意外と知られていないバッハの一番の人気曲はとの質問で、一番は「G線上のアリア(管弦楽組曲第3番 ニ長調 BWV1068 – II.)」との答えに意外と驚く、何故か?筆者は当然鍵盤楽器(チェンバロ・オルガン)の曲の中から選ばれると思っていたが、なるほどバッハの音楽は宗教性が強く器楽曲が数多く作られた人気曲はケーテン時代の貴重な5年間時代に集約された時期の曲であった。今回取り上げた「メヌエット ト長調(アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳 第2巻 – BWVAnh.II114)」上位八位に挙げられていた。
今回は以前にも紹介した鍵盤楽器奏者と女性ソプラノ歌手のJ.S.バッハの音楽を聴く。勿論有名なカンタータBWV147も上位にランクされたいた。
BA1. BWV 1-231 カンタータ、モテット
BA2. BWV 232-243 ミサ
BA3. BWV 244-249 オラトリオ
BA4. BWV 250-524 コラール、歌曲
BA5. BWV 525-771 オルガン曲
BA6. BWV 772-994 オルガン以外の鍵盤楽器(チェンバロ、クラヴィコード)の曲
BA7. BWV 995-1000 リュート曲
BA8. BWV 1001-1040 室内楽
BA9. BWV 1041-1065 協奏曲
BA10. BWV 1066-1071 管弦楽曲
今回はBA1・BA4が中心ですです、バッハが2番目の妻に贈った曲集の誰もが知る、可愛らしい曲の数々です。
バッハの時代の音楽家はいわば職人のようなもの。とくにドイツでは別の町に住んでいても、音楽を生業とするいくつもの音楽家一族が相互扶助の精神のもとに連携して活動していました現在で言えば流れ作業的要素が強いと言える。
そのため、結婚相手の出逢いもその中で生まれることが多かったようです、先妻が亡くなっておよそ1年半後、バッハは36歳の1721年12月3日にケーテンで、アンナ・マグダレーナと結婚します。20歳の若さで4人の子どもの母親になった。
彼女は歌手の仕事を続けることができました。しかも、宮廷楽長とまではいかないまでも、かなりの給料をもらっていたことから、優秀な歌手だったことがわかります。2人はバッハが亡くなるまで28年間連れ添い、13人の子どもをもうけ、そのうち6人が成人。結婚の2年後に一家はライプツィヒに移住し、アンナ・マグダレーナはトーマス教会のカントル、市の音楽監督、ライプツィヒ大学の学生からなるコレギウム・ムジクムの指揮者として超多忙な夫を支えることになります。家族はトーマス学校の校舎に住み、アンナ・マグダレーナは先妻の姉とともに家事や子どもたちの教育にと、忙しくも充実した日々を送ったに違いありません。
バッハは16歳年下の、歌の上手な奥さんが可愛くてしかたがなったようです。結婚の翌年に一冊の楽譜帳(第一集)《アンナ・マグダレーナ・バッハのための音楽帳》をプレゼントしていますが、そこにはあらかじめフランス組曲の最初の5曲が記載されていて、その後もバッハは妻と子どもたちのために、さまざまな音楽を書き込みました。
それは1723年にライプツィヒに移ってから2冊目(第二集)となり、歌曲やコラール、短い鍵盤曲、おそらくバッハ自身の手になると思われる詩などが加えられていきました。この2冊の音楽帳は、バッハ家の音楽に満ちた家族の楽しい団らんを想像させると同時に、家族どうしの愛情の深さを感じさせます。
ライプツィヒではもはや歌手として公的な場に出ることはありませんでしたが、パート譜を筆写するなど夫の仕事を手伝っています。たとえば《無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ》《無伴奏チェロ組曲》《平均律クラヴィーア曲集第2巻》、オルガン・ソナタ、ヴァイオリンとピアノのためのソナタBWV1021、チェンバロ協奏曲BWV1061、カンタータ13番、32番などです。
