今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

北壁の日

2007-07-19 | 記念日
今日(7月19日)は、「北壁の日」
1967(昭和42)年の今日(7月19日)、東京女子医大山岳部の今井通子さんと若山美子さんの2人がマッターホルンの北壁からの登頂に成功した。女性だけのパーティーでの北壁登攀は世界初だった。
今井 通子さんは、1942(昭和17)年2月1日生まれ、東京都出身の医師・登山家。東京女子医科大学泌尿器科非常勤講師。日本泌尿器科学会指導医・専門医。現在も活躍中である。
マッターホルン(独: Matterhorn、伊: Cervino チェルヴィーノ、仏: Mont Cervin モン・セルヴァン)は、ヨーロッパアルプスの山で、標高は、4478m。スイスイタリアの国境に位置し、山のスイス側はツェルマット(Zermatto)の街があり、イタリア側にはブレイユ・チェルビニア(Breuil-Cervinia )の街がある。マッターホルンという名称は、ドイツ語で牧草地を表すmattと、山頂を表すhornに由来しているそうだ。「ホルン(Horn, horn)」と言えば金管楽器の一種で、「角笛」のこと。私などはスイスの山上でのあの長い長いホルンを連想するが、そういえば、あのホルンは山頂で吹くからいいんだよね~。ドイツ語では山頂を表す言葉だったんだ。山上のホルン以下参照。
風景写真【山上のホルン】~スイス・グリンデルワルト~
http://www.comfart.jp/site/swiss/swiss03.html
マッターホルンは東西南北それぞれを向いた4つの斜面をもっている。北斜面と南斜面は、頂上へ向かう短い東西の尾根を形成しており、これらの斜面は険しく切り立っており、氷雪はわずかに残るのみである。山の北東側にあるヘルンリ尾根が一般的な登山路だそうである。
マッターホルンが制覇されたのは、アルプスの他の山々と比べれば最近のことで、これは技術的な困難によるものではなく、この山が霊峰であるということを初期の登山家達が恐れたからであり、マッターホルン制覇の試みが始まったのは1857年ごろで、多くの登山家はイタリア側から挑戦した。1865(慶応元)年にイギリス人エドワード・ウィンパー等4人がガイドと共に、登頂に始めて成功。それが、意外にも他のルートより平易であったヘルンリ尾根を通る登山路であったそうだが、それでも、下山中にザイルが切断され、4人とも死亡したそうだ。その後、何組かが成功するが、女性初の登頂を成し遂げたのはイギリス人のルーシー・ウォーカーで1871年のことである。しかし、マッターホルンの北壁初登頂 は、1931(昭和 6)年8月1日、トニー・シュミット等によるものであった。(以下参考の世界の山岳参照)
今井は、女性として、はじめて、このマッターホルン(1967年7月19日)と、アイガー(1969年8月15日)、グランド・ジョラス(1971年7月17日)の三大北壁を制覇している。そして、1971年のグランドジョラス山頂で同じ東京都出身の登山家高橋和之と結婚したそうだ。彼女は、その後もチョモランマ(エベレスト)、キリマンジャロなど世界の高峰を制覇。(七大陸最高峰はここを参照)。近年は地球環境保護問題や自然と健康のかかわりなどについて各地で講演活動などを行っているそうだ。今も現役の彼女の経歴等は以下参考に記載の今井通子 講師紹介 講演依頼.com参照すればわかる。しかし、ネットで調べても、もう1人の若山美子さんのことがよく判らない。
ただ、新田次郎 の山岳小説の1つに、『銀嶺の人』がある。
新田は、中央気象台(現気象庁)に入庁した気象学のエキスパートであるが、気象職員として最も知られている仕事に、1963年~1965年、気象庁観測部補佐官・高層気象観測課長・測器課長として 富士山気象レーダー建設責任者となり建設を成功させている。 これは、1959(昭和34)年の伊勢湾台風による被害の甚大さから、広範囲の雨雲を察知できるレーダー施設の設置が要請され、無線ロボット雨量計で運輸大臣賞を受賞するなど気象測量機器の第一人者にして高山気象研究の専門として携わったそうだ。富士山気象レーダーは当時世界最高(高度)・世界最大であったため、同レーダーの完成後はそのノウハウを国際連合の気象学会で説明するなどの公務に明け暮れたそうで、このときの体験を基にして書いた作品が、小説「富士山頂」だそうである。1966(昭和41)年文筆一本に絞るため定年まで後6年残して退職した。
登山好きの皇太子徳仁親王が愛読する山岳小説作家として知られているが、本人は山岳小説と呼ばれることを大変嫌っていたそうだ。その小説(作品一覧参照)は大変に緻密で、小説構成表(年表のように縦軸と横軸を設定し人物の流れを時系列に当てはめたもの)を先に作成してから執筆に取り掛かったという。
私は、若い頃、多くの小説を読んだが、歴史者や社会派ものが多く、残念ながら、彼の山岳小説は余り読んでいない。ネットで、検索し、以下参考に記載の「山岳小説ベスト・テン」や、「銀嶺の人」「読書『銀嶺の人』(上)(下)」「美佐子のいわれ」などを見ると、この小説の中では、勝気な駒井淑子、寡黙な若林美佐子という性格の全く異なる2人の女性が出会い女性パーティ初のマッターホルン北壁へと向かう。その主人公のうち、駒井淑子は欧州三大北壁を初めて制覇し今も活躍中の今井道子さん、もう一人の主人公である若林美佐子が若山美子さんがモデルであるという。
