10月5日、「いのちとくらしを守る熊本ネットワーク」のみなさんと一緒に上京し、政府省庁へ、熊本地震の復旧・復興の支援拡充を要望しました。上野・那須・山部、3人の市議団揃って参加しました。
国会からは、田村貴昭衆議院議員・真島省三衆議院議員・仁比聡平参議院議員に参加していただきました。
以下の項目を要望しました。
【内閣府】
Ⅰ.被災者生活再建支援制度の改善を。最大300万円を500万円に引き上げること。
Ⅱ.被害認定を四段階で区切るのでなく、経済的損失額に応じた被害認定にするなど実態に応じて段階を増やすなどの改善をはかること。
Ⅲ.一部損壊への支援について
(要望理由)
熊本県内の住宅被害は約17万棟にものぼっています。このうち約13万棟は、一部損壊の被害です。被災した住宅のうち、半壊以上に対する支援制度はありますが、一部損壊についてはほとんどありません。
一部損壊の被害といっても、修復に数万円ですむ被害から数百万円以上かかる場合もあります。その住宅に住み続けるうえで、被害を受けた住宅を修復しなければ、傷みが進んだり、余震や台風などにより損壊が広がったりしかねないものが多くあります。一刻も早い修復が求められますが、経済的に様々な困難もあり修復は大きな負担となります。今こそ、被災者一人ひとりへの温かい支援が必要です。
(要望項目)
一部損壊と判定された世帯にも生活再建資金の支給、応急修理制度の適用、医療や介護の減免など支援の対象にしていただくこと。
Ⅳ.応急仮設に関して
(要望理由)
現在、約9割の応急仮設住宅が完成し入居が進んでいます。住居が決まり安心したところで新たな問題もでてきています。
憲法13条では「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」とし、憲法25条では「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」とされています。この見地に立った応急仮設住宅の施策をはかり適切かつ良質のものとすること求められます。
(要望項目)
1、住み続けることが困難な一部損壊・半壊家屋でありながら解体の決断に至らない被災者についても、希望に応じて仮設住宅への入居を認めること。
2、いったん仮設に入居しても、希望があれば他の場所の仮設への転居、またプレハブから木造仮設への転居など柔軟に認めること。
3、仮設住宅の大きさについての要件を緩和すること。
4、入居期間終了後、災害公営住宅、民間払い下げなど用途転用が円滑にできるよう制度を整備すること。
5、駐車場、駐輪場、物置の設置、断熱、防音、バリアフリーなど住環境改善の要望が噴出しています。国からの100%財源保障で改善が進められるよう支援すること。
Ⅴ.災害援護資金貸付事業について
(要望理由)
「災害援護資金貸付事業」は、かつ所得制限もあり、被災者の中でも生活の苦しい方々が利用する制度です。しかし、根拠法令「災害弔慰金の支給等に関する法律」の定めによって、措置期間は無利子であるものの、返済が始まれば年3%の利息を徴収することになります。中小企業への「特別融資」は、利息補給によって、3年間は無利子の措置が取られます。
「災害弔慰金の支給等に関する法律」は、昭和48年にできた法律です。その公布当初から、利率3%が定められており、超低金利の今の時代に全くそぐわないものと思われます。また、償還金が期限内に返済できなかった場合は、年利10・75%の違約金まで払わなければならない仕組みになっています。その違約金もまた、法の公布と同時公布された施行令に定められたものです。また、保証人を必要としていることも、被災者にとっては、利用しにくい制度にしています。無利子・無保証人とし、違約金の徴収をやめるなど、被災者の実態に即した制度となるよう見直しを求めます。
(要望項目)
「災害援護資金貸付事業」を無利子・無保証人にし、違約金徴収を止めること。
Ⅵ.被災市町村への人員の派遣・配置および、財政措置について
(要望理由)
多くの自治体が自治体職員のマンパワーの不足により対応が遅れ、初期段階では、多くの自治体で被災者数や家屋の被害状況も掴めない状況となり、罹災証明書の発行も遅れました。また8月14日付熊本日日新聞の報道によると地震から4か月経過しても行政が避難の全容を掴めていないことが報告されており、ある自治体は「職員に余裕がない」と回答しています。熊本県内の自治体では2003年から約10年の間に自治体職員が減らされ、合わせて非正規職員の割合が高まってきていることが報告されています。被災地においても行政が行政としての役割をきちんと果たせるよう、人員の確保と財政措置も合わせて体制を構築することは急務となっています。
(要望項目)
1、技術系職員(測量、設計等)が不足。迅速に支援に応じられるよう手続き等を改善すること。
2、人員不足でコンサル会社に委託せざるを得ない状況だが委託料は単費となります。財政的支援をすること。
Ⅶ. 「後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律」の負担割合について
(要望項目)
「後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律」において、熊本の開発指定事業に係る引き上げ率が前年度の1.10から1.09に変更されました。
