ブラック企業の「経済合理性」を検討する
http://diamond.jp/articles/-/43994
なんだけど、
ちょっと、大切なことが抜けている気がするので・・・
いろいろ書いてみる。
まず、一般に「ブラック企業」になろうと思ってブラック企業に
なっている会社は、あるだろうけど、少数派だろうという点だ。
多くは、ブラック企業になろうとは、思っていない。
経済的にあわないから・・・
(退職されるコストは、意外と大きい)
では、なぜ、ブラック企業ができるのかというと、
ユニクロ敗訴 柳井会長の「残業はするな」ただし「生産性は上げろ」はこれからも続くのか?
という一言が、端的に物語っている。
「残業はするな」ただし「生産性は上げろ」
といっても、どうやるかの指示はない。
じゃあ、できない。
つまり、オペレーションの方法論が無く、
オペレーション技術が十分でない場合に
ブラックになりやすい
逆に言うと、オペレーションの方法論がわかっている人は、
生産性が上げられるので、この人たちは問題がない。
そこで、生産性が上げられる人が優遇される一方、
多くの「そうでない人たち」は、退職していくことになる。
というと、弱肉強食で、優秀な人材ばかりが残りそうだが、
じつは、そうならない。
生産性が上げられる技術を部下が持っていても、
上司がわからないと、それを実現できない
(上司の「わけわからん」やり方を、やらされる)
そして、優秀なやつほど辞めるのに有利。
結果として、優秀なやつまでもやめてしまい、
要領のいいやつがのこる。
・・・ので、組織としては弱くなる。
つまり、仕事量に対して、生産が追いつかない、
そもそも、どのように仕事をしていいかわからない場合に、
残業するしかないし、
上司は(方法が思いつかないので適切な指示が出せないから)
パワハラするしかないし、
残業代もはらえない(生産してないから)
そうなると、仕事の仕方がわからないので、
一生懸命死ぬほどやるけど、生産が追いつかず、
弱いところに歪が出て、辞めるしかなかったり、過酷な労働になる。
で、辞めた人を補おうとしても、
その人も仕事の仕方はわからないので、
一生懸命死ぬほどやるけど、生産が追いつかず、
結局辞める。
ユニクロなどの場合は、小売の技術=店舗オペレーションになるけど、
ソフトウェアの場合も同じであって、
見積もりを立てるときの変更予測と、
その変更に強いアーキテクチャを設計する技術は、
(ソフトウェア工学を応用するとあるんだけど)
あまり知られていない。
アジャイルは変更に強い開発方法論であり、アーキテクチャではないし
見積もり予測は、プランニングポーカーを使うということや、
ベロシティを測るということしか、アジャイルでは、言っていないので、
アジャイルだけでは、変更に耐えられるとは、いえない。
というか、これらの技術は、世の中、普通考えている常識と真逆のことなので、
常識的に考えると、たいてい、デスマる。
(たとえば、わからないことを、ネットで調べていくと、
たいてい、おかしなシステムになる・・・理由は今度書くけど)
でも、
システムには必ず変更があり、
納期は決まっているので、
結局残業ということになり、
でも、予算は決まっているので・・・
となっていくと、ブラック企業になりやすい。
そして、新しく入ってくる人は、
新技術に対応するために、
わからないことを、ネットで調べていくと、
たいてい、おかしなシステムになり、デスマる・・・
のスパイラル(っていうかループ)になっていくわけだ。
これが、「ブラック企業の創りかた」