今日(7月2日)は、「たわしの日」
1915(大正4)年の今日(7月2日)、西尾商店(現在の亀の子束子西尾商店)の創業者西尾正左衛門が、「亀の子束子」の特許を取得した日だそうだ。
束子(たわし)は、洗浄のために用いる繊維を固めた道具のことである。繊維の部分を対象物にこすり付けることで汚れを落とす。古くから用いられているものはヤシの繊維(パーム)でできたものが有名で亀の子束子と呼ばれることが多いが、これは亀の子束子西尾商店の登録商標である。
古くは藁や縄を丸めたものが洗浄に用いられていた。この亀の子束子が考え出されたのは1907(明治40)年のことだそうで、元々、西尾商店は靴ふきマットの製造が専門であり、母親が作っていた靴拭きマットにヒントを得て考案した。母親が作っていた靴拭きマットは従来の縄でできたものとは違い、棕櫚(シュロ)を針金で巻いた構造であった。しかし、既に特許が取られていたこと、すぐに毛先がつぶれて効果が無くなることが問題であった。靴拭きマットは、最初は売れ行きもかなり良かったが、足で踏んで潰れてしまったものが返品されて山積みになっていた。その売れ残っていた棕櫚(しゅろ)製の玄関マットの棒状の切れ端を正左衛門の妻が切り取って丸め、床を磨くのに使っていたのを見たことがヒントとになった。マットに用いていたシュロを針金で巻いたものを丸めて、亀の子束子と命名し洗浄用に売り出したところ、大ヒット商品となったようだ。その亀の子束子ができてから、今日で、丁度100年が経過したことになるが、芥川龍之介の「妖婆」にも、「荒物屋の前へ来ると、浅草紙、亀(かめ)の子(こ)束子(だわし)、髪洗粉などを並べた上に、蚊やり線香と書いた赤提燈が、一ぱいに大きく下っている」などと出ている。この短編の初出は、1919(大正8)年9、10月 の 「中央公論」と言うから、この頃にはどこの荒物屋にも出回っていたのだろう。
商品名は、実用新案登録のために、何にしようか思案している時、亀が水のなかを泳いでいるのを見て、「亀に似ている」のと、洗う道具は、水にも縁があるし、亀は縁起が良いということで『亀の子束子』と命名したそうだ。 「たわし」の漢字は当時の漢学者に相談して「束子」とあてはめてもらったという。詳しいことは亀の子束子西尾商店の以下のページを見ると良い。
http://www.kamenoko-tawashi.co.jp/arekore/hiwa/hiwa.html
今では、「たわし」にも色々な種類のものがあるが、イメージ的には「たわし」と言えば先ず「亀の子束子」を思い出すのではないか。「関口宏の東京フレンドパークII」のビッグチャレンジのときダーツで当たる景品の一つで、ダーツ板の中心と車の当たる場所の左右などにある。 「新婚さんいらっしゃい!」のペアマッチでパネルを開き2枚同じになると賞品としてもらえる。このコーナーでは地球儀の中の該当賞品を貰える夫婦にハワイ旅行が当たるが、該当賞品がたわしであることが多い。ここで使われているのが亀の子束子である。何か、つまらないものの代名詞的に「たわし」が使われたりしているのは、ちょっと、可哀そうな感じ。
多くの種類がある「たわし」の中でも、吸水性に富み、洗剤を含ませることで洗浄が容易にでき、食器などの油汚れの洗浄に効果を発揮するポリウレタン製の「スポンジたわし 」などが、今では、家庭で一番良く使われているかもしれないが、柔らかい「スポンジたわし」では落ちにくい汚れで、傷が問題とならない箇所、例えば調理器具、浴室、布製の靴などの洗浄には、「亀の子たわし」や「金属たわし」が適している。
亀の子束子西尾商店HPを見ていると、父の日のプレゼントにとして亀の子束子棕櫚などのセットが販売されていたようだ。その中に、「料理名人セレクト」(亀の子束子男前掛け創業100年限定版、せいろ洗い、亀の子束子棕櫚の3点セット)があった。その中で、私が興味を引いたのは、「せいろ洗い」である。注釈に”プロが普段仕事に使っている道具です”とあった。
この「たわし」には「束子」と当て字されているが「手藁(テワラ)」が元の形である。語源には、漢字本来の意味と言うよりも、もともとの語から離れた漢字を当てた類推語と言われるものが結構あるようで、これもその一つで、本来なら「たわら」となるところを「俵」と同音で紛らわしいのを避けて、「束ねる」の字をあて「たわし」となったもののようだ。何となく説得力のある字だよね。
”「たわし」なんか昔は「切りワラ」言ぅてね、ワラをこぉ束ねて、そぉ左官(しゃかん)屋さんが使こてましたけどなぁ、左官屋さんもないよぉなってね。ワラをグ~ッとこぉ束ねて端をザクっと切ったんで洗ろてたんですなぁ。
大正ぐらいになってから「亀の子だわし」ちゅうのがでけまして、針金に棕櫚を巻き込んで、あらもぉ効果ありますけどなぁ。関西ではそれ以前、江戸でもやっぱりワラをこぉやったやつが「たわし」やったわけでございますしね
だいたい「荒もん屋」が、京都はあるんですなぁ、京都ちゅうとこはえぇとこでんなぁ、未だによそにない店がありますわ京都には。”・・・落語「江戸荒物」の一説である。以下参照。
世紀末亭【上方落語メモ第3集】その116 / 江戸荒物
http://homepage3.nifty.com/rakugo/kamigata/rakug116.htm
