上野みえこの庭

日本共産党熊本市議の上野みえこのブログです。

臨時議会で「熊本地震復興計画」を審議

2016-10-14 11:40:54 | 熊本市議会
熊本地震の前震発生からちょうど半年となる10月14日、熊本地震の「復興計画」(案)を審議する臨時議会が開かれました。

日本共産党市議団は、復興の重点プロジェクトにMICE・(仮称)「熊本城ホール」を掲げる「復興計画」の問題点を指摘しました。

私は、「復興計画」への反対討論と、質疑を行いました。

反対討論は以下のとおりです。

議第246号「熊本市基本計画の一部変更について」、復興計画の問題点を述べ、反対討論を行います。
 今日で、熊本地震の前震発生からちょうど半年を迎えます。改めて、犠牲となられたみなさまのご冥福をお祈りしますとともに、被災されたすべてのみなさまに衷心よりお見舞い申し上げます。
第1に、今回の復興計画は「第7次総合計画」の基本計画に位置付けるという形での提案になっています。総合計画に位置付けられたことで、議会の議決案件となったことはよいのですが、一方で、総合計画の一部になったことで、復興計画が開発型の計画となりました。
総合計画は、まちづくりの重点的取り組みとして3点を掲げ、「安心して暮らせるまちづくり」と題した福祉・暮らし・教育では「自立自助」を強調しながら、「ずっと住みたいまちづくり」や「訪れてみたいまちづくり」では都市機能の集積・交流とにぎわいの拠点都市ということで、大型開発型のまちづくりに重点を置いた計画となっており、その一部と位置付けられたことが、計画の大きな問題点となっています。具体的には、本日の質疑で指摘しましたように、桜町再開発へのMICE・(仮称)「熊本城ホール」を重点プロジェクトに位置付けたことが、結果的に、復旧・復興を重点的にすすめなければならないここ3~4年の市財政を圧迫し、市民の切実な願いとなっている生活や住宅の再建に対する市の向き合い方が極めて不十分となっているだけでなく、子ども医療費助成が小学校3年生までにとどまるという県下でも最低最悪の状況となっています。1企業の自社ビル建て替えを税金で丸抱えするような桜町再開発への(仮称)「熊本城ホール」整備はキッパリと中止し、生活や住宅の再建、液状化や地盤被害の復旧など、熊本地震からの復興を最優先ですすめるべきです。
第2に、提案されている復興計画には「財政計画」がありません。財源見通しも示されないままに、提案された復旧・復興の支援事業はともかく、地震前から計画されていた市政史上最大の箱モノ・(仮称)「熊本城ホール」が復興計画に位置付けられました。複数会派から財政を心配する意見や、財政の見通しを示してほしいとの意見が出されました。そういう中で、今回の臨時議会に先立つ第7回の復興特別委員会には、「熊本地震に伴う財政影響試算と今後の対応について」が出されました。しかし、その内容は、9月議会の補正予算の内容での事業費とその影響額を示したのみで、今後予想される事業については不透明なままで、本格的な復興に向けてどのような事業が行われ、どのような事業費が必要とされるのか、そのための財源をどのように確保していくのか、先の見えない試算と対応であります。現在示されていない液状化や地盤対策には莫大な費用が必要となります。それ故、被災者個人任せでは復旧の見通しがたちません。行政の支援が不可欠の部分です。一部損壊への支援や土地への被害、復興住宅など、多額の費用を必要とする事業について、事業の内容を示し、その財源をきちんと示すことこそ、市民にとっての真の復興といえます。現在わかっている復興事業費をねん出するだけでも、今年度の当初予算に計画された事業費が100億円も削られました。加えて、次年度2017年度予算編成に向けては、経常経費の管理経費部分を15%削減するというシーリングがかけられています。過去10年間を見ても、これだけの削減で経常経費のシーリングをかけた年度はありません。ちなみに、平成28年度は5%削減、27年度が経常経費のシーリングなし、26年度が5%削減で、5%を超えた年度はありません。各局では血のにじむ思いで予算編成に当たられたと思いますが、相当数の事業を取りやめ、あるいは縮減されたはずです。その内容はわかりませんので、具体的に意見を述べることはできませんが、福祉分野の事業などは、そのサービスがなければ日常生活に支障が出るような方々もいらっしゃるのではないかと心配いたします。こんな厳しい財政状況の中で、再開発への補助金まで含めれば450億円もの事業費となる(仮称)「熊本城ホール」の整備への投資は、熊本地震からの復旧・復興にとって、財政面での大きな足かせになるのではないでしょうか。財政計画のない復興計画の提案だからこそ、こんな箱モノ建設に「復興」の冠を付けてすすめていけるのではないかと思います。今、被災地となったどこの自治体でも「予算がたてられない」との悲鳴が上がっています。「財政計画」を明確に示し、内容的にも市民の願いに沿った復興計画とすべきであることを指摘致します。