このことにより、今年度は該当事業についての県、市町村の負担金が増えています。熊本地震という特別の事情が発生した状況下に鑑み、特例措置として引き上げ率を前年度に戻していただくようお願いします。
(要望理由)
負担割合の変更により、一例をあげると連続立体交差事業の負担の場合、県負担分で2億1千万円、熊本市負担分で9千万円も増加しています(社会資本整備総合交付金分。前年度負担割合と比較した場合の差額)。現在熊本県も被災市町村も危機的な財政状況に直面しながらも、復旧復興への懸命の努力を行なっています。負担割合の変更は、地震前の昨年8月21日付けで総務大臣から通知されたものですが、ぜひ特別の措置として、少なくとも前年度以上の負担とならないようご配慮をお願いします。
Ⅷ.社会教育施設の復旧支援について
(要望項目)
社会教育施設に1億円以上の被害がありながら、合志市、玉名市、菊陽町、八代市の4市町は「特定地方公共団体」に指定されていません。みなし措置で復旧支援をすること。
Ⅸ.体育館の建て替えについて
(要望理由)
熊本地震によって、学校施設も大きな被害を受けました。熊本市は、発災前に、体育館も含むすべての学校施設の耐震化を終了していましたが、震度7の2回の発生によって、耐震化していたにもかかわらずの損傷となりました。特に、体育館は小中学校137校のうち24校の体育館が危険で使用不能となりました。熊本市の体育館建て替えに対する補助要望で、小中学校2校(高校・武道場は別)が補助採択を受けましたが、ほとんどの体育館が建替え補助が認められず、修理で対応ということになりました。今回の地震の被災状況を見ますと、震度7が2回という大きな揺れの中で、古い建物の被害が大きくなりました。災害復旧で老朽化は対応しないとも聞いていますが、老朽化していたからこそ、耐震化が完了していたにもかかわらず、多くの学校施設が大規模な被害を受けたという現状もあります。また、余震が減ってきているとはいえ、まだまだ途切れずに発生している状況を見ると、老朽化を放置することは、大きな余震が発生した場合、深刻な施設被害も心配されます。現在、修理での対応となっている体育館についても建替えの補助採択を抜本的に広げ、早急に建て替えがすすめられるよう、国の支援を強く要望します。
(要望項目)
体育館の建て替えへの支援を抜本的に拡充すること。
Ⅹ.熊本地震被害への支援強化について
(要望項目)
1、国、民間実施を除く事業費見込みは約2兆5千億円にも上り、さらに増加する可能性もあるため、復旧・復興費については全額国庫負担で行うこと。
2、災害救助法については、収入見込み額の100分の4をこえる部分については、その額の「100分の90」を「100分の100」に改めること。
Ⅺ.復興基金について
(要望理由)
現在、熊本県において、 政府が本年度第2次補正予算案に計上した特別交付税510億円などを原資に、復興基金創設にむけた条例が提案されています。
複数年度にわたって活用でき、かつ既存の支援制度が及ばない被災者への多様な支援につなげることできるなど、復興基金創設に向けた財政措置に心より感謝申し上げます。
震災直後より、被災者への聞き取りや被害状況の調査を行ってまいりましたが、一部損壊世帯への修繕費用の助成、擁壁被害や液状化などによる宅地被害への助成、さらには、農家や中小業者へのさらなる経済的負担軽減、指定外文化財の復旧、寺社など地域のコミュニティーの核となっている施設の復旧支援など、生活や生業の再建に向け、さらなる財政支援が求められていることを実感しています。
国に置かれましては、復興基金増額のため、財政的支援のさらなる拡充を図っていただくようお願いいたします。
(要望項目)
復興基金増額のため、財政的支援の拡充を行うこと。
Ⅻ.災害時の対応について
(要望理由)
今回の熊本地震の発生は、地域住民にとっても、また行政にとっても予期せぬ想定外の大災害であり、日ごろの防災訓練や災害マニュアルによる諸準備はしてあったものの、その範囲では間に合わないことも多く、対応に追われる毎日でした。そういう中で、前震の発災直後に内閣府より「避難所の生活環境の整備等について」がいち早く出されました。しかし、なかなか国の通知通りの運用がすすまず、5月20日には「避難所における食生活の改善について」という短期間に同趣旨の通知が2回にわたって出されるという異例の事態となりました。そのほか、国からの電話連絡等による口頭での通知もあったと聞いています。
連日なれない大災害への対応に追われる中、国の通知内容は極めて重要です。法に基づき適切な対応が速やかになされるよう、通知の内容が現場できちんと実施されるよう、国としてもその徹底を図っていただくよう要望します。
(要望項目)
災害時に出された国の通知の内容が実行されるよう県・市町村への徹底を図ること。
【厚生労働省】
Ⅰ.生活保護制度に関して
(要望理由)