シュロの毛は耐水性・弾力性に富んでいるためよごれをスッキリと洗いおとせるので、この落語に出てくるように、棕櫚(シュロ)の毛などを15センチ位の長さに切り揃えたばねたもので、器物をすり洗うのに使用していたもののことを「キリワラ(切藁)」と言っていたようだが、それが「亀の子束子(だわし)」が出来てから、「たわし」言うようになったようだ。それまでは、すべて、「キリワラ(切藁)」と言っていたようだ。以下のページにある「 シュロの棒たわし 」 がそうである。
お店の情報016 内藤商店
http://murasakisumire.web.infoseek.co.jp/shop-information016.htm
普通の楕円形の「たわし」だと、持っている手が痛くなるのでこのような棒のようになっているたわしの方がゴシゴシと洗いやすいよね。そういえば、私の家でも、子供の頃に見たこと有るよ。
(画像は、亀の子束子。Wikipediaより)
参考:
亀の子束子西尾商店
http://www.kamenoko-tawashi.co.jp/
たわし - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%9F%E3%82%8F%E3%81%97
「棕櫚(しゅろ)」を知っていますか? ~野上谷の棕櫚を訪ねて~
http://www.wsk.or.jp/work/d/yamashita/01.html
ポリウレタン - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%AC%E3%82%BF%E3%83%B3
便覽十七年(平成疑問かなづかひ)
http://homepage3.nifty.com/gimon/index.htm
作家別作品リスト・芥川 竜之介
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person879.html#sakuhin_list_1
江戸荒物 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B1%9F%E6%88%B8%E8%8D%92%E7%89%A9
世紀末亭
http://homepage3.nifty.com/rakugo/index.htm
京都三條小橋商店街・各種ホーキ・タワシ製造小売業・棕櫚製品専門店内藤商店
http://www.palette.or.jp/sankoba/naitou/naitou.html
1915(大正4)年の今日(7月2日)、西尾商店(現在の亀の子束子西尾商店)の創業者西尾正左衛門が、「亀の子束子」の特許を取得した日だそうだ。
束子(たわし)は、洗浄のために用いる繊維を固めた道具のことである。繊維の部分を対象物にこすり付けることで汚れを落とす。古くから用いられているものはヤシの繊維(パーム)でできたものが有名で亀の子束子と呼ばれることが多いが、これは亀の子束子西尾商店の登録商標である。
古くは藁や縄を丸めたものが洗浄に用いられていた。この亀の子束子が考え出されたのは1907(明治40)年のことだそうで、元々、西尾商店は靴ふきマットの製造が専門であり、母親が作っていた靴拭きマットにヒントを得て考案した。母親が作っていた靴拭きマットは従来の縄でできたものとは違い、棕櫚(シュロ)を針金で巻いた構造であった。しかし、既に特許が取られていたこと、すぐに毛先がつぶれて効果が無くなることが問題であった。靴拭きマットは、最初は売れ行きもかなり良かったが、足で踏んで潰れてしまったものが返品されて山積みになっていた。その売れ残っていた棕櫚(しゅろ)製の玄関マットの棒状の切れ端を正左衛門の妻が切り取って丸め、床を磨くのに使っていたのを見たことがヒントとになった。マットに用いていたシュロを針金で巻いたものを丸めて、亀の子束子と命名し洗浄用に売り出したところ、大ヒット商品となったようだ。その亀の子束子ができてから、今日で、丁度100年が経過したことになるが、芥川龍之介の「妖婆」にも、「荒物屋の前へ来ると、浅草紙、亀(かめ)の子(こ)束子(だわし)、髪洗粉などを並べた上に、蚊やり線香と書いた赤提燈が、一ぱいに大きく下っている」などと出ている。この短編の初出は、1919(大正8)年9、10月 の 「中央公論」と言うから、この頃にはどこの荒物屋にも出回っていたのだろう。
商品名は、実用新案登録のために、何にしようか思案している時、亀が水のなかを泳いでいるのを見て、「亀に似ている」のと、洗う道具は、水にも縁があるし、亀は縁起が良いということで『亀の子束子』と命名したそうだ。 「たわし」の漢字は当時の漢学者に相談して「束子」とあてはめてもらったという。詳しいことは亀の子束子西尾商店の以下のページを見ると良い。
http://www.kamenoko-tawashi.co.jp/arekore/hiwa/hiwa.html
