今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

宇野宗祐首相が参院選惨敗と女性問題により退陣を表明した日

2007-07-24 | 歴史
1989(平成元)年の今日(7月24日)、 宇野宗祐首相が、参院選惨敗と女性問題により退陣を表明 。8月9日に退陣した。68日間の短命内閣であった。
1960(昭和35)年の第29回衆議院議員総選挙で初当選。
リクルート事件の関与と消費税導入により、支持率が急落した竹下登首相が1989年(平成元)4月25日に辞意を表明するも、軒並み同事件に関わっていた安倍晋太郎宮沢喜一渡辺美智雄らの自民党有力者は身動きが取れず、伊東正義元外相や坂田道太衆議院議長からも断られて後継選びは難航する。その結果、主要閣僚中でリクルートの関連性が薄かった宇野が急遽後継総裁に擁立される事になった。6月2日、自民党は両院議員総会で異例の「起立多数」で宇野外相が第13代自民党総裁に選出。初めて派閥領袖以外からの総裁選出となった。
同年6月3日宇野内閣発足。しかし就任3日後にサンデー毎日(毎日新聞)が、元愛人(神楽坂芸妓と言われる)の告発を掲載し、女性スキャンダルが表面化。始めは国内の他のマスコミは無視したが、外国メディアに「セックススキャンダルが日本の宇野を直撃(後段の※印参照」(ワシントンポスト紙)等と掲載されると、それが引用される形で日本で話題となった。また同年6月28日には宇野が進退について言及したとの憶測が飛びメディアに辞意表明と報道される。作家の大下英治によるとこの騒動の原因は、当時自民党国会対策副委員長を務めていた糸山英太郎が、記者懇談で愛嬌のつもりで言ったオフレコ発言が一人歩きした結果だという。また急造内閣だった為総理執行部の連携がうまくいかなかったことも原因として挙げられる。
同年7月23日の第15回参議院議員通常選挙は、いわゆる3セット(リクルート問題、消費税問題、農産物自由化問題)が争点となり、自民党は改選議席の69議席を大幅に下回る36議席と惨敗した。参議院では結党以来初めての過半数割れとなる(これ以降2007年1月現在まで自民党は単独過半数を確保できていない)。その翌24日、敗北の責任をとり退陣を表明。当初は敗北は宇野一人の責任にできないと言う見方もあった(ここまで大敗した原因には、竹下政権から引き継がれたリクルート事件や消費税問題があったから)が、宇野の女性問題に対する対応の不十分さも票を失う原因になっていたため、結局は宇野が責任を取る以外無かったようだ宇野の総理在任期間は僅か69日、日本政治史上3番目の短命内閣に終わった。
宇野は近江の酒造家の長男であり、前任の竹下に似ている。
宇野の先祖に当る宇野醴泉という人物は、『大日本人名辞書』にも名前が載るほどの儒者として当時よく知られていた人物で、当時日本は朝鮮との友好を基として前後十二回にも及ぶ朝鮮通信使を迎えたが、その時、朝鮮通信使との文雅応酬を日本の漢学者たちが一生をほこりとしたと言うが、その中に見られる風雅人らしい。(以下参考の記載の「鮮通信使文芸資料(新出)をめぐって 」参照)近江国には朝鮮人街道(野洲市~彦根市)とも呼ばれている脇街道は、関ケ原合戦で勝利した後に徳川家康が通った道で大名行列の往来も許されなかった街道で通信使のみに通ることを許されたといわれる。
宇野宗祐もまた、なにをやらせてもほどほどにこなす起用人だったようだ。政策通で俳句を嗜み、俳号は犂子(れいし)。専門家からは、「素人としては超A級」といわれていたそうだ。小説や歴史書を書き、シベリア抑留の体験を綴った『ダモイ・トウキョウ』は映画化もされ、天保の農民一揆を題材とした「庄屋平兵衛獄門記」も著している。絵でも政経文化が画人展の常時出品者だったそうだ。ピアノやハーモニカもたしなむ才人としても知られ、外相の時は、ワシントンでの夕食会(1988年)で、自らハーモニカを吹いて、サービスをし、誇り高き外務官僚を辟易させたこともあったという。そのような、器用さが政治家としてもあった。
防衛庁長官科学技術庁長官行政管理庁長官通商産業大臣外務大臣などの大臣ポストをそれぞれ政策を勉強しながら無難にこなした。自民党の政策担当副幹事長としても、石油危機対策や減税問題などで知恵を出した。竹下政権が崩壊した後のリリーフとして首相に選ばれた1つにはその器用さが買われたようである。ただ、宰相というポストは器用さだけでは務まらない。自民党総裁に選ばれた直後「閣僚人事は自分1人で考え各派閥からの入閣名簿を頂戴することは止める」と公言したものの宇野の構想は竹下派にことごとく潰され、「雇われマダム」でしかないことがすぐさま露呈してしまった。そして、幹事長には竹下派の橋本龍太郎が選ばれていた。
総理就任時には堅物でない宇野の趣味の広さや遊びごころが好意的に報道されたが、結果的にはこの面で足をすくわれたことになる。
