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通常損耗に関する補修費用を賃借人が負担する旨の特約が成立していないとされた事例(最高裁第2小法廷判決)

2023年03月13日 | 敷金と原状回復
 (判決要旨)
⑴建物の賃貸借において、賃借人が社会通念上の使用をした場合に生ずる賃貸借物件の劣化叉は価値の減少を意味する通常損耗に係る投下資本の回収は、通常、減価償却費や修繕費等の必要経費分を賃料の中に含ませてその支払いを受けることにより行われている。
⑵賃借人に通常損耗についての原状回復義務を負わせるのは、賃借人に予期しない特別の負担を課すことになるから、賃借人に同義務が認められるためには、少なくとも、賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が賃貸借契約の条項自体に具体的に明記されているか、仮に契約書で明らかでない場合には、賃貸人が口頭により説明し、賃借人がその旨を明確に認識し、それを合意の内容としたものと認められるなど、その旨の特約(通常損耗補修特約)が明確に合意していることが必要であると解するのが相当である。
⑶原状回復の特約である本契約書22条2項自体において通常損耗補修特約の内容が具体的に明記されているということはできない。┉┉┉ 以下略
 上記の判例は、最高裁平成17年12月16日 判事1921号61頁の有名な判決です。この判決によって、特約を定めても3つの要件、①特約の必要性があり。かつ暴利的ではないなどの客観的、合理的理由が存在すること。②賃借人が特約によって通常の回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること。③賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること。以上の要件に反した特約は全て無効です。ぜひ、皆さん覚えておいてください。

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