ビビッド能里子トーク・サロン

医学的にも珍しい満十年の認知症介護について。自己分析や気分転換、幸せを感じる心の癖の付け方、メチャ料理など楽しく書きます

「あなた長生きしてね」幸せな介護をして9年目に入って(10)

2019-01-09 07:41:03 | エッセー
 昨日もわたしが歩行会の「七福神巡り」に参加するため、夫の昼食の準備をし
8時半頃出掛け、家に帰ったらパジャマのままでいた。
 多分私がいないと、着替えもしないし、一日ベッドに横になっていると思う。
毎日必ずキチンと着替えをして、身支度を整えさせるのも、介護の重要なポイントで
衣装持ちの夫を(実は私の趣味で買ったものばかり、彼はハンカチ一枚買わない)
毎日「着せ替え人形状態」にするのも、実は結構楽しい作業で、いろいろ着せ替えている。

 精神科の先生、ケアマネージャー、心理カウンセラーの友人などから「8年目
にして要介護1は素晴らしい」と褒められたが、私が夫を怒らせない努力はして
いるが、彼はもともと穏和な人で、怒らないだけではなく、大体いつも機嫌が良い。
 テレビもニュースは必ず毎日見るし、国会中継何度も好きだが、自分の気に入ら
ない番組を批判したり、怒ったりしていることは度々ある。
「ほんと、うるさい」と腹が立つこともあるが、黙っているし、私も意見が同じとき
には、大いに同調するようにしている。私が見ていてもチャンネルを変えたり、急に
切ったりする、そんな時は大声を出すこともあるが、夫は「この頃だんだん怖くなった」
と言ったり、素直に謝ったり、おどけたりするので、結局私は最後は笑ってしまう
ことが多い。

二人共開放的な明るい性格も幸いしているようだが、趣味や価値観もかなり共通
なので、テレビを見ても同時に涙ぐんだりすることもあり、感性も合うようだ。
私が言語障害、いろいろ恐怖症、さらに天真爛漫なのも、夫の気分を和まして
いるのかも知れない。例えば「ここに置いたあれがないの、探して」「ずっと遠い
あっち側なの」など、何か話しても、主語がなく言葉を間違える。
 今日も「早くごみ出してね、冷蔵庫(実はエレベーター)に入れてあるから」
とか、さらに時折舌足らずになるので、夫は「00でちょ!」「何を言っているのか
全然分からないよ」などと私をからかう。そそっかしくて何かを落としたり、ちょっと
したことですぐに悲鳴を上げる、すると夫は「賑やかだね今度は何なの?」とニヤニヤ
する。私のズッコケが幸いしてか、我が家はいつも笑いが絶えない。

 そんな家庭生活が、夫の精神状態を和ませて、私の頼りなげなのも、もしかしたら
「自分がしっかりしなければ」と、思っているのかも知れない。
ただ私の一生懸命さは、夫に十分伝わっているようだ。小池家の家風は些細なことでも
何かしてくれたら「有難う」ということ。子供達もそうしつけたが、今でも夫は必ず
「有難う」と言ってくれるので、お互いに気分が良い。何しろ「愛している」は、結婚
以来日常語なので、同世代では滅多にないかも知れない。認知症になって今年で9年目に
なったが、未だに夫は私がもっとも頼りになる大切な存在だ。
コメント
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