今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

「露伴忌、蝸牛忌」小説家・幸田露伴の忌日

2006-07-30 | 人物
今日(7月30日)は、「露伴忌、蝸牛忌」小説家・幸田露伴の1947(昭和22)年の忌日。
小説家、文芸評論家でもある幸田露伴(こうだ ろはん)は、1867年8月20日(慶応3年7月23日)、 江戸(現東京都)神田生まれ。本名は、成行(しげゆき)。幼名は鉄四郎。露伴の別号「蝸牛庵(かぎゅうあん)」は、家をもたない蝸牛(かたつむり)に擬した命名であり、やどかりのように、幾度も住まいを変えていたという。
幸田家は代々、大名の取次を職とする幕府表御坊主の家柄。逓信省電信修技校を卒業後、電信技手を勤めていたが、西鶴などの江戸文学に親しんで作家を志し、1887(明治20)年21歳の時、官を辞した。翌年『風流仏』等により、文壇にデビュー。その後、天王寺をモデルとする『五重塔』等、東洋的な観念を主題とする作品を次々に発表し、同時代の尾崎紅葉と並び称され、『紅露時代』とも呼ばれる明治文学の一時代を築いた。他に、坪内逍遥、森鴎外とを含めえて「紅露逍鴎」時代とも言われる。
1906(明治39)年、京都帝國大学文科の講師となり、1911(明治44)年、文学博士の学位を授与される。1937(昭和12)年には第1回文化勲章を授与され、芸術院会員となる。1947(昭和22)年7月30日、79歳で没する。
他に、『連環記』『雪たたき』、史伝『運命』『蒲生氏郷』『平将門』、戯曲『名和長年』、長編詩集『出廬』、古典研究『芭蕉七部集評釈』、紀行・随筆『枕頭山水』など著作多数。
儒教・仏教・道教に造詣が深く、東洋的精神主義や神秘主義のからまった浪漫的作品が多く、理想主義的傾向をもつ擬古典派に属するといわれている。
兄弟は冒険家、学者、バイオリンにスト、ピアニストといずれも明治のパイオニアであり、小説家幸田文(あや)は娘であり、孫の青木玉も随筆家、曾孫青木奈緒もエッセイストとなっている。
しかし、自由な芸術家というより、暮らしのけじめを大事にし、清貧を終生貫いた。やはり文学の道を歩んだ娘の幸田文は、早く実母をなくし、吹き掃除をはじめ厳しい家庭教育を受け、「躾(しつけ)」という文字をそのまま表すような仕込み方だったという。
明治の代表的な文人、幸田露伴は文壇の国宝とまで讃えられ、幸田露伴が亡くなった時、慶応大学の塾長をしていた小泉信三博士が「百年に一度しかでない頭脳がなくなった」という趣旨の文を書かれたそうだ。
しかし、古典の素養のある露伴の仕事は、小説の世界に比べ文章表現が難しく、死後、半世紀もたった今、文学的な足跡のみに光が当り、作品が親しまれているとはいえないのではないだろうか。私なども、学生時代に読んだが、短編のごく短い小説だけである。とにかく、当時は、難しすぎて、敬遠していた。
『五重塔』などに見られる、仕事一筋に専念する職人的な姿勢、平々凡々な暮らしの中の謹厳さ、ひたむきさな意地の通し方といった露伴の特徴が、戦後の生活から薄れたことも露伴離れと関係したかもしれないが、バブルのはじけた今になって、幸田文の端正な文章が、再評価され、祖父と母親の毅然とした生活を伝える孫娘青木玉の随筆が人気を呼んでいるようだ。日本人の暮らしから失われたものへの郷愁であろう。
今、[露伴の書を座右に置いて、数え切れないほど読み返してきた]という渡部昇一氏の『幸田露伴の語録に学ぶ自己修養法 』(単行本) や『運が味方につく人つかない人―幸田露伴“努力論”を読む』(文庫) が、現代人にも通じる内容でとても分かりやすく編集され人気をよんでいるようだ。
「順風として喜んでいる人が遇っている風は、逆風として嘆いている人が遇っている風とまったく同じ風なのである。
”努力して努力する”―これは真によいものとはいえない。
“努力を忘れて努力する”―これこそが真によいものである」
努力している、もしくは努力せんとしている、ということを忘れていて、我がなせることがおのずからなる努力であってほしい・・何かをなそうとしても、ままならぬことの多いこの世の中で、いたずらに悩み苦しまずに、のびのびと勢いよく生きるにはどうすればよいか・・・・露伴の説く人生論。含蓄のある言葉である。何をやっても上手くいかないなどとぼやいている人たち是非一度読んでみるとよいのでは・・・。
幸田露伴になじみのない人は、先ずは以下参考の「幸田露伴研究所ホームページ」あたりから、目を通してみては如何かな!
(画像は、渡部昇一氏の『幸田露伴の語録に学ぶ自己修養法 』単行本。)
幸田露伴 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B8%E7%94%B0%E9%9C%B2%E4%BC%B4
幸田露伴研究所ホームページ
http://homepage3.nifty.com/rohan/
松岡正剛の千夜千冊『連環記』幸田露伴
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0983.html
作家別作品リスト:幸田 露伴(青空文庫)
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person51.html
電子図書館 著者別 こ幸田露伴
http://www.eonet.ne.jp/~log-inn/04chosya_ko.htm#幸田露伴
『五重塔』 幸田露伴
http://www.mars.dti.ne.jp/~akaki/gojuu.htm
幸田露伴『幸田露伴美辞名句集』
http://www.konan-wu.ac.jp/~kikuchi/den/rohan.htm
文学
http://learning.xrea.jp/%CA%B8%B3%D8.html
[PDF] 幸田文の世界 幸田文の世界 幸田文の世界 幸田文の世界
http://sizcol.u-shizuoka-ken.ac.jp/~kiyou/14_3/14_3_3.pdf
幸田文全集
http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/09/6/0919010.html
信兵衛の読書手帳(幸田文、青木玉、青木奈緒等の読書感想あり)
文庫・新書・選書 > エッセイ・随筆・評論 ...青木玉
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/bwtsea.cgi?STRCT=1&MODE=1&FLG=&REV-COD=RB48%2FR01
本の中の名言・格言『運が味方につく人つかない人―幸田露伴“努力論”を読む』
http://wisewords.holly.holy.jp/?eid=70009