熊本市においては、昨年度の生活保護費改定の中で、住宅扶助費が大幅に減額されました。賃貸物件の家賃の高い都市部にある熊本市の住宅扶助基準が低くなり、他の県下市町村が扶助費が高いという逆転現象が起こり、熊本市では基準内での賃貸物件を探すのが難しくなったり、実際に扶助費が引き下げられる世帯にはおおきな不安となりました。現在、特別基準での対応なども行われていますが、そういう中での地震発生となりました。老朽化した低家賃の物件の多くが損壊し、低い住宅扶助費基準では賃貸物件を探すのが一層難しくなりました。種々の事情があって、1階を希望される方々などはいつまでたっても見つからないという状況にもなっています。市として、特別基準での対応を引き続き実施することはもちろん、国としても地震発生によって矛盾を深めている住宅扶助費削減をやめ、扶助費基準の引き上げを図っていただくよう要望します。
(要望項目)
1、生活保護世帯に支給される生活再建支援金、義援金は収入認定しないこと。
2、地震発生の中でますます矛盾を深めている生活保護の住宅扶助の減額改定を元に
戻すこと。
Ⅱ.被災者が安心して係れる医療機関体制について
(要望理由)
「平成28年熊本地震で被災した被保険者の一部負担金の取り扱いについて」は、10月1日からの診療、調剤及び訪問看護については、保険者から交付された一部負担金等の猶予・免除証明書を提示した者のみ、窓口での一部負担金等の支払を猶予・免除することとなっていますが、熊本市にある一般病院では4月12名、5月54名、6月136名、7月292名、8月369名と月を追うごとに利用者が増加しています。これは制度が周知されてきたことの反映と考えられます。被災者の健康リスクは震災前よりも高まっており、安心して医療機関に係れる体制を構築することが求められます。
(要望項目)
被災者の立場に立ち、制度のさらなる周知徹底と利用のしやすさを求めるとともに、期間のできる限りの延長をしていただくこと。
Ⅲ.福祉避難所のあり方について
(要望理由)
福祉避難所の設置については、熊本地震で、災害時に高齢者や障害者を受け入れるために指定されている熊本県内の福祉避難所のうち、発生1カ月半後の6月1日時点で受け入れ可能と確認できた施設は指定461ヵ所中115カ所で、全体の4分の1となり、約7400人の受け入れ予定が2401人となりました。熊本市では176の高齢者施設と「福祉避難所」の協定を結び1,700人が避難する計画を立てていましたが、介護施設の人員不足等もあり、福祉避難所として被災者を受け入れた施設は、本震後すぐでは34施設(19%)となりました。介護分野は慢性的に人材が不足しており、災害時では職員も被災し、過酷な状況となっています。
(要望項目)
今後の対策のためにも、介護職員の待遇改善を具体化し、人員確保を急ぐとともに、福祉避難所の在り方について検討をしていただくこと。
Ⅳ.介護分野における災害対策について
(要望項目)
介護分野における災害対策チームの体制を構築していただくこと。
Ⅴ.熊本市民病院の再建について
(要望理由)
熊本地震によって多大の被害を受けた熊本市民病院については、再建に向けた方向性が示され、現在国との協議も行われているところです。
国家公務員住宅のある東町への移転建替えの方向で準備が進められていますが、病院や自治体の負担が最大限軽減されるよう財政支援を求めるものです。また、市民病院の再開までの年間収支については、40億円の収支不足が見込まれており、病院再開までの3年6カ月の間、約140億円の震災減収対策企業債で対応することとしています。震災減収対策企業債については、歳入欠陥債のような57%の国の財政補てんもありません。本年9月に示された熊本市民病院再建基本計画案においては、地域医療構想の方針の下、再開後、病床削減による380床での収支予測はわずかに黒字となるもの、年10億円の返済は相当な困難が予想されます。震災減収対策企業債については、東日本大震災同様の財政的な支援を行っていただくようお願いいたします。
(要望項目)
熊本市民病院再建に向けた建設費への補助率引き上げと震災減収対策企業債への財政補てんを行うこと。
Ⅵ.雇用保険失業給付の特例措置について
(要望理由)
熊本地震の影響によって県内の事業所の廃止や休業が相次ぎ、雇用保険の受給者が5月で9345人、6月は1万1341人、7月は1万1779人と急増しています。そういう中で、受給期間が短い失業者が9月中旬から下旬にかけて受給できなくなることに対して貴省が12市町村に限り90日間の給付延長を指定いただいたことに敬意を表します。しかし、今回の特例でも受給すれば加入期間がリセットされることで給付申請に踏み切れなかった休業者もいます。ただでさえ、被災者は住まいの問題等で多くの悩みや困難を抱えています。なかでも、失業者と休業者の生活と生業の再建の第一歩は「はたらく場所」にほかなりません。こうした失業者と休業者が少しでも前を向いて復興への一歩を踏み出せるように、さらなる支援の強化を求めます。
(要望項目)
1、特例失業給付は、受給しても加入期間がリセットされないよう特段の措置をはかっていただくこと。
2、90日間の受給延長については、受給中ではない失業者も対象としていただくこと。あわせて、12市町村に限定せず受給延長をしていただくこと。
2、雇用保険の加入対象外の労働者についても何らかの失業補償していただくこと。
【国土交通省】
Ⅰ.宅地復旧について
宅地復旧に関する支援制度を創設すること。
Ⅱ.災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業及び
災害関連地域防災がけ崩れ対策事業について
特例措置がとられる6月12日以前に、自費で擁壁補修を行った被災者に対しても遡って補助を行うこと。
