イチモンジセセリの1,2,3化と世代交代について、手持ちの写真を入れながらまとめてみました。
♪ 1化
イチモンジセセリの1化は、5月中頃~6月中頃に出現しますが、この辺では見かけることが稀です。1枚だけ過去の1化の写真を探し出せました。
イチモンジセセリは幼虫で越冬しますが、寒さに弱いため、越冬できるのは九州~関東南部に限られます。
2,3化が水田(湿地性イネ科植物)で生育・羽化するのと異なり、越冬は、日当たりの良い田畑の畦・土手、休耕地、谷戸の畔、河川堤防などの乾地性イネ科の雑草を利用して行わますが、除草、耕うん、野焼きなどの農作業で駆除されてしまうため、越冬世代の成虫は極端に少なくなるとの報告があります(1)。
1化 2013年5月16日 相模原公園
♪ 2化
2化は7月頃に早期早植イネの水田(埼玉県では県南部)で発生しますが、数はそう多くありません(2)。2化の写真もこの1枚をやっと探し出しました。
2化 2014年7月15日 丹沢東麓
♪ 3化
3化は、8月中頃~9月におびただしい数が広大な水田(二毛作田の移植の遅いイネ、埼玉県では県北部中心)で発生しますが、この世代は著しい食害をもたらし、時に大集団が南西方向に約100km移動することが観察されています(3)。
平地では3化の鱗粉の落ちていない個体がなかなか見当たりませんが、山間部では新鮮な個体が数頭集まっていました(↓)。なぜか低標高地でみるような激しい動きをせず、落ち着いて撮影できました。密度が低いせいかもしれません。
3化 2015年8月27日 丹沢東麓
3化 2015年8月27日 丹沢東麓
3化は、標高の高い山地でも見られました。
3化 2014年9月2日 山梨県(標高1,400m)
♪ 翅裏の色彩
あまりにも1化、2化の写真が少ない条件での比較になりますが、2化は1化や3化に比べて翅裏が明るい色になっていました。
この翅裏の色彩は老齢幼虫期の日長で決まります。2化の老熟幼虫期(6月下旬頃)の日長は14時間30分以上で淡色小型となり、1化、3化の老齢幼虫期の日長はそれ以下で暗色大型になります(3)。
参考資料
(1)原聖樹, 山崎義明、宮川健太郎、関谷英雄, "神奈川県におけるイチモンジセセリ・チャバネセセリの越冬", 関東東山病害虫研究会報, 47,105-108(2000).
(2)江村薫, "埼玉県におけるイチモンジセセリの第1世代成虫の発生実態の把握", 関東東山病害虫研究会報, 41, 191-196(1994).
(3)中筋房夫, 石井実, "蝶、海へ還る イチモンジセセリ渡りの謎", 冬樹
社(1988).
♪ 1化
イチモンジセセリの1化は、5月中頃~6月中頃に出現しますが、この辺では見かけることが稀です。1枚だけ過去の1化の写真を探し出せました。
イチモンジセセリは幼虫で越冬しますが、寒さに弱いため、越冬できるのは九州~関東南部に限られます。
2,3化が水田(湿地性イネ科植物)で生育・羽化するのと異なり、越冬は、日当たりの良い田畑の畦・土手、休耕地、谷戸の畔、河川堤防などの乾地性イネ科の雑草を利用して行わますが、除草、耕うん、野焼きなどの農作業で駆除されてしまうため、越冬世代の成虫は極端に少なくなるとの報告があります(1)。
1化 2013年5月16日 相模原公園
♪ 2化
2化は7月頃に早期早植イネの水田(埼玉県では県南部)で発生しますが、数はそう多くありません(2)。2化の写真もこの1枚をやっと探し出しました。
2化 2014年7月15日 丹沢東麓
♪ 3化
3化は、8月中頃~9月におびただしい数が広大な水田(二毛作田の移植の遅いイネ、埼玉県では県北部中心)で発生しますが、この世代は著しい食害をもたらし、時に大集団が南西方向に約100km移動することが観察されています(3)。
平地では3化の鱗粉の落ちていない個体がなかなか見当たりませんが、山間部では新鮮な個体が数頭集まっていました(↓)。なぜか低標高地でみるような激しい動きをせず、落ち着いて撮影できました。密度が低いせいかもしれません。
3化 2015年8月27日 丹沢東麓
3化 2015年8月27日 丹沢東麓
3化は、標高の高い山地でも見られました。
3化 2014年9月2日 山梨県(標高1,400m)
♪ 翅裏の色彩
あまりにも1化、2化の写真が少ない条件での比較になりますが、2化は1化や3化に比べて翅裏が明るい色になっていました。
この翅裏の色彩は老齢幼虫期の日長で決まります。2化の老熟幼虫期(6月下旬頃)の日長は14時間30分以上で淡色小型となり、1化、3化の老齢幼虫期の日長はそれ以下で暗色大型になります(3)。
参考資料
(1)原聖樹, 山崎義明、宮川健太郎、関谷英雄, "神奈川県におけるイチモンジセセリ・チャバネセセリの越冬", 関東東山病害虫研究会報, 47,105-108(2000).
(2)江村薫, "埼玉県におけるイチモンジセセリの第1世代成虫の発生実態の把握", 関東東山病害虫研究会報, 41, 191-196(1994).
(3)中筋房夫, 石井実, "蝶、海へ還る イチモンジセセリ渡りの謎", 冬樹
社(1988).