(我孫子高校生の校外授業)
町のマラソン大会の中で一番短い2キロのコースですが、1年生にならないと出られません。
それで、うまいちゃんは応援にまわりました。
スーパーの前で待ちかまえていると、道いっぱいに選手が走ってきました。
おじさん、おばさん、中学生、小学生、おじいさん、おばあさん、
入り混じって走っています。
おもしろい帽子をかぶった人も、ピーナッツのぬいぐるみの人もいました。
そんな一団の中に、4年生のお兄ちゃんがいました。
「がんばって!」
うまいちゃんが言いました。
お兄ちゃんは小さく手を振りました。
それから、お母さんが来ました。
真っ赤な顔で、息をはあはあさせています。
「おかあさん、がんばって!」
「おかあさん、がんばって!」
うまいちゃんは、2度もさけびました。
「えらいわね。お母さんきっと元気が出たわよ」
どこかのおばさんが、笑いながら言いました。
「そうよ。うまいちゃんのお陰でがんばれたわよ」
夕ご飯のとき、お母さんが言いました。
「もう少しで、お母さんに抜かされそうだった」
お兄ちゃんが言いました。
「うまいちゃんの応援が効いたのよ」
お母さんは、そう言ってうまいちゃんに笑いかけました。