今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

体外受精の日

2007-07-25 | 記念日
今日(7月月25日)は、「体外受精の日」
1978(昭和53)年、イギリス・マンチェスターの北東のオールダム総合病院で世界初の体外受精児(試験管ベビー)が誕生した。10月にもインドで試験管ベビーが誕生し、日本でも医の倫理をめぐり議論を呼んだ。
生殖医療における体外受精(In Vitro Fertilization, IVF[参考])とは不妊治療の一つで、通常は体内で行われる受精を体の外で行う方法。受精し、分裂した)を子宮内に移植することを含めて体外受精・胚移植(IVF-ET)という。費用は約30万以上と高額で、通常、卵管閉塞などの器質的原因や、タイミング法・人工授精をしたが、妊娠に至らなかった場合に用いられる。通常は精子を自然受精させるが、乏精子症など精子側の受精障害がある場合には顕微授精(多くの場合卵細胞質内精子注入法: ICSIを行う。以下参考の楠原レディースクリニックの不妊症の治療法 (8)顕微授精法(卵細胞質内精子注入法)ICSI参照)。自然での人間の周期あたり妊娠率は平均15%前後だが、IVF-ETの場合25%程となるそうだ。
世界で初めての体外受精児が、イギリスの病院で生まれたのは1978(昭和53)年の今日(7月25日)、2600グラムの女の子であった。母親(32才)は卵管異常のため正常な妊娠が出来ず、人工的に体外で受精する方法がとられた。当時は「test-tube baby(試験管ベビー)」と呼ばれ一躍流行語にもなったが、その言葉からマッドサイエンティストが、プラスチック容器の中で、人間を受精卵から培養・飼育しているかのような、SF的で、背徳的なイメージが、形づくられてしまった。 しかし、この言葉は実相を反映しておらず、差別的な響きをもつため、まもなく使われなくなった。
体外受精(IVF)治療によって世界初の体外授精児として生まれたルイーズ(Louise・Brown )がお母さんになったという記事を見た。以下参考に記載の「記事 : 世界初の「試験管ベビー」はお母さんになった」参照。
このことは、体外受精で生まれた子供が生殖能力の面でも通常と変わらない事が証明されていることになり、また、体外受精児が、自然妊娠によって子供に命を繋いでいるというのは、非常に感慨深いものである。
日本においても、1983(昭和58)年に東北大学の鈴木雅州らが体外受精に成功、第1子が誕生してからは、その数が増えつづけ1998(平成10)年には年間1万人を突破した。また、2005(平成17)年9月14日付け読売新聞に、精子と卵子を体外で受精させて子宮へ戻す「体外受精」によって国内で生まれた子供が、2003(平成15)年の1年間で過去最高の1万7400人に達したことが、日本産科婦人科学会(武谷雄二理事長)の調査で明らかになったと報告されている。調査したのは、同学会に体外受精の実施登録施設として届け出ている590施設。それによると、2003(平成15)年の体外受精による出生児数は1万7400人と、前年より2177人増加しており、全出生数(112万3610人)に占める割合は1,5%で、この年に生まれた65人の赤ちゃんのうち1人が体外受精児になる計算だという。同学会が体外受精による出生の調査を始めた1986年以来の累積出生数は計11万7589人となったそうだ。
調査を担当した久保春海・東邦大教授(産婦人科)は、「治療1回あたりの妊娠率はそれほど向上しておらず、不妊患者の数が増えた結果だろう。安全に妊娠・出産できる年齢限界は35歳以下ということを認識してほしい」と述べ、体外受精件数を引き上げている高齢出産の増加に警鐘を鳴らしている。以下参考に記載の「65 人に 1 人体外受精で誕生高齢出産増加も影響(たはら整形外科HP)」参照。
それにしても、今、日本で生まれる子供の65人のうち1人が体外受精児だというのには驚かされるが、このことは、今では、体外受精などの高度生殖医療技術が、不妊治療のための不可欠の手段としてすっかり定着をしているということだろう。しかし、以下のNIKKEI NET 「いきいき健康特集:進む少子化」の中にも見られるように、卵子を急速に凍結した上で、保存し、約1年後に解凍して体外受精し、出産していることも報告されており、卵子を保存する卵子バンクも民間医院が設置しているが、日本産科婦人科学会生殖・内分泌委員会は卵子凍結保存について「臨床応用は時期尚早」と答申しており(2003年)、日本には、生殖医療に関する法律はないらしいが、第三者への卵子提供については、厚生労働省審議会も同年にまとめた生殖医療に関する報告書で、営利目的の精子や卵子提供を禁止している。
しかし、卵子バンク事業を始めた「エクセレンス」は今でもドナーをホームページで募集している。以下参考に記載の医療・医学ニュース:不妊症に悩む夫婦へ卵子を販売する「卵子バンク」参照。
医学の進歩による生殖医療はどんどん拡大してゆき、日本のような深刻な少子化の進んでいる国などでは、単に医療の分野の面だけではなく、このような人工的な生殖が人口問題解決のための手段として、注目されたりもする。かつては想像の産物であったクローン遺伝子操作のような技術も現実のものとなっている一方、生命倫理の議論がそれに追いついているとは言い難い。そのため、「技術だけが進みすぎている」という漠然とした恐怖を背景に、生命を操るマッドサイエンティストの暴走が気になるところではある。非常に難しい問題である。人工受精の問題については問題点参照。
生殖医療を制限すべきかどうかなど政府でも検討しているようだが、以下のようなページについて、皆さんはどのように考えるかな???
特集 もっと生殖医療に光をあてよ:政府法案に物申す-野田聖子議員に聞く (Web  Iwakami)
http://www.hh.iij4u.or.jp/~iwakami/sanf4.htm
(画像は、試験管ベビー。世界で初めての体外受精児が7月25日、イギリスの病院で生まれた。写真は生後1ヶ月目のあかちゃん。アサヒクロニクル「週刊20世紀」より)
参考:
体外受精 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%93%E5%A4%96%E5%8F%97%E7%B2%BE
日本産科婦人科学会 - Japan Society of Obstetrics and Gynecology -
http://www.jsog.or.jp/
楠原レディースクリニック
http://www.kusuhara.gr.jp/
知っておきたい体外受精・顕微授精の基礎知識
http://www.mayu-c.net/kenbijyusei/
体外受精の実際
http://www.koma-cli.jp/haka008.html
世界初の「試験管ベビー」はお母さんになった
http://www.mypress.jp/v2_writers/beep/story/?story_id=1555697
Web  Iwakami
http://www.hh.iij4u.or.jp/~iwakami/index.htm
マッドサイエンティスト - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%83%E3%83%89%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%83%88
65 人に 1 人体外受精で誕生高齢出産増加も影響(たはら整形外科HP)
http://www.tahara-seikei.com/6047.htm
記事 : 世界初の「試験管ベビー」はお母さんになった 
http://www.mypress.jp/v2_writers/beep/story/?story_id=1555697 
日本初の<精子バンク・卵子バンク> エクセレンス
http://www.threeweb.ad.jp/~excelle/
NIKKEI NET いきいき健康特集:進む少子化(9/23)卵子の急速凍結保存に成功、体外受精で男児出産
http://health.nikkei.co.jp/special/child.cfm?i=2003092303126p4
医療・医学ニュース:不妊症に悩む夫婦へ卵子を販売する「卵子バンク」
http://medical-today.seesaa.net/article/32011030.html