この小説ではどちらかと言うと、活発で気丈な淑子よりも、寡黙で真摯、生業として選んだ鎌倉彫に打ち込み山で雲の形を見て新しい創作文様を極めようとする美佐子を主に描かれているようである。
この美佐子については、美佐子が新婚旅行をかねた山行きで遭難するが、作品では ドリューの岩峰で、原因は落雷となっているのが、実際にはマッターホルンのイタリア稜での墜落であったといった程度の違いだという。従って、そのモデルとなった若山さんの大きな登山歴も実質的には日本の登山史上に残るマッターホルン北壁登攀で終わっている。
作者である新田は、「孤高の人」「栄光の岩壁」「銀嶺の人」を作者自らが「人はなぜ山に登るか」を自他に問う3部作として位置づけているそうである。
人はなぜ、山に登るのか?!この素朴な疑問に対して、「そこに山があるから」・・・と答えた有名な言葉がある。
世界の山の中でチョモランマ(エベレスト)は最も高い海抜高度をもつ山と言われている。
1953(昭和28)年5月29日にイギリス登山隊のエドモンド・ヒラリーシェルパテンジン・ノルゲイが登頂に成功。現時点ではこれが歴史上初のエベレスト登頂成功とされている。しかし、エベレスト登頂史を見ると、エベレストへは、英国山岳会が1921(大正10)年に第一次遠征を派遣。これが、エベレスト登山史の幕開けである。この遠征でジョージ・マロリーらがノース・コル(6985m)に到達。1922(大正11)年のイギリス第二次遠征では、8225m地点まで到達。
1924(大正13)年6月8日、イギリス第三次遠征で、第二次アタック隊のジョージ・マロリーとアーヴィンがチベット側から頂上に向かった。途中第2ステップと呼ばれる切り立った岩壁の難所を登るところまでは目撃されていたが、その後行方不明となる。1999(平成11)年5月1日、アメリカのマロリー&アーヴィン捜索隊が、標高8,160 m付近でジョージ・マロリーの遺体を発見する。登頂に成功した暁に置いてくるつもりだった彼の妻の写真が遺留品に無かった事から、ジョージ・マロリーが登頂に成功していたのではないかという説を唱える人も多いという。
そのジョージ・マロリーが、1923(大正12)年、ニューヨーク・タイムズ紙のインタビューで「なぜエベレストに登るのか」という質問に、"Because it is there."(そこにそれがあるから)と答えた。"it"(それ)とは「処女峰エベレスト」を指すものであるが、日本では藤木九三によって「そこに山があるから」と訳された。この言葉は、登山家の信念を表す名言として現在まで語り継がれている。登山とは、読んで字のごとく山に登ることであるが、その対象は、簡単に登れる近隣の丘陵からヒマラヤ山脈まで様々である。私も家の裏に小さな山があるから登ってはいるが・・・こんなことと比較すると本当の登山家に笑われるよね。でも、私には、手軽な、レクリエーションとしての登山がいいな~。(^0^)
参考:
(画像は、マッターホルン。Wikipediaより)
今井通子 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%8A%E4%BA%95%E9%80%9A%E5%AD%90
ホルン - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%B3
今井通子 講師紹介 講演依頼.com
http://www.kouenirai.com/profile/1871.htm
世界の山岳
http://www.eonet.ne.jp/~hiropjct/dead-end/tozan/alps.html
地球環境問題 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E7%90%83%E7%92%B0%E5%A2%83%E5%95%8F%E9%A1%8C
新田次郎 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E7%94%B0%E6%AC%A1%E9%83%8E
山岳小説ベスト・テン
http://www.ne.jp/asahi/gamo/yama/books/top10/best10.htm
銀嶺の人
http://www1.ocn.ne.jp/~matsuo3/books/ginrei.htm
読書「銀嶺の人」(上)(下)
http://kyu-sho-hyo.cocolog-nifty.com/blog/2006/08/post_6b5e.html
美佐子のいわれ
http://www21.ocn.ne.jp/~kojima/misashin/ginrei2.htm
「岩と雪 10号」(昭和42年11月)を読む
http://blogs.yahoo.co.jp/psybb566/47020233.html
風景写真【山上のホルン】~スイス・グリンデルワルト~
http://www.comfart.jp/site/swiss/swiss03.html