Ⅲ.地盤沈下、液状化被害について
地盤沈下、液状化被害への対策事業も災害対策として市町村や住民の負担を軽減するための支援を行うこと。
【経済産業省・財務省】
Ⅰ.中小企業等グループ施設等復旧補助事業について
(要望項目)
1、①.現在2次まで決まっている「グループ補助金」の予算を追加増額し、引き続き継続すること。被害がひどくて、まだ申請の入り口にも立てない事業者や県内の約90%を占める小規模事業者、小企業者が活用できるように予算の増額と継続、申請書類の更なる簡素化へ改善すること。
②.設計料及び施行・管理料を補助金の対象とすること。
補助対象となる施設の建設において「設計料」及び「施行・管理料」が、「各種手続の費用」にあたると言うことで自己負担との連絡が県からありました。
「設計料」及び「施行・管理料」は本来、建設の一部であり切り離して考えることは、出来ません。建築確認などの申請と同じと考えるのはおかしいと思います。「設計図」がなければ建物は建ちません。東日本大震災でのグループ補助金でも、「設計料」も当然含まれていたとのことです。国及び県では、どんな根拠で「設計料」及び「施行・管理料」を 「各種手続の費用」とするのか示すこと。
2、店舗・工場の修復費用や、営業再開までの運転資金について、グループ補助金に漏れた被災事業者を対象にした直接補助制度を創設すること。
Ⅱ.被災ローン減免制度の活用について
(要望項目)
二重ローンに関する相談が400件をこえる状況になっています。あらためて被災ローン減免制度の周知を徹底し、活用をすすめること。
Ⅲ.事業者生成支援機構について
(要望項目)
事業者再生支援機構の創設については、それに類する「地域経済活性支援機構」なるものが地銀とタイアップで7月末に立ち上がっており、削除してよいのではないか。
【農林水産省】
Ⅰ.農業者への支援策について
(要望理由)
被災した農業者向けの支援事業として「被災農業者向け経営体育成支援事業」が実施されています。しかし、補助対象となるための要件が種々あり、被災者の現状にそぐわない内容もあります。被災した施設・機械の再建については、それぞれに耐用年数が定められ、施設では軽量鉄骨によるものが17年、木造15年、機械は7年です。もちろん、原状復帰が原則で、機能向上や規模拡大となる場合は、原状復帰を超える部分が自己負担となります。現在、農業者は大変高齢化しており、被災者も例外ではありません。原状復帰であっても、耐用年数の期間内に「営農中止」「離農」となった場合は、補助金を返還していただくとの説明がなされています。高齢の営農者にとって、何年後に農業が続けられなくなるのかというのは不明です。そのために、「機械・施設の復旧を断念し、営農が大変困難になっている」「高齢者は後継者がいないと補助を受けられないので、息子が会社を辞めなくてはならない」などの、声が寄せられています。地震がなかったら、当たり前に農業を続けられていたのに、原状復帰すらできない状態です。耐用年数を盾に、支援が受けられないという状態にならないよう、補助対象の要件を緩和するなど被災農家の実態に合ったものとするよう要望します。
(要望項目)
1、農地、機会、施設等の復旧費用の市町村負担、農家負担をゼロにしていただくこと。
2、「被災農業者向け経営体育成支援事業」等の農業支援策の対象要件を被災者の実態に合ったものとしていただくこと。
Ⅱ、中山間地被害への支援策について
(要望理由)
「特定農山村法」(第1条 特定農山村地域について、地域における創意工夫を生かしつつ、農林業その他の事業の活性化のための基盤の整備を促進するための措置を講ずることにより、地域の特性に即した農林業その他の事業の振興を図り、もって豊かで住みよい農山村の育成に寄与することを目的とする)(第2条 「特定農山村地域」とは、地勢等の地理的条件が悪く、農業の生産条件が不利な地域であり、かつ、土地利用の状況、農林業従事者数等からみて農林業が重要な事業である地域として、政令で定める要件に該当するものをいう)
「山村振興法」(第1条 この法律は、国土の保全、良好な景観の形成、文化の伝承、水源の涵養、自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の伝承等に重要な役割を担つている山村の産業基盤及び生活環境の整備等の状況に鑑み、山村の振興に関し、基本理念を定め、その目標を明らかにするとともに、山村振興に関する計画の作成及びこれに基づく事業の円滑な実施に関し必要な措置を講ずることにより、山村の自立的発展を促進し、山村における経済力の培養と住民の福祉の向上並びに地域間の交流の促進等による山村への移住の促進を含めた山村における定住の促進及び山村における人口の著しい減少の防止を図り、併せて地域格差の是正と国民経済の発展に寄与することを目的とする)に沿って、中山間地における農地、用水路等の被害に対して抜本的な支援策を具体化していただくよう要望します。
(要望項目)
1、中山間地における農地、用水路等の被害に対して抜本的な支援策を具体化すること。
2、復旧費用の反当り限度額を撤廃すること。
3、負担が多額すぎて、多くが農業をやめ、離村し、国土の荒廃・環境悪化につながります。95%は補助になるが、5%でも被災農家にとっては大変な負担です。800万円の場合40万円となり、離農に拍車がかかることが懸念されます。被災地の農業再建費用は、国が全額負担すること。
