『一人称単数』(村上春樹 文藝春秋)の残り4編についての感想。
「『ヤクルト・スワローズ詩集』」
ふざけた内容なのかなと思ったら違っていた。ヤクルト・スワローズとの関わりを軸にした個人史。作家研究にも重要な作品かも。この作品だけじゃないけど、昔の村上作品にあった冷笑的な感じが、今は無くなっているということを、私は好ましく思う。それで読まなくなったという人もいるかと思うけれども。
サイン・ボールがぽとんと村上少年の膝の上に載った時の、お父さんが言った「よかったなあ」、そして、のちに小説家としてデビューしたときに「だいたい同じことを口にした。」というところが、いちばん印象に残った。
「謝肉祭(Carnaval)」
シューマンについて、「謝肉祭」について、聴いたり知ったりしたらまた感じ方が違ってくるのかな。言いたいことは分かるような気がするし、小説として興味深くおもしろいとは思うのだけれど、実はよく分からない。そんなに醜い人に会ったことがないからかな? 顔を背けたくなる人とは話もしないと思うし、会って話ができる人の顔はせいぜい「個性的」かな・・・と。はっ、しかし遠い昔大学生の頃は、美醜で判断されそうな場は自ら降りるようにしていたことを思い出した・・・でも現代の高度に洗練された社会では、女の子の容姿を「ブス」と評価する男の子って、もはやいないんじゃないか、と思ったりするけど、そんなことないですか?「ウィズ・ザ・ビートルズ」の冒頭でも思ったけど、その女性観は一般的なものなのか世代的なのか、はたまた個人的なものなのか・・・
「品川猿」
なんといっても温泉で背中を流したり、ビールを飲んだりする品川猿がかわいい。ちょっと「きょうの猫村さん」の猫村ねこさんを思い出した。しかし、人間の女性にしか恋情を抱けず、好きになった女性の名前を盗む、というのは困るし、気持ち悪い。かわいいなあいいなあと思って読んでいたのに、ざらっといやな読後感。
「一人称単数」
普段ほとんどしない格好をしてみたときの違和感とか、でもあえてそれをしてみようと思うことや、自分が自分でない感じとか、分かる気がする。それにしても身の覚えのないことで責められるのは辛いし怖い。関係ないけど(あるかもしれないけど)、バーで本を読むというのは一般的なことなのだろうか。してみたいけど(バーでお酒を飲みたいが人と話をしたくない)面倒なことが起こるのもいやだな・・・
だんだん疲れて、適当に思いついたことを書き連ねてしまった・・・
どれも、こういう心境とか一言で言い表せなくて、作者もこれはこういうことですよという説明はしていない、ただ「こういうことがあった」という事実(小説内事実)を提示しているだけだ。だから、下手に要約とか感想とか書かずに、ただまるごと受け取るだけで良かったのかもしれない。
けどまぁせっかく書いたので。
(いちばんどうでもいいと思っていた「謝肉祭」で、思いがけず美醜の問題を考えたのはよかったかもしれない。またあらためて考えよう)
「『ヤクルト・スワローズ詩集』」
ふざけた内容なのかなと思ったら違っていた。ヤクルト・スワローズとの関わりを軸にした個人史。作家研究にも重要な作品かも。この作品だけじゃないけど、昔の村上作品にあった冷笑的な感じが、今は無くなっているということを、私は好ましく思う。それで読まなくなったという人もいるかと思うけれども。
サイン・ボールがぽとんと村上少年の膝の上に載った時の、お父さんが言った「よかったなあ」、そして、のちに小説家としてデビューしたときに「だいたい同じことを口にした。」というところが、いちばん印象に残った。
「謝肉祭(Carnaval)」
シューマンについて、「謝肉祭」について、聴いたり知ったりしたらまた感じ方が違ってくるのかな。言いたいことは分かるような気がするし、小説として興味深くおもしろいとは思うのだけれど、実はよく分からない。そんなに醜い人に会ったことがないからかな? 顔を背けたくなる人とは話もしないと思うし、会って話ができる人の顔はせいぜい「個性的」かな・・・と。はっ、しかし遠い昔大学生の頃は、美醜で判断されそうな場は自ら降りるようにしていたことを思い出した・・・でも現代の高度に洗練された社会では、女の子の容姿を「ブス」と評価する男の子って、もはやいないんじゃないか、と思ったりするけど、そんなことないですか?「ウィズ・ザ・ビートルズ」の冒頭でも思ったけど、その女性観は一般的なものなのか世代的なのか、はたまた個人的なものなのか・・・
「品川猿」
なんといっても温泉で背中を流したり、ビールを飲んだりする品川猿がかわいい。ちょっと「きょうの猫村さん」の猫村ねこさんを思い出した。しかし、人間の女性にしか恋情を抱けず、好きになった女性の名前を盗む、というのは困るし、気持ち悪い。かわいいなあいいなあと思って読んでいたのに、ざらっといやな読後感。
「一人称単数」
普段ほとんどしない格好をしてみたときの違和感とか、でもあえてそれをしてみようと思うことや、自分が自分でない感じとか、分かる気がする。それにしても身の覚えのないことで責められるのは辛いし怖い。関係ないけど(あるかもしれないけど)、バーで本を読むというのは一般的なことなのだろうか。してみたいけど(バーでお酒を飲みたいが人と話をしたくない)面倒なことが起こるのもいやだな・・・
だんだん疲れて、適当に思いついたことを書き連ねてしまった・・・
どれも、こういう心境とか一言で言い表せなくて、作者もこれはこういうことですよという説明はしていない、ただ「こういうことがあった」という事実(小説内事実)を提示しているだけだ。だから、下手に要約とか感想とか書かずに、ただまるごと受け取るだけで良かったのかもしれない。
けどまぁせっかく書いたので。
(いちばんどうでもいいと思っていた「謝肉祭」で、思いがけず美醜の問題を考えたのはよかったかもしれない。またあらためて考えよう)
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