橋本は、「威張る。怒鳴る。すねる」が欠点とされたが、それは、もっぱら同性に対する場合であり、弟の高知県知事大二郎氏によれば、「女性には細やかな心遣いの出来る人」で、若い頃から兎に角女性にもてたという。宇野が女性問題もあって退陣後、後継首相選びには、自民党の若手から橋本擁立の声が上った。この時、自民党において権勢を誇り、『政界のドン』といわれていた金丸信は、小沢一郎(今は民主党代表)に命じて、橋本の女性関係を調べさせた。情報を集めた小沢は奥田敬和竹下派七奉行の一人)とともに、橋本を呼び出し、”取調べ”を行い、結局、女性問題でつまづく恐れのある橋本擁立は、見送ることで、竹下派幹部の意見は一致したという。(朝日クロニクル「週刊20世紀」)
そして、その後の自民党両院議員総会で海部俊樹が新総裁に選出された。
数日前のブログ「7月22日宮澤 喜一首相退陣を表明 」でも、採りあげたが、「美しい国づくり」を目指して組閣されたはずの安倍内閣ではあるが、組閣してからわずかの間に、閣僚や内閣総理大臣が指名した人物に関する醜聞、不祥事やトラブルが多発する異例の事態に発展してしている。(不祥事・スキャンダル一覧参照)自民党は、目の前の参議院戦を意識し、国民にとって最も重要な関心事である年金問題解決に関する審議等も野党と十分行わないまま自民党案を強行採決して参議院戦に望んでいる。国会の審議よりも、参議院戦対策の方が重要なのだろう。そんなときに、松岡利勝・前農林水産大臣(自殺)の後任として、安倍首相に選ばれた赤城徳彦は、赤城の政治団体「赤城徳彦後援会」が、事務所としての実態がまったくない赤城の父親の自宅(茨城県筑西市赤浜)を、事務所として届け出た上、2005(平成17)年までの10年間におよそ9045万円(75.4万/月)にのぼる経常経費を計上していたことが問題となっている。この不祥事問題についても、野党の追及に対して、安倍首相は問題がないとして、赤城をかばい、総てを明らかにしようとはしない。本来、自民党は、先にも書いたように、良いか悪いかは別にして、後任の首相や大臣を選任する際には、身持ち調べをきっちりとやっていたのだが、あれだけ色々閣僚に問題のある人が出ながら、疑惑をもたれる閣僚を選任したことについて、安倍首相の指名責任ありと言われても仕方がないことだろう。それとも、首相も同じころをしているから、人の疑惑を追及できないのですか?と言いたくなる。以下の報道記事など読んでみて、あなたはどう感じますか?参議院選挙では、このようなことにもきっちりと審判を下そうよね。どうしても、旅行等があり投票所に当日投票に行けない人は「期日前投票」をしておこうね。
赤城農相:事務所費問題 不透明な「四つの財布」(msn)
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/seitou/news/20070708k0000m010110000c.html
※※1 スキャンダルそのものの内容や、告発者の告発内容に対する検証がなされず、ただ批判だけが先行する状態であったが、女性票が離れるとして候補者から応援演説の要請がほとんどなかった。また当事者である宇野がこの問題についてノーコメントを通したことも、世論特に女性層の批判を強めた。
(画像は、7月1989 年7月23日に行われた参議院選挙で自民党が敗北。宇野宗佑総裁が責任をとって辞任したため、党両院議員総会は8月8日後継に海部俊樹新総裁を選出。挨拶をする海部俊樹新総裁と左から2人目宇野宗佑 前総裁。朝日クロニクル「週刊20世紀」より)
宇野宗佑 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%87%E9%87%8E%E5%AE%97%E4%BD%91
國際日本文化研究センター
http://www.nichibun.ac.jp/
[DOC] 鮮通信使文芸資料(新出)をめぐって
http://www.bunka.or.kr/ronbun/no15/suga.doc
朝鮮通信使 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E9%80%9A%E4%BF%A1%E4%BD%BF
政経文化画人展のご案内
http://www.geocities.jp/jhyoda/1seikeibu-j.html
7月22日宮澤 喜一首相退陣を表明
http://blog.goo.ne.jp/yousan02/d/20070722
松岡農林水産大臣、首つり自殺 - ウィキニュース
http://ja.wikinews.org/wiki/%E6%9D%BE%E5%B2%A1%E8%BE%B2%E6%9E%97%E6%B0%B4%E7%94%A3%E5%A4%A7%E8%87%A3%E3%80%81%E9%A6%96%E3%81%A4%E3%82%8A%E8%87%AA%E6%AE%BA
「美しい森林づくり」国民運動:水と緑の疑惑人 松岡農林水産大臣
http://blog.livedoor.jp/rokuten1/archives/50458321.html
赤城農相:事務所費問題 不透明な「四つの財布」
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/seitou/news/20070708k0000m010110000c.html