国会からは、田村貴昭衆議院議員・真島省三衆議院議員・仁比聡平参議院議員に参加していただきました。
以下の項目を要望しました。
【内閣府】
Ⅰ.被災者生活再建支援制度の改善を。最大300万円を500万円に引き上げること。
Ⅱ.被害認定を四段階で区切るのでなく、経済的損失額に応じた被害認定にするなど実態に応じて段階を増やすなどの改善をはかること。
Ⅲ.一部損壊への支援について
(要望理由)
熊本県内の住宅被害は約17万棟にものぼっています。このうち約13万棟は、一部損壊の被害です。被災した住宅のうち、半壊以上に対する支援制度はありますが、一部損壊についてはほとんどありません。
一部損壊の被害といっても、修復に数万円ですむ被害から数百万円以上かかる場合もあります。その住宅に住み続けるうえで、被害を受けた住宅を修復しなければ、傷みが進んだり、余震や台風などにより損壊が広がったりしかねないものが多くあります。一刻も早い修復が求められますが、経済的に様々な困難もあり修復は大きな負担となります。今こそ、被災者一人ひとりへの温かい支援が必要です。
(要望項目)
一部損壊と判定された世帯にも生活再建資金の支給、応急修理制度の適用、医療や介護の減免など支援の対象にしていただくこと。
Ⅳ.応急仮設に関して
(要望理由)
現在、約9割の応急仮設住宅が完成し入居が進んでいます。住居が決まり安心したところで新たな問題もでてきています。
憲法13条では「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」とし、憲法25条では「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」とされています。この見地に立った応急仮設住宅の施策をはかり適切かつ良質のものとすること求められます。
(要望項目)
1、住み続けることが困難な一部損壊・半壊家屋でありながら解体の決断に至らない被災者についても、希望に応じて仮設住宅への入居を認めること。
2、いったん仮設に入居しても、希望があれば他の場所の仮設への転居、またプレハブから木造仮設への転居など柔軟に認めること。
3、仮設住宅の大きさについての要件を緩和すること。
4、入居期間終了後、災害公営住宅、民間払い下げなど用途転用が円滑にできるよう制度を整備すること。
5、駐車場、駐輪場、物置の設置、断熱、防音、バリアフリーなど住環境改善の要望が噴出しています。国からの100%財源保障で改善が進められるよう支援すること。
Ⅴ.災害援護資金貸付事業について
(要望理由)
「災害援護資金貸付事業」は、かつ所得制限もあり、被災者の中でも生活の苦しい方々が利用する制度です。しかし、根拠法令「災害弔慰金の支給等に関する法律」の定めによって、措置期間は無利子であるものの、返済が始まれば年3%の利息を徴収することになります。中小企業への「特別融資」は、利息補給によって、3年間は無利子の措置が取られます。
「災害弔慰金の支給等に関する法律」は、昭和48年にできた法律です。その公布当初から、利率3%が定められており、超低金利の今の時代に全くそぐわないものと思われます。また、償還金が期限内に返済できなかった場合は、年利10・75%の違約金まで払わなければならない仕組みになっています。その違約金もまた、法の公布と同時公布された施行令に定められたものです。また、保証人を必要としていることも、被災者にとっては、利用しにくい制度にしています。無利子・無保証人とし、違約金の徴収をやめるなど、被災者の実態に即した制度となるよう見直しを求めます。
(要望項目)
「災害援護資金貸付事業」を無利子・無保証人にし、違約金徴収を止めること。
Ⅵ.被災市町村への人員の派遣・配置および、財政措置について
(要望理由)
多くの自治体が自治体職員のマンパワーの不足により対応が遅れ、初期段階では、多くの自治体で被災者数や家屋の被害状況も掴めない状況となり、罹災証明書の発行も遅れました。また8月14日付熊本日日新聞の報道によると地震から4か月経過しても行政が避難の全容を掴めていないことが報告されており、ある自治体は「職員に余裕がない」と回答しています。熊本県内の自治体では2003年から約10年の間に自治体職員が減らされ、合わせて非正規職員の割合が高まってきていることが報告されています。被災地においても行政が行政としての役割をきちんと果たせるよう、人員の確保と財政措置も合わせて体制を構築することは急務となっています。
(要望項目)
1、技術系職員(測量、設計等)が不足。迅速に支援に応じられるよう手続き等を改善すること。
2、人員不足でコンサル会社に委託せざるを得ない状況だが委託料は単費となります。財政的支援をすること。
Ⅶ. 「後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律」の負担割合について
(要望項目)
「後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律」において、熊本の開発指定事業に係る引き上げ率が前年度の1.10から1.09に変更されました。
