上野みえこの庭

日本共産党熊本市議の上野みえこのブログです。

熊本市役所の耐震性能評価、適切でない点・問題点だらけ、再度の検証こそ必要

2021-02-22 21:17:00 | 熊本市政
市役所の地下にある地中連続壁は、竣工図に「地震時に耐震壁として利用できる」と明記
「耐震性能を有しない」とはならないことは明らか、しっかりとした検証を!



2月12日の議員全員会議で、市長は「本庁舎整備」について、現有庁舎は「耐震性能を有しない」との判断のもと、新年度予算に直接建設をすすめる予算は提案しないが、新たな有識者会議を設置し、「ゼロべース」で検討をすすめると表明しました。しかし、議会の参考人・斎藤幸雄氏からは、2度の耐震性能調査における「耐震性能を有しない」という結論に疑問が出されています。
必要なことは、今ある疑問の一つ一つにきちんと答えられるような検証を行い、市民への説明責任を果たすことです。日本共産党市議団で、疑問点を整理し、市長への申し入れを行いました。多野副市長が対応しました。



【2度の「耐震性能評価」の問題点】
⑴ 2017年の耐震性能評価では、「地下連続壁」の存在が考慮されていない
議会が招致した斎藤参考人の意見陳述で、市庁舎地下に深さ19m・厚さ60㎝の地下連続壁の存在が明らかになり、地震波の低減効果があると指摘。
⑵ 地下連続壁は「地震時に耐震壁として利用できる」と竣工図に明記
日本共産党市議団は、市庁舎の竣工図の「地下外壁配筋図」で、地下連続壁が「地震時に耐震壁として利用できる」こと、本体との接合や関連事項も含めて大臣認定を受けた構造物であることを確認しました。(上記写真)
「基礎杭が致命的な損傷を受ける」ことにはならないことは明らかです。
⑶ 2017年調査は「設計図」で、2020年調査では「竣工図」での検証、ちぐはぐな基礎資料では検証にならない
⑷ 「設計図」で行った2017年調査は、「竣工図」による再検証が必要
竣工図と設計図では「杭」が大幅に変更。「設計図」では検証にならない。
⑸ 『熊本地震』を考慮した検証となっていない
齋藤参考人の見解に基づく再調査と言いながら、2020年調査は、斎藤参考人が指摘してきた市庁舎敷地地盤での熊本波による解析をしていない。
⑹ 2020年調査は、妥当性を欠いている
「連成系時刻暦応答解析」という極めて稀な解析手法で結果の検証が必要。しかし、結果の検証がされておらず、妥当性を欠いている。

以上のように、2017年(H29)と2020年の検証業務には、適切でない点・問題点が多々あり、再度の検証こそ必要です。このような検証では、杭を含めた庁舎建物の耐震性能について、信頼ある結果を言及することはできません。市長は、議員全員会議で、「2度の耐震性能調査で本庁舎が耐震性能を有していないという結果を大変重く受け止めた」と述べましたが、2度の調査には耐震性能評価の結果にかかわる重大な問題があり、「耐震性能を有していない」という結果の検証が不可欠だという点を認識すべきであり、この2度の調査結果を建替えの根拠にはできません。ずさんともいえる2度の調査結果の検証をきちんと行い、議会や市民への説明責任を果たすことを強く要望しました。
さらには、市長は2021年度に有識者会議を設置し、本庁舎のあり方について諮問すると表明し、2021年度補正予算として「本庁舎等整備のあり方に関する有識者会議関連経費」を提案しました。しかし、12月議会の一般質問に答える形で表明した専門家の意見聴取は、昨年12月に6名からなる「有識者ヒアリング」名簿が示したにもかかわらず、ヒアリングがどのように行われているか、回数も内容も結果は全く示されていません。それなのに、新たに有識者会議を設置するというのは、あまりにも場当たり的です。思い付きのように、新たな有識者会議設置を持ち出してくるのではなく、議会で専門家の意見を聞くと答弁して示した専門家の意見聴取も中途半端に、先へとすすむべきではありません。しかも、有識者会議のメンバーを市長が選任するのであれば、客観的な議論はできません。庁舎建替えの根拠としてきた「耐震性能」の問題すらきちんとした結果も出せないまま、1億円もかけた2度の調査を棚上げにし、まるで耐震性能評価の結果がなかったかのように、新たな有識者会議でゼロベースでの議論を行っていくというのは、根拠もなく建替えへとすすんでいくようなものです。

*申し入れ全文は、日本共産党市議団HPに掲載。
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