世田谷区の田園調布雙葉中学高等学校で開催された、東京都私立中学高等学校父母の会第8支部連合会の研修会に出席させていただきました。
東京私立中学高等学校協会副会長であり、鷗友学園で理事長を務められている清水哲雄先生が「私学振興の重要性」と題して講演されました。
私立学校振興助成法の第一条には、
この法律は、学校教育における私立学校の果たす重要な役割にかんがみ、国及び地方公共団体が行う私立学校に対する助成の措置について規定することにより、私立学校の教育条件の維持及び向上並びに私立学校に在学する児童、生徒、学生又は幼児に係る修学上の経済的負担の軽減を図るとともに私立学校の経営の健全性を高め、もつて私立学校の健全な発達に資することを目的とする。
と書かれています。
ここには、公教育における私立学校の重要な役割が端的に示されています。国と自治体は、これを根拠にして「私学助成」がおこなっています。
しかし、厳然として公立学校と私立学校の間には、格差が存在しています。私立学校を選択したのだから、高い授業料を払うのは当たり前という価値観(私も中学生の頃はそう思っていました)は、私立学校が公教育における重要な役割からすれば本来は乗り越えるべきものです。
公費支出の割合では、公私間格差は約3.2倍。授業料以外にも、入学金や施設設備費などの名目で、私立学校の場合は負担しなければなりません。
東京都が、年収760万円未満の方々に対して、授業料の実質無償化を開始したことは大変重要な一歩です。日本共産党都議団としても、保護者や教職員のみなさんとともに、私立学校のおける授業料負担軽減を始めとする経済的負担軽減に取り組んできました。
改めて強調しますが、いまなお公私間格差は厳然としてあるのです。
私が、清水先生の講演で大変興味深く聞いたのは、民主主義国家の発展における私立学校の役割についてです。
国立は、実験校としての色彩が強く研究成果を還元する役割
公立は、地域性や一様分布などひとしく教育の機会を確保する役割
私立は、建学の精神があり独自性を発揮した教育の役割
ものすごく役割分担をシンプルに書くと上の様になります。
精神的な自由、表現の自由、教育の選択の自由──多様な価値観を肯定し、多様性を発揮することが民主主義の国には不可欠です。
その意味で、学校選択における私立学校の役割は大変重要なのです。
清水先生の言葉を借りれば「国公立と私立という2つの原理があってこそ民主主義の国は発展する」ということになります。
私立学校は、建学の精神に共鳴してそこに集った人たちが学校をつくっていきます。それは、建学の精神を引き継ぎながら発展的に捉えて行くことがなければ、時代が進む中でなくなっていく可能性があるということを清水先生はおっしゃっていました。
公立か私立かという狭いパイの中で奪い合いを行うのではなく、GDPに占める教育費への公的支出が最低レベルという状況を一刻も早く脱することが必要だと思います。どこの学校を選択するか──本当はあの学校に行きたかったけれど、経済的理由であきらめたということがない様に、政治が今こそ力を発揮する時です。
参考:「安倍首相「教育無償化」いうが 予算削り競争主義・多忙化」(2017年10月22日「赤旗」)
(写真は長島可純さん撮影。写真の無断転載、二次利用はご遠慮ください)
にほんブログ村←日本共産党池川友一のオフィシャルブログ「都政への架け橋」を見ていただきありがとうございます。一日1回、応援クリックをお願いします。