このことにより、今年度は該当事業についての県、市町村の負担金が増えています。熊本地震という特別の事情が発生した状況下に鑑み、特例措置として引き上げ率を前年度に戻していただくようお願いします。
(要望理由)
負担割合の変更により、一例をあげると連続立体交差事業の負担の場合、県負担分で2億1千万円、熊本市負担分で9千万円も増加しています(社会資本整備総合交付金分。前年度負担割合と比較した場合の差額)。現在熊本県も被災市町村も危機的な財政状況に直面しながらも、復旧復興への懸命の努力を行なっています。負担割合の変更は、地震前の昨年8月21日付けで総務大臣から通知されたものですが、ぜひ特別の措置として、少なくとも前年度以上の負担とならないようご配慮をお願いします。
Ⅷ.社会教育施設の復旧支援について
(要望項目)
社会教育施設に1億円以上の被害がありながら、合志市、玉名市、菊陽町、八代市の4市町は「特定地方公共団体」に指定されていません。みなし措置で復旧支援をすること。
Ⅸ.体育館の建て替えについて
(要望理由)
熊本地震によって、学校施設も大きな被害を受けました。熊本市は、発災前に、体育館も含むすべての学校施設の耐震化を終了していましたが、震度7の2回の発生によって、耐震化していたにもかかわらずの損傷となりました。特に、体育館は小中学校137校のうち24校の体育館が危険で使用不能となりました。熊本市の体育館建て替えに対する補助要望で、小中学校2校(高校・武道場は別)が補助採択を受けましたが、ほとんどの体育館が建替え補助が認められず、修理で対応ということになりました。今回の地震の被災状況を見ますと、震度7が2回という大きな揺れの中で、古い建物の被害が大きくなりました。災害復旧で老朽化は対応しないとも聞いていますが、老朽化していたからこそ、耐震化が完了していたにもかかわらず、多くの学校施設が大規模な被害を受けたという現状もあります。また、余震が減ってきているとはいえ、まだまだ途切れずに発生している状況を見ると、老朽化を放置することは、大きな余震が発生した場合、深刻な施設被害も心配されます。現在、修理での対応となっている体育館についても建替えの補助採択を抜本的に広げ、早急に建て替えがすすめられるよう、国の支援を強く要望します。
(要望項目)
体育館の建て替えへの支援を抜本的に拡充すること。
Ⅹ.熊本地震被害への支援強化について
(要望項目)
1、国、民間実施を除く事業費見込みは約2兆5千億円にも上り、さらに増加する可能性もあるため、復旧・復興費については全額国庫負担で行うこと。
2、災害救助法については、収入見込み額の100分の4をこえる部分については、その額の「100分の90」を「100分の100」に改めること。
Ⅺ.復興基金について
(要望理由)
現在、熊本県において、 政府が本年度第2次補正予算案に計上した特別交付税510億円などを原資に、復興基金創設にむけた条例が提案されています。
複数年度にわたって活用でき、かつ既存の支援制度が及ばない被災者への多様な支援につなげることできるなど、復興基金創設に向けた財政措置に心より感謝申し上げます。
震災直後より、被災者への聞き取りや被害状況の調査を行ってまいりましたが、一部損壊世帯への修繕費用の助成、擁壁被害や液状化などによる宅地被害への助成、さらには、農家や中小業者へのさらなる経済的負担軽減、指定外文化財の復旧、寺社など地域のコミュニティーの核となっている施設の復旧支援など、生活や生業の再建に向け、さらなる財政支援が求められていることを実感しています。
国に置かれましては、復興基金増額のため、財政的支援のさらなる拡充を図っていただくようお願いいたします。
(要望項目)
復興基金増額のため、財政的支援の拡充を行うこと。
Ⅻ.災害時の対応について
(要望理由)
今回の熊本地震の発生は、地域住民にとっても、また行政にとっても予期せぬ想定外の大災害であり、日ごろの防災訓練や災害マニュアルによる諸準備はしてあったものの、その範囲では間に合わないことも多く、対応に追われる毎日でした。そういう中で、前震の発災直後に内閣府より「避難所の生活環境の整備等について」がいち早く出されました。しかし、なかなか国の通知通りの運用がすすまず、5月20日には「避難所における食生活の改善について」という短期間に同趣旨の通知が2回にわたって出されるという異例の事態となりました。そのほか、国からの電話連絡等による口頭での通知もあったと聞いています。
連日なれない大災害への対応に追われる中、国の通知内容は極めて重要です。法に基づき適切な対応が速やかになされるよう、通知の内容が現場できちんと実施されるよう、国としてもその徹底を図っていただくよう要望します。
(要望項目)
災害時に出された国の通知の内容が実行されるよう県・市町村への徹底を図ること。
【厚生労働省】
Ⅰ.生活保護制度に関して
(要望理由)
熊本市においては、昨年度の生活保護費改定の中で、住宅扶助費が大幅に減額されました。賃貸物件の家賃の高い都市部にある熊本市の住宅扶助基準が低くなり、他の県下市町村が扶助費が高いという逆転現象が起こり、熊本市では基準内での賃貸物件を探すのが難しくなったり、実際に扶助費が引き下げられる世帯にはおおきな不安となりました。現在、特別基準での対応なども行われていますが、そういう中での地震発生となりました。老朽化した低家賃の物件の多くが損壊し、低い住宅扶助費基準では賃貸物件を探すのが一層難しくなりました。種々の事情があって、1階を希望される方々などはいつまでたっても見つからないという状況にもなっています。市として、特別基準での対応を引き続き実施することはもちろん、国としても地震発生によって矛盾を深めている住宅扶助費削減をやめ、扶助費基準の引き上げを図っていただくよう要望します。
