9月26日、今期になって第4回目となる「庁舎整備に関する特別委員会が開かれました。
種々議論が行われましたが、前回までに2人の参考人の意見聴取を行っての各会派の意見も述べられました。
自民党、市民連合、公明党、令和自民、共産党、意見はさまざまですが、2人の参考人の意見が分かれている中で、
・執行部は、参考人の意見陳述を踏まえてすすめてほしい
・市民の負担がどうなるのか考えるべき
・拙速に方向を決めるべきでない、充分な論議が必要
・一番大事なのは財政
・建替えの必要なしという斎藤先生の意見を論破することなしに、建替えですすめるべきでない
・本庁舎の耐振性は不足しているという報告ではあるが、議会棟は改修で対応できるということを踏まえるべき
などと、慎重な対応を求める意見が出されました。
委員長も、「市長も、『議会で、参考人の意見について精査する』と答弁されているのであるから、きっちりとやってほしい。」と求めました。
また、執行部からは建替えにかかる財政見通しなども報告されましたが、あたかも建て替えが改修よりも安くなるような試算が示されていたので、問題点を指摘しました。
次回の委員会は、10月10日午前10時からです。
それまでには、参考人の意見に対する執行部の精査内容が取りまとめて報告されるので、それについて議論することになります。
党市議団の意見は以下の通りです。
(共産党市議団の意見)
2人の参考人の意見を聴取して、
・「時刻暦応答解析」における地震波の設定で、「告示波」の扱いは、日本建築センターの方法書で「サイト波を告示波に替えて用いることができる」とされていること。
・本庁舎の原設計での地震力は、今回の「時刻暦応答解析」に用いられた地震波と同程度の大きさを考慮していること。もともと現行基準に対応できるくらいの耐震性能で設計されていると思われる。
・2000年の国土交通省告示1461号では、「きわめてまれに発生する地震動と同等以上の効力を有する地震力によって建築物が倒壊、崩壊等しないことを確かめたものである場合には、⓵地震動の設定は基準に則ったものであること、⓶稀に発生する地震動によって建物の主要部分が損傷しないことを運動方程式によって確かめること、⓷基準に則った地震動によって建築物が倒壊、崩壊等しないことを運動方程式によって確かめること、この3つの規定が適用されない」と定められている。
熊本地震により本庁舎がほとんど損傷を受けていないことは、この規定に該当すると考えられること。
・本庁舎の地下には、直径2メートルの大口径場所打ちコンクリート杭が他に類を見ないくらい多数打ち込まれていることに加え、地盤の外周を厚さ60センチもの壁が設置され、地震動を低減させていると考えられること。
よって、「本庁舎整備計画業務委託」にあるような地盤の強制変形がないこと。それが、本庁舎が熊本地震のような大きな地震でもほとんど損傷がなかったことにつながっていること。
などを参考人からの意見聴取で確認した。
・一方、安井設計の報告書には本庁舎に使われていないPHC杭の写真が掲載されており、あたかも本庁舎の杭が損傷しているかのようなイメージになっていることは、委託報告書の内容の信ぴょう性について疑義すら持たれかねない。
・今委員会において2人の参考人の意見を聴取し、その意見は分かれているが、斎藤氏は、高橋参考人の意見陳述の疑問点に対し、さらに自身の意見を追加資料として提示し、考察を深めていただいている。高橋氏の意見は、「可能性がある」とか、「将来のリスク」とか、確定した事実でなく、指摘は安井設計の報告書の域を出ておらず、今後想定されるという点が多い。「アスベストの使用が判明した」という意見もあったが、それはもともとわかっていたこと。
「コスト面から比較すると建て替えは妥当」という意見もあったが、そては耐震の専門家が判断をすることでなく、市や議会が判断するべき問題。
党市議団としては、国が示す基準や事実に基づいて検証していくべきであると考える。
・党市議団としても、独自に建築の専門家の意見を複数聞いてきたが、ほとんどの方が述べられたのは、斎藤氏が指摘された「熊本地震という大地震で本庁舎にほとんど被害がなかった点を考慮すべきである」との見解があった。また、「耐震性能調査で建替えまで検討するものなのか」「減築の検討が見られない」との疑問も出されていた。
などのことを踏まえると、建て替えが必要という市の考え方には、まだまだ疑問点ありと考える。
全国の政令市でも、庁舎問題では時間をかけて検討・検証を行い、慎重な対応が行われている。
・熊本市のすすめ方は、市の将来にかかわる大事業でありながら、あまりにも拙速である。
*1995年の阪神淡路大震災に被災した神戸市庁舎(1989年竣工)は、地震後の耐震診断未実施の状況で132mの超高層建築物が使用されている。
*築48年の札幌市庁舎は、耐震診断の結果、耐震性能不足が判明しているにも関わらず、建替えについては慎重に検討している。
*新庁舎建設を行ったところでも、かなり時間をかけて慎重かつ十分な検討を行っている。
以上のような他都市の状況を踏まえるならば、市民や議会への徹底した情報公開と説明責任を果たし、市民合意のもとにすすめるべきである。