今では、「たわし」にも色々な種類のものがあるが、イメージ的には「たわし」と言えば先ず「亀の子束子」を思い出すのではないか。「関口宏の東京フレンドパークII」のビッグチャレンジのときダーツで当たる景品の一つで、ダーツ板の中心と車の当たる場所の左右などにある。 「新婚さんいらっしゃい!」のペアマッチでパネルを開き2枚同じになると賞品としてもらえる。このコーナーでは地球儀の中の該当賞品を貰える夫婦にハワイ旅行が当たるが、該当賞品がたわしであることが多い。ここで使われているのが亀の子束子である。何か、つまらないものの代名詞的に「たわし」が使われたりしているのは、ちょっと、可哀そうな感じ。
多くの種類がある「たわし」の中でも、吸水性に富み、洗剤を含ませることで洗浄が容易にでき、食器などの油汚れの洗浄に効果を発揮するポリウレタン製の「スポンジたわし 」などが、今では、家庭で一番良く使われているかもしれないが、柔らかい「スポンジたわし」では落ちにくい汚れで、傷が問題とならない箇所、例えば調理器具、浴室、布製の靴などの洗浄には、「亀の子たわし」や「金属たわし」が適している。
亀の子束子西尾商店HPを見ていると、父の日のプレゼントにとして亀の子束子棕櫚などのセットが販売されていたようだ。その中に、「料理名人セレクト」(亀の子束子男前掛け創業100年限定版、せいろ洗い、亀の子束子棕櫚の3点セット)があった。その中で、私が興味を引いたのは、「せいろ洗い」である。注釈に”プロが普段仕事に使っている道具です”とあった。
この「たわし」には「束子」と当て字されているが「手藁(テワラ)」が元の形である。語源には、漢字本来の意味と言うよりも、もともとの語から離れた漢字を当てた類推語と言われるものが結構あるようで、これもその一つで、本来なら「たわら」となるところを「俵」と同音で紛らわしいのを避けて、「束ねる」の字をあて「たわし」となったもののようだ。何となく説得力のある字だよね。
”「たわし」なんか昔は「切りワラ」言ぅてね、ワラをこぉ束ねて、そぉ左官(しゃかん)屋さんが使こてましたけどなぁ、左官屋さんもないよぉなってね。ワラをグ~ッとこぉ束ねて端をザクっと切ったんで洗ろてたんですなぁ。
大正ぐらいになってから「亀の子だわし」ちゅうのがでけまして、針金に棕櫚を巻き込んで、あらもぉ効果ありますけどなぁ。関西ではそれ以前、江戸でもやっぱりワラをこぉやったやつが「たわし」やったわけでございますしね
だいたい「荒もん屋」が、京都はあるんですなぁ、京都ちゅうとこはえぇとこでんなぁ、未だによそにない店がありますわ京都には。”・・・落語「江戸荒物」の一説である。以下参照。
世紀末亭【上方落語メモ第3集】その116 / 江戸荒物
http://homepage3.nifty.com/rakugo/kamigata/rakug116.htm
シュロの毛は耐水性・弾力性に富んでいるためよごれをスッキリと洗いおとせるので、この落語に出てくるように、棕櫚(シュロ)の毛などを15センチ位の長さに切り揃えたばねたもので、器物をすり洗うのに使用していたもののことを「キリワラ(切藁)」と言っていたようだが、それが「亀の子束子(だわし)」が出来てから、「たわし」言うようになったようだ。それまでは、すべて、「キリワラ(切藁)」と言っていたようだ。以下のページにある「 シュロの棒たわし 」 がそうである。
お店の情報016 内藤商店
http://murasakisumire.web.infoseek.co.jp/shop-information016.htm
普通の楕円形の「たわし」だと、持っている手が痛くなるのでこのような棒のようになっているたわしの方がゴシゴシと洗いやすいよね。そういえば、私の家でも、子供の頃に見たこと有るよ。
(画像は、亀の子束子。Wikipediaより)
参考:
亀の子束子西尾商店
http://www.kamenoko-tawashi.co.jp/
たわし - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%9F%E3%82%8F%E3%81%97
「棕櫚(しゅろ)」を知っていますか? ~野上谷の棕櫚を訪ねて~
http://www.wsk.or.jp/work/d/yamashita/01.html
ポリウレタン - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%AC%E3%82%BF%E3%83%B3
便覽十七年(平成疑問かなづかひ)
http://homepage3.nifty.com/gimon/index.htm
作家別作品リスト・芥川 竜之介
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person879.html#sakuhin_list_1
江戸荒物 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B1%9F%E6%88%B8%E8%8D%92%E7%89%A9
世紀末亭
http://homepage3.nifty.com/rakugo/index.htm
京都三條小橋商店街・各種ホーキ・タワシ製造小売業・棕櫚製品専門店内藤商店
http://www.palette.or.jp/sankoba/naitou/naitou.html