その中でも《無伴奏チェロ組曲》は、バッハの自筆の楽譜が残っておらず、アンナ・マグダレーナとバッハの弟子のケルナーによる写本以外、18世紀後半の2つの写本しかないので非常に貴重です。アンナ・マグダレーナは妻と言うより仕事も含めバッハの一番大切なパートナーだと感じます。
もしも彼女の曲の筆写が無ければあの有名なチェロ組曲は残されていない曲とも云えよう、バッハの音楽でも“チェロの旧約聖書”とまで呼ばれる曲、聴くほどに興味深く、バッハという宇宙に深く深く吸い込まれていくような曲も耳に出来なかった事を思えばアンナ・マグダレーナの功績は大きいのであろう。
さて本題に入ります、この作品の2曲目に注入してある作品は昔から筆者が好きな可愛らしくとてもキュートな曲です。この曲は、バイエル下巻の本に「挿入曲」という形で掲載されてい流そうです。
誰もが曲を聴けばご存知のJ.S.バッハ :アンナ・マクダレーナ・バッハの音楽帳 第2巻 メヌエット BWV Anh.114 ト長調 Bach, Johann Sebastian:Das zweiten Notenbuch für Anna Magdalena Bach Menuett G-Dur BWV Anh.114
バッハが、妻アンナ・マグダレーナのために編纂したクラヴィーア曲集。
ピアノのレッスンで使われる定番の曲集であり、インベンションに入る前などに使われることが多い。
全音版では、装飾音の奏法を丁寧に譜例で提示して、弾き方が誰にでもわかるようになっています。さらに、その奏法も一種類に限らず、多くの可能性を提示しています。
キャロリン・サンプソンは、オペラとコンサートの英語ソプラノです。古楽器演奏を専門とし、鈴木雅明のバッハ・カンタータのレコーディング・プロジェクトに出演し、イングリッシュ・ナショナル・オペラに出演。BWV510はバロック作品の導入に使いやすい曲です。発表会やコンクールでも演奏されます。キャロリン・サンプソンが美しいソプラノの歌が実に美しく暫くコラールを聴き続け時間をわせれる様な時を過ごす事ができる、J.S.バッハ音楽の幅の広さを味わう作品でもある。と解説されていました。
以前取り上げたマハン・エスファハニMahan Esfahani(チェンバロ)解説では「非凡なる才能」(タイムズ紙)、「繊細にして躍動的」(アーリーミュージック・トゥデイ誌)などと評されるイラン系アメリカ人。大統領奨学生としてスタンフォード大学で学び、ボストン、ミラノ、プラハで研鑽を積んだ後に英国オックスフォード大学ニュー・カレッジのレジデント・アーティストに就任。2010年秋にオックスフォード大学キーブル・カレッジの名誉会員にも選ばれ、15年、弱冠30歳でギルドホール音楽演劇学校の教授に就任。ソリストおよび客演指揮者としてイングリッシュ・コンサート、コンチェルト・ケルン等に招かれるほか、BBCプロムス、レーゲンスブルク古楽音楽祭、ニューヨークのメトロポリタン美術館ほか各地で演奏。CDも高い評価を得ており、14年6月には名門ドイツ・グラモフォンと専属契約を結び、翌年5月、DGデビュー作の「TIME PRESENT AND TIME PAST」をリリースした。
一般的によりむしろ保守的なチェンバロ奏者の中で、エスファハーニはこれらのゴルトベルク変奏曲の演奏はニュアンスが違って聴こえたが、慣れるにつれ実に良い演奏と思っていた。
キャロリン・サンプソン(Carolyn Sampson)。イギリスの女性オペラ歌手。1974年5月18日生まれ。
2017年録音したJ.S. バッハ: ソプラノのためのカンタータ集:しりぞけ、もの悲しい影(結婚カンタータ)BWV 202等良く聴くカンタータである。
