2017年10月にスタートした住宅確保要配慮者(高齢者・障がい者・一人親家庭・低額所得者など賃貸住宅を民間住宅市場で物件を借りるのが困難な人達)の入居を拒否しないセーフティネット住宅の登録制度は、1年半が経過しても住宅の登録が遅々として進んでいません。
インターネットで「セーフティネット住宅情報システム」から登録住宅の物件を検索することができます。
4月16日に調べたところ、全国で8352戸、東京では296戸が登録されていますが、国は2020年までに登録数17万5千戸の目標に対して、4・7%と大きく遅れています。東京都も2025年までに3万戸の目標に対して僅か0・9%と全く登録が進んでいません。
今回の新たな住宅セーフティネット制度は、2年前の住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(住宅セーフティネット法の一部改正)に基づいた制度であり、①住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度、②登録住宅の改修・入居への経済的支援(バリアフリーや耐震改修費補助、低額所得者の入居負担軽減・国と自治体で最高月額4万円)、③住宅確保要配慮者のマッチング・入居支援)という3つの柱から成り立っています。
住宅確保要配慮者の専用住宅に登録すると改修費や家賃低廉化補助が家主に支払われます。但し、住宅の規模・構造設備・家賃など登録基準に適合することが必要とされています。東京都の場合住宅の規模(広さ)などかなり緩和され、シェア住宅など7㎡の面積で登録を認めています。また、八王子市西寺方町の物件(2Kで家賃4万3千円、31㎡の物件は高尾駅から徒歩50分、八王子駅から徒歩70分、バス利用でも30分ほどかかるなど、市場では借り手がいない物件が登録されています。シェア住宅は足立区の物件で1R7㎡と狭く、便所・風呂・洗面所など共有で、家賃月額3万3千円、共益費・管理費1万円と高額です。
住宅政策に詳しい神戸大学大学院教授の平山洋介氏はセーフティネット住宅の登録制度について「今のところ、ほとんど役に立っていない。登録されるのは、市場で競争力のない物件ばかりだ。困窮者対策というより空き家を抱える家主のための対策のように見える。予算規模も極めて小さい。少額の改修費補助だけでは、高齢者などに貸すインセンティブにならない」と批判しています。
区の居住支援協議会の会長もつとめられている和洋女子大学名誉教授の中島明子氏は「公的責任による居住保障の実現と住宅困窮の原因である雇用と居住の不安定の解決といった根本的対策の方向へとギアを入れ替え、『セーフティネット』という言葉の呪縛から解き放され、落ちてくる人の一部の人だけを救うセーフティネット政策ではなく、誰もが安心して安全に住める居住政策へ転換し、住宅運動の方向を見定める必要があると思う」と政府の住宅政策の抜本的な見直しを求めています。
二人の先生のご意見を参考にして、参議院選挙でも住宅の問題を「自己責任」にせず、「家賃補助(住宅手当)」や「公営住宅の確保」などが選挙の争点になるよう、私達も訴えていきたいと思います。(組合ニュースより)
インターネットで「セーフティネット住宅情報システム」から登録住宅の物件を検索することができます。
4月16日に調べたところ、全国で8352戸、東京では296戸が登録されていますが、国は2020年までに登録数17万5千戸の目標に対して、4・7%と大きく遅れています。東京都も2025年までに3万戸の目標に対して僅か0・9%と全く登録が進んでいません。
今回の新たな住宅セーフティネット制度は、2年前の住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(住宅セーフティネット法の一部改正)に基づいた制度であり、①住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度、②登録住宅の改修・入居への経済的支援(バリアフリーや耐震改修費補助、低額所得者の入居負担軽減・国と自治体で最高月額4万円)、③住宅確保要配慮者のマッチング・入居支援)という3つの柱から成り立っています。
住宅確保要配慮者の専用住宅に登録すると改修費や家賃低廉化補助が家主に支払われます。但し、住宅の規模・構造設備・家賃など登録基準に適合することが必要とされています。東京都の場合住宅の規模(広さ)などかなり緩和され、シェア住宅など7㎡の面積で登録を認めています。また、八王子市西寺方町の物件(2Kで家賃4万3千円、31㎡の物件は高尾駅から徒歩50分、八王子駅から徒歩70分、バス利用でも30分ほどかかるなど、市場では借り手がいない物件が登録されています。シェア住宅は足立区の物件で1R7㎡と狭く、便所・風呂・洗面所など共有で、家賃月額3万3千円、共益費・管理費1万円と高額です。
住宅政策に詳しい神戸大学大学院教授の平山洋介氏はセーフティネット住宅の登録制度について「今のところ、ほとんど役に立っていない。登録されるのは、市場で競争力のない物件ばかりだ。困窮者対策というより空き家を抱える家主のための対策のように見える。予算規模も極めて小さい。少額の改修費補助だけでは、高齢者などに貸すインセンティブにならない」と批判しています。
区の居住支援協議会の会長もつとめられている和洋女子大学名誉教授の中島明子氏は「公的責任による居住保障の実現と住宅困窮の原因である雇用と居住の不安定の解決といった根本的対策の方向へとギアを入れ替え、『セーフティネット』という言葉の呪縛から解き放され、落ちてくる人の一部の人だけを救うセーフティネット政策ではなく、誰もが安心して安全に住める居住政策へ転換し、住宅運動の方向を見定める必要があると思う」と政府の住宅政策の抜本的な見直しを求めています。
二人の先生のご意見を参考にして、参議院選挙でも住宅の問題を「自己責任」にせず、「家賃補助(住宅手当)」や「公営住宅の確保」などが選挙の争点になるよう、私達も訴えていきたいと思います。(組合ニュースより)