朝から雨 ウオーキングはできないGゴルフもできない
何もやることはない 図書館へ本を返しに行く
まだ返却期間は1週間後だが順番待ちが多い 返さなくては
家ではテレビを見るよりパソコンでググっているほうが長い
夕べのワールドカップ日本対コロンビアの試合を
村上春樹風に書いた人の文章が面白かった
パソコンも疲れてきた きのうと同じ時間にひぐらしへ
ふうせんかづらの種をもらってきて顔を描いたがうまくいかない
メモ
下記は 神田桂一(かんだ・けいいち)氏が書いた村上春樹風日本対コロンビア
僕はキッチンで185回目のツナとハムのサンドイッチを作っていた。サッカーワールド
カップの日本対コロンビア戦をサンドイッチをツマミに、ビールを飲みながら観戦するた
めだった。
時計の針は午後8時56分を示していた。まだキック・オフまでには時間がある。BGM
は、マーラー交響曲第七番。クラウディオ・アバドーは、ベルリン・フィルを今まさに、
演奏的ピークに持ち上げようとしていた。曲の調べに乗せて、僕は、まるで、永遠にボー
ルペンにふたをする工場に勤める作業員のように、一心不乱にサンドイッチを作り続けた。
テレビで歓声があがった。ふと我に返った。コロンビアの選手がレッドカードを受けて
退場し、香川真司がPKを見事決めたようだった。やれやれ。見逃してしまった。でも僕
はそれをどうすることもできないし、クラウディオ・アバドーは悪くない。ましてやカー
ネルサンダーズには何も罪はない。
僕は、テレビの前のソファに腰を掛けて、目を閉じた。パチン……OFF。だが、コロン
ビアも前半39分にペナルティーエリア近くでフリーキックを決め、同点に持ち込んだ。
解説者は、まるでギリシャ悲劇の主人公のような形相で、「同点に持ち込まれました」と
絶叫していた。「同点に持ち込まれた」。僕はそうつぶやいた。それを耳で聴いていた。
からだのパーツのなかで僕は耳が一番好きなのだ。それはなんとなく、異国の地の外国人
墓地を想起させる。 すると羊男が家にやってきた。後半戦が始まろうとしていた。彼は
言った。「後半戦が行われるかはあなた次第です。あなたが行われると思っていたら行わ
れるし、思っていなければ行われない。ましてやジョニーウォーカーが決めることでもない」
沈黙。僕は、動揺したが、テレビに向かって周りを見ないことにした。後半戦は無事、
始まった。後半28分、本田圭佑のコーナーキックに大迫勇也がヘッドで合わせて勝ち
越しゴールを決めた。試合はそのまま終了した。羊男はいつの間にかいなくなっていた。
試合後、香川はこんなコメントを残している。「(PKは)もうしっかりと冷静に蹴る
ことができたので、大きかったと思います。うまくGKのタイミングを外すことだけ意
識して、練習通りできたのでよかった」〈『サッカーなんてと言わないで』 デレク・
ハートフィールド(2025)〉 試合後のコロンビア選手の映像も映されたが、レッ
ドカードを受けた選手には顔がなかった。