上野みえこの庭

日本共産党熊本市議の上野みえこのブログです。

初めての「後期高齢者医療広域連合議会」報告  その1

2017-02-20 19:13:54 | 議会活動
2月20日、「熊本県後期高齢者医療広域連合議会」が開かれました。
75歳以上の高齢者が加入する「後期高齢者医療制度」は、県単位の広域連合で運営されています。
年に2回の議会が開かれますが、今回は2017年度の当初予算とそれに関わる条例案の改正などが提案されていました。
日本共産党としては、小国町議の児玉智博議員と私・上野みえこが参加しています。

後期高齢者医療の保険料、低所得者への軽減措置の廃止はやめて、保険料の引き下げを!
新年度から、これまで行われてきた低所得者への保険料軽減措置が段階的に廃止されていくために、その点について問題点を指摘しました。

【後期高齢者医療制度の医療費や健康事業を運営していく特別会計の当初予算に質疑】

議第7号「平成29年度熊本県後期高齢者医療広域連合後期高齢者医療特別会計予算」で、保険料の負担軽減と保険料減免について伺います。
第1に、後期高齢者医療制度は、平成29年度で10年目を迎えます。2年おきに保険料が見直されてきましたが、制度開始時に比べ、現在の保険料は、一人当たり平均でどのくらい高くなっていますか。
第2に、財政安定化基金の平成28年度末基金残高と、これまでの運用状況を伺います。
 第3に、年金給付は減り続けています。しかも、昨年末の年金カット法によって今後も減り続けます。年金を命綱に暮らす高齢者の保険料の負担感をどのようにお感じでしょうか。
 第4に、制度に定められた申請減免の実績について、実人員と被保険者数に対する割合をお答えください。
 第5に、申請減免の制度周知はどのようにされていますか。
 以上、3点目は連合長に、残り4点は事務局長に伺います。

(答弁)

 連合長のお答えは、まるで厚生労働省の説明のようで残念です。高齢者の暮らしの実態に心を寄せていただきたいと思います。
保険料の抑制等のために積み立てられた財政安定化基金の残高は、今年度末で41億8797万円との見込みで、その運用実績はなしとのことであります。42億円と言えば、広域連合の保険料負担金の現年度分の3分の1くらいにあたる金額です。平成29年度予算にこそ繰入れ計上されていませんが、運用実績がないにもかかわらず、9年間基金繰入れが予算化されてきました。
 また、保険料額は減っているとのお答えでしたが、2年毎の見直しによる料率等改定は、平成22年度に保険料率が0・41%、均等割額が300円の引き上げ。平成24年度は保険料率が0・23%、均等割額が900円の引き上げ。平成26年度は限度額2万円の引き上げです。料率等に変更なしは、平成28年度だけです。保険料の料率改定は、保険料収入増のためです。これだけ算定基準が上がり、保険料負担が増えないはずがありません。平成29年度予算で、これまでの軽減特例が見直され、保険料負担金の現年度分が、前年度比で約3億5000万円増えているのがその証拠ではないでしょうか。
 そこで、再質問を致します。
 第1に、昨年の2月議会では、財政安定化基金について、「平成29年度は、必要額を当初予算に計上させていただくこととなります」との事務局長答弁がありました。まさに新年度は、その平成29年度であります。しかも「軽減特例見直し」は提案され、」3億5000万円の負担増となります。新年度こそ、財政安定化基金を活用し、保険料を引き下げるべきではないでしょうか。
 第2に、今月9日、厚生労働省は各市町村や広域連合に対し、「熊本地震に被災した被保険者等の一部負担金および保険料(税)の減免措置に対する今後の財政支援の取り扱いについて」という事務連絡を出しました。これは、2月末に終了することとなっていた一部負担金および保険料の減免を7カ月延長し、9月末日まで可能とする財政支援を内容とするものです。この通知を受け、後期高齢者医療広域連合としても、一部負担金ならびに保険料の減免期限を9月まで延長すべきではないでしょうか。
連合長に伺います。

(答弁)

 熊本地震にかかる一部負担金と保険料の減免は、差し迫った課題ですが、たいへん重要とかんがえますので、真剣な検討と実施を強く要望しておきます。
基金を使った保険料の負担軽減と、実績があまりに少ない減免制度についての改善もお願いしておきます。
以上で、議案の質疑を終わります。


【低所得者への軽減措置の段階的廃止に反対討論】

議第8号「熊本県後期高齢者医療広域連合後期高齢者医療に関する条例の一部を改正する条例の制定について」、反対討論を行います。
 2015年の総務省の家計調査では、年金収入で暮らす高齢夫婦世帯の収支は、収入が支出を上回り、月々の家計は赤字、貯蓄等を取り崩し何とか生活している状況があると報告されています。しかも、支出の中で、社会保険料等の非消費支出は15%を占め、食費に次いで2番目です。高齢者にとって、税や保険料の負担がいかに重いか、端的に示されています。
 今回の条例案一部改正で提案されております「後期高齢者医療の保険料軽減特例の見直し」というのは、制度施行以来行われてきた、保険料軽減のための特例措置を段階的に廃止していくというものです。保険料の所得割については、これまで5割の軽減措置だった方を、平成29年度は軽減を2割とし、翌平成30年度からは軽減措置をなくすというものです。平成29年度は、28455人の対象者の負担が増え、負担増の総額は2億1000万円に上ります。合わせて、実施されるのが、元被扶養者に対する応益分の均等割軽減を、これも段階的に廃止していきます。現在9割軽減でひとり月額380円の負担ですが、平成29年度は7割軽減となり1130円に、平成30年度は5割軽減で1890円、平成31年度以降は全額負担の3770円となります。平成29年度は15000人が負担増となり、その影響額は総額で1億4000万円です。要するに、新年度から、後期高齢者医療の被保険者の方々に総額3億5000万円の負担増を求めるという保険料の大改悪です。
 先ほど、年金生活の高齢者の方々の実態を紹介致しました。今でも家計のやり繰りに苦労をされていますが、その暮らしの実態は、改善方向に向かうどころか、今後さらに厳しくなっていくことが予想されます。2017年度は、物価変動への対応として年金給付が0・1%削減されます。しかも、昨年末の臨時国会では、年金カット法が強行されるという年金の大改悪が行われ、2018年度以降もその適用によって年金給付は一層抑制されていきます。今でも、たいへんな高齢者の暮らしは、お先がますます真っ暗です。
2017年度の政府予算案では、社会保障費の自然増が1400億円削減されています。具体的には、70歳以上の高齢者医療費上限額の引き上げが8月から引き上げられます。療養病床居住費の負担引き上げが段階的に実施されていきます。介護の分野でも、8月から一定の課税世帯の利用料負担上限額が引き上げられます。高齢者をターゲットにして社会保障制度が次々と改悪されていきます。医療・介護の負担増と年金の削減で、高齢者の暮らしは、追い詰められるばかりです。これらの制度改悪は、高齢者に「死ねと言わんばかり」のように思えてなりません。
すべての国民は、生まれてから老いるまで、幸福を追求する権利や健康で文化的な生活をおくる権利が、憲法で保障されています。現在の高齢者の方々の置かれた状況を見るならば、さらに追い打ちをかけるような今回の後期高齢者医療の保険料見直し、軽減措置の段階的な廃止は到底容認できません。
すべての高齢者の方々の老後の安心と、生きる希望が持てるような社会の実現に向けて頑張っていく決意を申し述べまして、私の反対討論といたします。
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