(要望項目)
1、生活保護世帯に支給される生活再建支援金、義援金は収入認定しないこと。
2、地震発生の中でますます矛盾を深めている生活保護の住宅扶助の減額改定を元に
戻すこと。
Ⅱ.被災者が安心して係れる医療機関体制について
(要望理由)
「平成28年熊本地震で被災した被保険者の一部負担金の取り扱いについて」は、10月1日からの診療、調剤及び訪問看護については、保険者から交付された一部負担金等の猶予・免除証明書を提示した者のみ、窓口での一部負担金等の支払を猶予・免除することとなっていますが、熊本市にある一般病院では4月12名、5月54名、6月136名、7月292名、8月369名と月を追うごとに利用者が増加しています。これは制度が周知されてきたことの反映と考えられます。被災者の健康リスクは震災前よりも高まっており、安心して医療機関に係れる体制を構築することが求められます。
(要望項目)
被災者の立場に立ち、制度のさらなる周知徹底と利用のしやすさを求めるとともに、期間のできる限りの延長をしていただくこと。
Ⅲ.福祉避難所のあり方について
(要望理由)
福祉避難所の設置については、熊本地震で、災害時に高齢者や障害者を受け入れるために指定されている熊本県内の福祉避難所のうち、発生1カ月半後の6月1日時点で受け入れ可能と確認できた施設は指定461ヵ所中115カ所で、全体の4分の1となり、約7400人の受け入れ予定が2401人となりました。熊本市では176の高齢者施設と「福祉避難所」の協定を結び1,700人が避難する計画を立てていましたが、介護施設の人員不足等もあり、福祉避難所として被災者を受け入れた施設は、本震後すぐでは34施設(19%)となりました。介護分野は慢性的に人材が不足しており、災害時では職員も被災し、過酷な状況となっています。
(要望項目)
今後の対策のためにも、介護職員の待遇改善を具体化し、人員確保を急ぐとともに、福祉避難所の在り方について検討をしていただくこと。
Ⅳ.介護分野における災害対策について
(要望項目)
介護分野における災害対策チームの体制を構築していただくこと。
Ⅴ.熊本市民病院の再建について
(要望理由)
熊本地震によって多大の被害を受けた熊本市民病院については、再建に向けた方向性が示され、現在国との協議も行われているところです。
国家公務員住宅のある東町への移転建替えの方向で準備が進められていますが、病院や自治体の負担が最大限軽減されるよう財政支援を求めるものです。また、市民病院の再開までの年間収支については、40億円の収支不足が見込まれており、病院再開までの3年6カ月の間、約140億円の震災減収対策企業債で対応することとしています。震災減収対策企業債については、歳入欠陥債のような57%の国の財政補てんもありません。本年9月に示された熊本市民病院再建基本計画案においては、地域医療構想の方針の下、再開後、病床削減による380床での収支予測はわずかに黒字となるもの、年10億円の返済は相当な困難が予想されます。震災減収対策企業債については、東日本大震災同様の財政的な支援を行っていただくようお願いいたします。
(要望項目)
熊本市民病院再建に向けた建設費への補助率引き上げと震災減収対策企業債への財政補てんを行うこと。
Ⅵ.雇用保険失業給付の特例措置について
(要望理由)
熊本地震の影響によって県内の事業所の廃止や休業が相次ぎ、雇用保険の受給者が5月で9345人、6月は1万1341人、7月は1万1779人と急増しています。そういう中で、受給期間が短い失業者が9月中旬から下旬にかけて受給できなくなることに対して貴省が12市町村に限り90日間の給付延長を指定いただいたことに敬意を表します。しかし、今回の特例でも受給すれば加入期間がリセットされることで給付申請に踏み切れなかった休業者もいます。ただでさえ、被災者は住まいの問題等で多くの悩みや困難を抱えています。なかでも、失業者と休業者の生活と生業の再建の第一歩は「はたらく場所」にほかなりません。こうした失業者と休業者が少しでも前を向いて復興への一歩を踏み出せるように、さらなる支援の強化を求めます。
(要望項目)
1、特例失業給付は、受給しても加入期間がリセットされないよう特段の措置をはかっていただくこと。
2、90日間の受給延長については、受給中ではない失業者も対象としていただくこと。あわせて、12市町村に限定せず受給延長をしていただくこと。
2、雇用保険の加入対象外の労働者についても何らかの失業補償していただくこと。
【国土交通省】
Ⅰ.宅地復旧について
宅地復旧に関する支援制度を創設すること。
Ⅱ.災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業及び
災害関連地域防災がけ崩れ対策事業について
特例措置がとられる6月12日以前に、自費で擁壁補修を行った被災者に対しても遡って補助を行うこと。
Ⅲ.地盤沈下、液状化被害について
地盤沈下、液状化被害への対策事業も災害対策として市町村や住民の負担を軽減するための支援を行うこと。
【経済産業省・財務省】
Ⅰ.中小企業等グループ施設等復旧補助事業について
(要望項目)
1、①.現在2次まで決まっている「グループ補助金」の予算を追加増額し、引き続き継続すること。被害がひどくて、まだ申請の入り口にも立てない事業者や県内の約90%を占める小規模事業者、小企業者が活用できるように予算の増額と継続、申請書類の更なる簡素化へ改善すること。
②.設計料及び施行・管理料を補助金の対象とすること。
補助対象となる施設の建設において「設計料」及び「施行・管理料」が、「各種手続の費用」にあたると言うことで自己負担との連絡が県からありました。
「設計料」及び「施行・管理料」は本来、建設の一部であり切り離して考えることは、出来ません。建築確認などの申請と同じと考えるのはおかしいと思います。「設計図」がなければ建物は建ちません。東日本大震災でのグループ補助金でも、「設計料」も当然含まれていたとのことです。国及び県では、どんな根拠で「設計料」及び「施行・管理料」を 「各種手続の費用」とするのか示すこと。
2、店舗・工場の修復費用や、営業再開までの運転資金について、グループ補助金に漏れた被災事業者を対象にした直接補助制度を創設すること。
Ⅱ.被災ローン減免制度の活用について
(要望項目)
二重ローンに関する相談が400件をこえる状況になっています。あらためて被災ローン減免制度の周知を徹底し、活用をすすめること。
Ⅲ.事業者生成支援機構について
(要望項目)
事業者再生支援機構の創設については、それに類する「地域経済活性支援機構」なるものが地銀とタイアップで7月末に立ち上がっており、削除してよいのではないか。
【農林水産省】
Ⅰ.農業者への支援策について
(要望理由)
被災した農業者向けの支援事業として「被災農業者向け経営体育成支援事業」が実施されています。しかし、補助対象となるための要件が種々あり、被災者の現状にそぐわない内容もあります。被災した施設・機械の再建については、それぞれに耐用年数が定められ、施設では軽量鉄骨によるものが17年、木造15年、機械は7年です。もちろん、原状復帰が原則で、機能向上や規模拡大となる場合は、原状復帰を超える部分が自己負担となります。現在、農業者は大変高齢化しており、被災者も例外ではありません。原状復帰であっても、耐用年数の期間内に「営農中止」「離農」となった場合は、補助金を返還していただくとの説明がなされています。高齢の営農者にとって、何年後に農業が続けられなくなるのかというのは不明です。そのために、「機械・施設の復旧を断念し、営農が大変困難になっている」「高齢者は後継者がいないと補助を受けられないので、息子が会社を辞めなくてはならない」などの、声が寄せられています。地震がなかったら、当たり前に農業を続けられていたのに、原状復帰すらできない状態です。耐用年数を盾に、支援が受けられないという状態にならないよう、補助対象の要件を緩和するなど被災農家の実態に合ったものとするよう要望します。
(要望項目)
1、農地、機会、施設等の復旧費用の市町村負担、農家負担をゼロにしていただくこと。
2、「被災農業者向け経営体育成支援事業」等の農業支援策の対象要件を被災者の実態に合ったものとしていただくこと。
Ⅱ、中山間地被害への支援策について
(要望理由)
「特定農山村法」(第1条 特定農山村地域について、地域における創意工夫を生かしつつ、農林業その他の事業の活性化のための基盤の整備を促進するための措置を講ずることにより、地域の特性に即した農林業その他の事業の振興を図り、もって豊かで住みよい農山村の育成に寄与することを目的とする)(第2条 「特定農山村地域」とは、地勢等の地理的条件が悪く、農業の生産条件が不利な地域であり、かつ、土地利用の状況、農林業従事者数等からみて農林業が重要な事業である地域として、政令で定める要件に該当するものをいう)
「山村振興法」(第1条 この法律は、国土の保全、良好な景観の形成、文化の伝承、水源の涵養、自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の伝承等に重要な役割を担つている山村の産業基盤及び生活環境の整備等の状況に鑑み、山村の振興に関し、基本理念を定め、その目標を明らかにするとともに、山村振興に関する計画の作成及びこれに基づく事業の円滑な実施に関し必要な措置を講ずることにより、山村の自立的発展を促進し、山村における経済力の培養と住民の福祉の向上並びに地域間の交流の促進等による山村への移住の促進を含めた山村における定住の促進及び山村における人口の著しい減少の防止を図り、併せて地域格差の是正と国民経済の発展に寄与することを目的とする)に沿って、中山間地における農地、用水路等の被害に対して抜本的な支援策を具体化していただくよう要望します。
(要望項目)
1、中山間地における農地、用水路等の被害に対して抜本的な支援策を具体化すること。
2、復旧費用の反当り限度額を撤廃すること。
3、負担が多額すぎて、多くが農業をやめ、離村し、国土の荒廃・環境悪化につながります。95%は補助になるが、5%でも被災農家にとっては大変な負担です。800万円の場合40万円となり、離農に拍車がかかることが懸念されます。被災地の農業再建費用は、国が全額負担すること。