹介します。

私がアイスランドへ渡ったのが1992年なのですが、「ニーブアー」という新語が世に出てきたのがちょうど同じ頃だったようです。当時は私はアイスランド語はゼロだったので、自分ではそういうことは理解できませんでした。

さてこの「ニーブアー」ですが、アイスランド語ではNybuarと書きますが、これは Nybuiの複数形です。Ny は「新しい」を意味し Bui は「居住者」を意味します。というわけで「ニーブイ」は「新しい居住者」を意味します。つまり移民のことです。

以前ブログにも書いたことがありますが、1990年代以降アイスランドの移民人口が増加してきました。1990年代は、まずアジアからの女性の移民が増加した時期でした。

そういう時期にあってそういう移民を意味する「何か良い言葉を作ろう」ということで、確かかなり名の通った文芸人の人が「ニーブイ」という言葉を生み出したのだ、と聞いたことがあります。誰だったかは忘れました。スミマセン。m(_ _)m

そういう時代の流れの中で、移民というアイスランドでは新しい社会現象が良くも悪くも扱われ始め、それに何とかポジティブな意味合いを持たせようという良い目的を持ってこの言葉は普及していきました。

移民の人たち、とりわけタイから来た女性たちを支える目的でレイキャビク市が取り組みを始め、やがてもう少し広く移民をサポートする機関として「ミズストーズ ・ニーブア」というセンターが1993年に設置されました。「ミズストーズ」はセンターの意味です。

さらに小中学校などでも移民の子供を受け入れるシステム(学級)として「ニーブア・デイルト」(移民学級)というものが設置し始められました。要はアイスランド語が母国語でない子供たちをひとつに合わせてそれ用の授業をしようという考えです。

さらにその授業の進め方の規範となるべきものとして「ニーブア・フライズスル」なるものが考案されていきました。これは移民用学習要項のようなものです。

それまでにあまり経験のない分野だったので、もちろん擦った揉んだはありましたが、その基本的な意図はよいものだったのだろうと考えます。

私はアイスランドへ来てから一年半をへた1993年の暮から、レイキャビク市内の教会で70%の仕事を得ました。何というか一種のパートの仕事です。(アイスランドではこのように割合で仕事を計ることが一般化しています。機会をみて取り上げたいと思います)

その時点では、まだアイスランドの教会で牧師として働く承認は受けていませんでしたので(日本の教会の牧師資格者ではありましたが)、ちょっと中途半端な肩書きで「ニーブアー担当である(日本では牧師である)教会スタッフ」という感じでした。

で、1996年の夏に教会が財政危機になってクビになるまでその仕事を続けたのですが、この時期は私にしてみれば仕事の計画を練ったり、言葉を学習したり、大学のクラスに参加して正規の牧師の承認を得るための補講を受けたり、子供たちを育てたり、と盛り沢山の時期でありました。

そして、その間中ずっと「ニーブア牧師」という肩書きを(正式にはアイスランドの牧師ではなかったのですが)しょっていました。

というわけで、この時代「ニーブアー」は時代を先取りした流行語の感があったのだろうと思います。アイスランド語の知識が薄かった私もそのように感じていました。

ですがこの「ニーブアー」、1990年代の後半からは思わぬ方向へ進んでいくこととなります。その経緯はまた次回、ということでお後がよろしいようで! (*^^*) m(_ _)m 


応援します、若い力。Meet Iceland


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
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