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いつも今が始まり、一瞬懸命(その12)

2021年05月07日 22時00分07秒 | いつも今が始まり(生き方論)
 
 今回は日本人の心について思いを巡らせた。

「人情は日本人の心の根」
 日本人は花鳥風月をこよなく愛する民族である。それは美しい四季と恵まれた山海の豊かさがあったからかもしれない。その花鳥風月を31文字や17文字に凝縮して心情を表す、美しい世界最小の詩、和歌、俳句というものを作りだしたのも日本人の言葉少なく伝えるという、細やかさからかもしれない。
 日本人は古来より言葉を「言霊」といい、言葉には「霊」が宿っていると信じられてきた。
万葉集にも言霊を詠んだ歌が多く見られるのも言葉を敬い大切にしてきたからであろう。
日本語は英語に比べ常用語が多いといわれ、英語の1500文字に比べ日本語は2500文字と、英語より1000文字も多いそうだ。これなども日本人の「情」を伝える繊細な言葉表現といえるのではなかろうか。
 たとえば「雨が降る」という表現にしても、「しとしとと降る」「パラパラと降る」「ザーザー降る」「ぽつりぽつりと降ってきた」「矢のように降っている」「沛然と降る」「霧のように降る」「潸潸(さんさん)と降る」等など、同じ雨が降るでも多くの表現語がある。
 歌謡曲「津軽恋女」(新沼謙治)に歌われている津軽の雪の表現に「津軽には七つの雪が降るとか・・・こな雪・つぶ雪・わた雪・ざらめ雪・みず雪・かた雪・(春待つ)氷雪」とまさに日本人の情緒だ。
 また日本画をみても洋画と比べ表現の違いがよくわかる。たとえば風景画、洋画はキャンパス一面に絵具が塗られ空白という無地がなく、加えて幾重にも重ね塗りがみられる。日本画、特に水墨画はどうだろう。水墨画は主題を囲む部分にや色彩が少なく、また無地、空白が多くみられることが洋画と比べ際立っている。いわゆる無地という余白が主題を引き立てているのだ。余白が語らしめる美の世界。言わずして語るというところだろうか。
 日本人の心の根は、人に優しい、自然に優しい思いやりであろう。人情は日本人の心そのものといえよう。だから人と人とが織りなす人間関係において人情を無視して接することは避けなければならない。仕事上の場合であればなお更のことだ。
 人と接する営業の仕事、接客の仕事上での話し方というのは、大変重要な意味をもっていることから、話し言葉というものに十分な心得が必要されよう。
話し方、つまり説得話法には二本の柱がある。
その一つの柱が「理性的、理論的、計数的」な説得。
二つ目の柱が「情緒的、感性的、感情的」な説得。
人はこの二通りの性格があります。人さまざまですから一概には決めつけられませんが、大別すれば「理性肌」と「情緒肌」に区別できるだろう。
 欧米人と異なり日本人の心を動かすものは、心に響く言葉、人情という琴線に響く言葉で、それは、理屈では割り切れない情緒的、感情的な要素が根底に流れているからです。説得する場合、琴線に響く言葉、そう「殺し文句」が重要なポイントとなり、その言葉は日本民族に流れている「言霊」である。だが人の心を動かすには「理」だけでは動かせず、かといって「情」だけでも動かない。「理」と「情」を絡めて心を込めて話せば、人は心を開き耳を傾け、あなたの説得を受け入れるだろう。
 



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