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戦争は絶対にいけないか?

2013-08-23 09:12:02 | 時評
憲法9条を素直に読むと、答えはイエスでしょう。日本はどんなことがあっても戦争をしてはいけないし、軍隊に類するものもいけない。メジャーな憲法の教科書は「絶対平和主義」で書かれていて、政府解釈など武力やその行使を容認する考え方は批判の対象になっています。
絶対平和主義とは、代表的な憲法学者・長谷部恭男さんのネーミングだと思いますが、いわば「人を殺すくらいだったら殺されるほうがマシ」ということです。
そう思う?と問われれば、現在の国民の意見は分かれるでしょう。少数意見かもしれない。でも、太平洋戦争末期の国民の間では多数意見だったのではないでしょうか。あと2ヶ月生きれば3世紀を生きることになった私のばあさんも「どんなことになっても戦争は終わりにして欲しい、戦争はこりごりだと思った」と言ってました。
だから、9条の元々の意味は絶対平和主義、つまり戦争は絶対いけないし自衛隊ももちろんダメだったのでしょう。一昨日、「武力によらない自衛権」(学界の通説)と書きました。何じゃそりゃ!?と思った方も多いと思います。だけど憲法制定直後は、吉田首相も、外交その他の方法で自衛すると言ってました。
しかし時代は変わりました。これまで積み上げられてきた政府解釈はいわば「相対平和主義」、わが国は軍隊や戦争については抑制的であるべきだというものでしょう。だから自衛隊には他国の軍隊にはない拘束があるのです。
長谷部さんも絶対平和主義に懐疑的で、日本国民に生まれたからには「右の頬を打たれたら左の頬を差し出せ」というのは崇高な生き方かもしれないが、国家による「善き生」の強制であって許されない、9条はわが国は原則として軍隊や戦争を否定的であるという意味で、国民の生命や財産を守るための例外は認められる、としています。
立憲主義の根幹である国家による価値観の強制はダメというところに話をもってくるのはなかなか上手い理屈ですね。詳しくは長谷部さんの本を読んでください(ちくま新書『憲法と平和を問いなおす』、岩波新書『憲法とは何か』など)。
戦争は絶対にいけないかは意見が分かれるでしょうが、少なくとも軍隊や戦争については抑制的であるべきというのがこれまでの支配的な考え方でした。それをひっくり返して他国の軍隊と同じにしたいというのが昨今の集団的自衛権解禁の主張ではないでしょうか。
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