 第3に、今後の財政対応では、復興財源ねん出のために、職員一丸となって、抜本的かつ徹底した行財政改革に取り組むとされており、「復興計画」は大規模な行財政改革と表裏一体です。しかし、限度を超えた行財政改革は、必ず住民サービスの低下につながります。これまでの行財政改革で推進されてきた民間委託によって、公の事業が縮小され、施設の管理は指定管理者に委ねられてきました。しかし、今回の大地震の発生によって、民間委託となった学校給食施設が災害対応として機能しなかったことや、指定管理のコミュニティセンターの圧倒的多数が避難所としての機能を十分果たせなかったなど、緊急時における民間委託の問題点が顕著に示されました。民間委託は、給与や処遇の面でもワーキングプアを生みだす原因の一つとなっており、昨今の雇用状況を考えた場合にこの点も問題です。あるいは、安易な民間委託等で個人情報の管理が十分に行っていけるのか、この点でも問題です。限られた財源の中で、質の高い公共サービスを提供することは行政の大切な任務ですが、行き過ぎた行財政改革による大幅な財政削減で、大切な住民サービスが「安かろう、悪かろう」になってしまうのではないかと心配されます。
 第4に、熊本地震の特徴は、なんといっても被災世帯の6割が「一部損壊」ということです。私どもは、発言の機会をとらえ、たびたび「一部損壊」への支援が何もないのはおかしいと訴えてきました。修理に何百万円も支払わなければならない事例については、これまでいくつも紹介してきたとおりであります。「り災証明をもらっていながら、私たちは被災者として扱われていない」そんな声を聞くと、本当に胸が痛みます。私たちは、「一部損壊世帯」の調査に取り組みながら、一部損壊にも何らかの支援をしてほしいという署名活動にも取り組んでいます。多くの人が、自分だけでなく、周りの人にも署名を広げてくださいます。市長は、「被災者一人一人に寄り添い、被災されたすべての市民のみなさまが一日も早く生活再建ができるように取り組んでいく」と繰り返し述べられてきました。しかし、6万世帯以上の「一部損壊」世帯への支援なくして、「すべての市民の生活再建ができた」とは言えません。市長は、国や県に要望するということも繰り返し述べられてきたが、「市民に寄り添う」というならば、市民が困難に直面しているときこそ、市が真っ先に独自の支援策を実施すべきです。質疑で指摘しましたように、県下はもとより、別府市など、独自支援策が日々広がってきている状況を見ると、市長の言葉が空虚に思えます。「一部損壊」世帯への支援策を欠いた「復興計画」は問題であると指摘し、一日も早い支援策実施を強く要望いたします。
 第5に、(仮称)「熊本城ホール」の整備を重点プロジェクトに掲げ、「一部損壊」への支援等を置き去りにした「復興計画」が、本当に市民の願いに沿っているのか、大変疑問に思います。「復興計画」の提案にあたり、行われたアンケートや座談会でも、十分に市民の意見が聞かれたとは言えません。一方、今後数年間の市の大事な課題や取り組みを明記する重要な計画であるにもかかわらず、市民への説明会すら開かれていません。ここに、計画と市民の願いに齟齬が生まれている原因があると思います。市民への説明責任を果たさず、意見を聞かないまま拙速に議決を求められている「復興計画」の問題点です。「被災者一人一人に寄り添った」というのであれば、計画案を市民に示し、住民参加で、その願いに沿った「復興計画」へと練り上げていくべきであると考えます。
 以上、主な点を指摘しましたが、すべての市民がすみやかに熊本地震から復興していく、そのために引き続き、日本共産党市議団として全力で取り組んでいく、その決意を述べまして、反対討論といたします。

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