イギリスのベッドフォード生まれ。バーミンガム大学で音楽を学んだ。在学中、合唱団Ex Cathedraのメンバーとして活動し、バロック音楽部門でArnold Goldsbrough Prizeを受賞。トレバー・ピノック指揮のイングリッシュ・コンサートでバッハの『マタイ受難曲』、ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズでハイドンの『シェプフン』などの神聖なオラトリオに出演している。2010年1月には、ゲヴァントハウスでリッカルド・シャイー指揮によるバッハのクリスマス・オラトリオに出演した。また、NDRラジオフィルハーモニー管弦楽団、ベルリン放送交響楽団、フライブルガー・バロック管弦楽団とも共演している。録音も数多く行っており、特に2005年に発見されたバッハのアリア「Alles mit Gott und nichts ohn' ihn」BWV1127を、初めて12のスタンザすべてを録音した。同時に鈴木雅明の指揮で、バッハの人気カンタータ「Jauchzet Gott in allen Landen」BWV51も録音した。2007年には、鈴木とバッハのミサ曲ロ短調を、レイチェル・ニコルズ、ロビン・ブレイズ、ゲルト・テュルク、ペーター・クーイと共演して録音している。
アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳からのセレクション! 1984年テヘラン生まれのイラン系アメリカ人チェンバロ奏者、マハン・エスファハニのバッハ新録音は『アンナ・マグダレーナのための音楽帳 』
Notebooks for Anna Magdalena : Mahan Esfahani(Cemb, Clavichord)Carolyn Sampson(S)
● メヌエット・ヘ長調 BWV.Anh113
● クリスティアン・ペツォールト:2つのト調のメヌエット BWV.Anh114&115
● クープラン:ロンドー変ロ長調 BWV.Anh183 ● メヌエット・ト長調 BWV.Anh116
● ポロネーズ ・ ヘ長調BWV.Anh117
● メヌエット変ロ長調 BWV.Anh118
● ポロネーズ ト短調 BWV.Anh119
● コラール『ただ尊き神にすべてを受け入れる』 BWV.691
● コラール『おのが平安に帰る』 BWV.510
● コラール『おのが平安に帰る』 BWV.511
● メヌエット イ 短調BWV.Anh120
● メヌエットハ短調 BWV.Anh121
● CPEバッハ:マーチニ長調 BWV.Anh122
● CPEバッハ:ポロネーズト短調 BWV.Anh123
● CPEバッハ:マーチニ長調 BWV.Anh124
● CPEバッハ:ポロネーズト短調 BWV.Anh125
● GHバッハ:アリア『私は時々パイプによい煙草を詰めて』 ニ短調 BWV.515a
● ベーム氏のメヌエット ト長調
● ミュゼット ニ長調 BWV.Anh126
● CPE バッハ:マーチ変ホ長調 BWV.Anh127
● ポロネーズ ニ 短調 BWV.Anh128
● ゴットフリート・ハインリヒ・シュテルツェル:アリア『御身がそばにあれば』 BWV.508
● ゴルトベルク変奏曲 BWV.988よりアリア・ト長調
● CPEバッハ:チェンバロ独奏曲変ホ長調 BWV.Anh129
● ヨハン・アドルフ ・ ハッセ :ポロネーズ ト長調 BWV.Anh130
● 平均律クラヴィーア曲集 第1巻より前奏曲ハ長調 BWV.846
● JCバッハ:リゴードン・ヘ長調 BWV.Anh131
● アリア『なにゆえのものは憂いを思い出す』 BWV.Anh516
● レチタティーヴォ『われは足れり 』 &アリア『まどろめよ、疲れし眼』 BWV.82
● コラール『神よ、われを汝の意のままに』 BWV.514
● メヌエットニ短調 BWV.Anh132
● ジョヴァンニーニのアリア『汝が心 われ 』にあたえずや』 BWV.518
● コラール『汝に向かって、エホヴァよ、私は歌おう』 BWV.299
● コラール『幸いなるかな、お魂の愛する君は』 BWV.517
● アリア『 思いみよ 、わが霊』 BWV.509
● コラール『おお永遠よ、汝恐ろしき言葉』 BWV.513
● わが避け所なるイエスは BWV.728
● メヌエット・ト長調 BWV.841
● ゴットフリート・ハインリヒ・シュテルツェル:アリア『御身がそばにある』もし』 BWV.508
マハン・エスファハニ(チェンバロ、クラヴィコード)
キャロリン・サンプソン(ソプラノ)
録音時期:2021年6月1日-3日
録音場所:エセックス、ラフトン、洗礼者聖ヨハネ教区教会 録音方式: ステレオ(デジタル/セッション)
若干最近は秋めいて感じる季節になり久々に挽きたての暖かい珈琲を淹れ頂きながらバッハを楽しむ・・・。
今回は久しぶりに最初はLS3/5aで聴くが何か物足りなさを感じる、最近聴き慣れたIIILZ Monitor Goldのユニットで聴くキャロリン・サンプソン(ソプラノ)等の歌声は比べるまでもなくTANNOY IIILZユニットが断然勝る、上等なホールの特等席で聴くの如くである。筆者は愛してやまないTANNOY IIILZユニット(1967年発売)で聴き続ける、勿論TANNOY社の火災以降発売したユニット(HPD295)も所有するが、ヴァイオリンのユニゾン、女性ヴォーガルは(Monitor Gold)ユニットには敵わない(ソプラノ)ソロの美しさは圧巻である。筆者が思う兎に角TANNOYユニットの音の良さは女性ボーカルの美しさ、室内楽の端正さやピアノの凛とした響きは絶品であろう。
変わりに確かにLS3/5aの音質は良いと思うのだが受け止め方により若干の音楽性不足、ホール感不足は否めない点は残る、女性ソプラノのヴォーガルはまさにTANNOY 御用達の醸し出す臨場感と比べ霞んでいる様に感じる、最近常用でたもしむTANNOY IIILZユニットは良く聴く筆者の耳にはTANNOYを贔屓しているのであろうかとも思うが・・?しかし変わりにSPENDOR SP3/1P繋ぎ変えて試聴しても同様の事が言えた。意外とこの差は大きのである。
また筆者が大間違いをした事を述べる、スピーカーユニット取り付けバッフル面には防音素材は着けいない事が正解で、このバッフル面に吸音材を着けると音がボケる様であり、十分注意したい案件である。
最近多くのオーディオ・マニアは異常な高額な装置を揃えて聴く方も多いが、筆者が現在使用する機材は4〜50年前の装置が多い、現在後期高齢者のため僅かな年金暮らしの身の上のため所謂貧困老人でもある為機材に負担する余裕も少ない、その為音楽ソフトの購入が唯一の楽しみでもある。この様な音楽愛好マニアもいる現実だが、最新の音楽ソフトは録音状態も良く高齢になり益々駄耳になったがJ.S.バッハ:ヴァイオリン・ソナタ6番頭のエキセントリックな音も昔から言われるヴァイオリンの技法は「大根おろしは強く擦るとより辛くなる」の如くそれなりにヴァイオリンの音を楽しめるこの頃である。
弦楽器も色々聴くが筆者所有のTANNOYⅢLZ in GOODMAN AXIOM80 Cabinetで視聴する限りチェロの音が一番うまい具合に鳴る様に思う、歳を増すごとにバロックチェロ、モダンチェロの別なくチェロ曲が好きなのです。
J .,S.バッハ曲の解説にも次のように示されていた、レオポルト侯の宮廷ソプラノ歌手として活動していた後妻のアンナ・マクダレーナにバッハが書いたこの音楽帳には、『ゴルトベルク変奏曲』のアリアや『平均律クラヴィーア曲集 第1巻』の前奏曲エスファハニはこれまでにリリースしたバッハの録音でもレコード芸術「特選盤」、BBCミュージック・マガジン「インストゥルメンタル・チョイス」、グラモフォン誌「エディターズ・チョイス」に選ばれ、ICMA(国際クラシック音楽賞)2019にもノミネートされるなど絶大な評価を得ていただけに、今回の新録音にアリアやコラールのソプラノ・パートにはキャロリン・サンプソンが参加。 こちらも聴き逃がせません。
J.S.バッハは晩年次々のカンタータを発表しているが、アンナ・マクダレーナの協力も大きく、バッハ一家が丁寧に作り上げた多くの作品も頷けるが、誰でも浸し見やすいアンナ・マグダレーナのための音楽帳の曲は実に心を和ませる曲の数々である。ブラボー!