今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

生命尊重の日

2006-07-13 | 記念日
今日(7月13日)は、「生命尊重の日」
医師・法律家・教育者・主婦等で構成される実行委員会が1984(昭和59)年から実施。1948(昭和23)年の今日(7月13日)、「優生保護法」(現在の「母体保護法」)が公布された。「お腹の中から生命が尊重されること」を願って、講演等のイベントを行っているらしい。
わが国において堕胎を犯罪として全国的に禁止した最初の法律は1880(明治13)年に制定された旧刑法((堕胎罪:旧刑法330))であるが、それは、キリスト教思想に基づいて堕胎を犯罪とするフランス刑法にならって同法典が作られたからだといわれている。キリスト教に限らず、世界の多くの宗教が中絶を悪としており、日本だけに限らず、欧米各国でも近代になると厳しい中絶禁止法を立法化してきた。しかし、日本の場合、宗教的な思想ばかりではなく、堕胎を犯罪として禁止することが当時、日本政府の採る富国強兵策と一致したことも大きかっただろうといわれている。だが刑法による厳格な堕胎禁止にもかかわらず、現実には多数の堕胎が行われており、堕胎罪の改正または廃止を主張する者が戦前においても少なくなかったが、戦前における堕胎合法化論が規定の改廃に結実するには至らなかった。そのような経緯を経て、1948(昭和23)年に戦後の過剰人口とヤミの堕胎対策として「優生保護法」という妊娠中絶を合法化する法律が制定された。そして、1952(昭和27)年、優生保護法の決定的な改正が行われて、審査を要する人口妊娠中絶の制度が廃止され、すべて指定医師の認定のみによって人工妊娠中絶を行いうることになった。その後、時代の流れとともに、「優生保護法」は、「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止するとともに、母性の生命健康を保護することを目的とする(旧1条)。」という優生学的な色彩をも帯びた法律であったが、このことによりハンセン病患者の本人の同意を得ての、優生手術、人工妊娠中絶を認めたハンセン病者断種政策を生むなど、障害者差別ともなっていた優生学的な条文が削除され、1996(平成8)年には「母体保護法」と改名され、人工妊娠中絶の対象は母性の生命・健康を目的としたものに限られるようになった。
しかし、1952(昭和27)年の「優生保護法」の改正から、すべての医師の認定のみによって人工妊娠中絶を行いうることになり、広範な人工妊娠中絶が合法化された結果、刑法の「堕胎罪」の規定はほとんど空文化されてしまった。
先にも述べたように、宗教をはじめ一般の人にも中絶は胎児の生命を故意に奪う行為であり、認められないとする立場をとる者が多いが、その一方で、低年齢の女性が妊娠した際に、妊娠の負担の大きさから肉体的負担を無くすために中絶することや、強姦での妊娠の際の中絶、経済的理由から出産しても子供を養育できる見込みがない場合の中絶を容認する立場もあり、道徳的に悪である事を認めても社会政策としての中絶を合法化するという立場の考えもある。
又、その他に、フェミニズム運動の中で、一部のフェミニストは中絶とは女性のプライバシー権であるとして妊娠の自由化を推進している。これらの人たちの考え方は、胎児は独立した生命体ではあるが、母親の胎内に帰属する低次の存在に過ぎず、本来の人間の生命権とは同等ではないと考え、よって、中絶とは「産む・産まない」の選択をする女性のプライバシーの問題であり、中絶の決定権を女性から剥奪する事は性差別であるという考え方である。この考え方に対しては、胎児は順調に成長したならば当然に生命権を取得する存在であるにも関わらず、その前段階だけを見て低次の存在であるとし、プライバシーの問題とする事についての批判もある。現在の母体保護法における中絶の対象要件は母体の生命・健康に限定され、先天的な異常など胎児に関するものは認められていないことは先のも述べたとおりである。しかし、近年の遺伝子工学的技術の発展はめざましく、多くの疾患の病因が遺伝子レベルで解明されるようになってきており、このような分子遺伝学的手法を用いることによって、遺伝性疾患の出生前診断が可能になってきており、従来の遺伝カウンセリングが、遺伝形式の決定から再発危険率の推定といった確率を論じたものであったのに対し、絨毛や羊水中の胎児細胞の染色体分析やDNA診断、胎児細胞の酵素活性の評価による代謝異常症の診断など、出生前に胎児異常の有無を直接診断できるようになったというのである。(以下参考のgenetopiaホームページ、出生前診断参照)
しかし、「出生前診断」には、倫理的にも社会的にも多くの問題を包含しており、もし、今後、このような「出生前診断」が一般化した場合、先天的な異常を持つ胎児が発見された場合、中絶することが、新たな生命倫理面の論議を呼び起こすことになるであろうし、また、優生学的な考え方を呼び起こし、遺伝子工学や分子遺伝学の成果そのものが、平等とは対蹠的な人間選別に利用されるのではないかと危惧する向きも多い。
お釈迦様は、人は知恵によって栄え知恵によって滅びると説かれているという。生命の誕生や死と言うものものに対して、どのように考えるか・・・やはり、このことは、人間にとっての根源的な問題である。
(画像は「優生保護法が犯した罪」優生手術に対する謝罪を求める会 編、株式会社現代書館)
参考:
[PDF] 日本「生命尊重の日」 胎 児 の 人 権 宣 言
http://www.japan-lifeissues.net/newsletters/0117.pdf
母体保護法 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AF%8D%E4%BD%93%E4%BF%9D%E8%AD%B7%E6%B3%95
胎児
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%83%8E%E5%85%90
genetopiaホームページ(信州大学医学部付属病院・遺伝子診療部HP)
http://genetopia.md.shinshu-u.ac.jp/index.html
出生前診断のページ
http://www.asahi-net.or.jp/~wc4n-szk/syuseizen/syuseizen.htm
誕生前の「死」
http://www.ne.jp/asahi/time/saman/index.htm#mokuji
出産・出生とその前後
http://www.arsvi.com/0g/index.htm