ビビッド能里子トーク・サロン

医学的にも珍しい満十年の認知症介護について。自己分析や気分転換、幸せを感じる心の癖の付け方、メチャ料理など楽しく書きます

「あなた長生きしてね」幸せな介護をして9年目に入って (終わり)

2019-01-12 06:58:34 | エッセー
 記憶は全くと言って良い程できないし、判断力や、思考力なども衰えている。
でも、私はどんなことでも夫に報告したり、相談したりすることにしているので、その
場では彼なりの意見を言ってくれる。たとえ一人でできることでも、夫には所帯主と
しての意識を持ってもらうためだ。でも、昔のことはよく覚えているから、日常の会話
は全然困らない。ことに生育時の強烈な戦争体験は、中学生と小学生との差はあるが
いつもお腹が空いていた、家が焼かれたり、疎開を経験したりなど、共通の経験は数え
きれないほどある。そのための思い出話はいくらでもできる。
 二人共おしゃべりで明るいから、笑い声が絶えない、そんな家庭生活が夫の精神状態
を随分和ませていると思う。また、私の頼りなげなさも、一生懸命さも、夫に十分に
伝わっているようだ。
※10年前からどうしても夫に見せたかった「足立美術館」昨年11月行きました

これから私ができるのは、「外では食べられない、メチャ料理と、バランスの摂
れた食生活」と、夫の精神状態を、いつも和ませるような対応をするつもりだ。
 認知症家族の会などにも何度か出席したが、ご家族の色々な話を聞いたが、本当に
お気の毒で、胸が潰れそうになったり、涙がこぼれそうになったりする。
 私のように「自分なりに幸せな介護を感謝できる」そんな認知症のご家族は全然
いなかった。今でも私はかなり自由に行動できるのは、とても嬉しいことで、それで
随分救われている。夫は狭心症と認知症の治療薬(朝夕で12錠)を長年飲んでいるので
素人なりに少しでも薬害を減らせるように考え、サプリメントや、手づくりのサプリメント
を毎日飲ませている。でもお陰様で薬が合っているためか、今現在は副作用と思える
症状はまったくない。
※主婦の友社「ゆうゆう」誌で「夫は認知症優等生」と掲載された(多分5年ほど前)

 夫は9年目に入って緩やかに進行しているが、私が早く気づいて、すぐに治療を
したことも効果があったのだと思う。でも何より役立っているのは、長い年月なのに
「只の一度も怒らせたことがない」ことが、精神状態を安定させて、以前とあまり変
わらない夫でいてくれることが、私には何より幸せだと思っている。
 色々考えてみると、1餌付けが良い?こと。2心理カウンセラーの知識とEQの高さ
(自分で言うのもナンですが)3私の天性のズッコケ度、4明るさと天真爛漫さ
5魔女度などではないかと思っている。これからどのように変化するのか、分からない。
 でも、時々夫が「ああ幸せ!」とか「美味しい!」と言われるように、自分なりに
努力するつもりだ。理想的には、いつまで「認知症優等生」でいてくれたら幸せだ。
たとえ何が起きても、私は「夫の介護を最優先」して、これからも生きていくつもり
でいる。
※夫がリタイアしてから何度も行った海外(スイス)
  
 追記
お読み下さって有難うございました。私の著書は43冊ありますが、お誘いを受け
2月から有料メールマガジン「まぐまぐ」で書くことにしました。
それは毎週木曜日、第一号は無料です。来月からはブログ投稿は、毎週月曜日に
いたします。「まぐまぐ」購読して下さると嬉しく思います。    小池能里子
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする