こ と の 端

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余 剰 次 元 ①

2011-12-25 08:25:07 | Weblog
イノチを胎内に宿し

それを慈しみ

育んできたこの惑星は

137億年以上の光学的広がりをもつ

宇宙空間に

ただ一つしかない稀有な存在として

異彩を放っている

この美しく青く輝く小さな星では

大きな変化が

いま引き起こされようとしている


銀河系の片隅に近いところにある

太陽系のそのなかで

恒星との距離と

自身がもつ質量との釣り合いが

地球を水の惑星と呼ばせている


太陽系第三惑星がもっと大きくて

そして重いものであったとしたら

生命はより強い重力の作用を受け

それに耐えるための頑丈な骨格からなる肉体をもち

高い気圧に地表へ押し付けられて暮さなければならなかった

跳躍することはできず

直立することさえも困難

移動は匍匐前進

というイモムシさながらの生活を

余儀なくされていただろう


大気圧が今の二倍の1cm当たり2kgになったら

その圧力は乗用車のタイヤの内部と同じ状態になる

月は二倍になった地球の引力に逆らえず

落下して合体し

地球の体積を増やしていた

月のない海は干満の差を見せず

のっぺりとした海面に波はあっても

水位の変化は見られない


太陽と地球との感覚は狭まり

地表の温度はもっとずっと高まっていた


惑星系の条件が変わっていただけで

地球に生命が誕生する確率は低下する

軌道がもっと外側にあれば

地球は火星のように

凍った星になっていた

反対に内側に位置していたら

金星のように水は蒸発し

消えてなくなっていた

質量が水星ほどに小さかったのであれば

重力は収縮し

雲を大気圏に留めておくことはできなかった


生命は地球以外の惑星に移住することができない


重力の素とされるヒッグス粒子の存在確率は98.9%

発見がなされるのは

もはや時間の問題に過ぎない

超ひも理論が予告していたことが

加速器の中で

人工的に生み出されるときが確実にやってくる

このことは

まだ見出されていない六つの次元を

科学者たちが認めざるを得なくする

そのきっかけとなるだろう

証明することができないものを

受け容れなければならない

これは科学にとって変節にひとしい


現在の科学が確認しているのは

三つの空間軸と

ひとつの時間軸からなる

四軸の時空間

超弦理論は

九つの空間軸とひとつの時間軸という構造で

宇宙が十軸の時空

で成り立っていることを指し示していた


科学者たちはこの数式を前に

大いに頭を悩ませている

見知らぬ六つの次元を処理するために

取り敢えず

4軸の時空間のどこかに

それらは小さく折りたたまれている

ということにした

その段階で未知の空間軸を

余剰次元と呼び習わすようになったのだった

この名称の選択からは

科学者たちが抱いた当惑ぶりが

よく伝わってくる


これまでは証明できない項目を

すべて

非科学的だとして

一律に葬り去ってきた振る舞い方が

これからはできなくなる

ということなのだ

断罪することができないのであれば

曖昧な結論で満足しなければならない


科学とそうでないものとの間にあった

境界領域を扱う分野が

これからは

未来の科学を牽引していくことになるだろう

最先端の科学者たちがたどり着いたその場所には

既に信仰者がたどり着いていた痕跡が残されていた

量子力学を突き詰めていった先の頂上には

同じ内容を記した巻物が

前もって置かれていたのだった


一次元の生命に二次元空間を理解する能力はいらない

三次元空間に住む人類に

それ以上多くの次元を六つも知る必要はなかった

ということなのだ

時間軸がひとつだけという理由はない

前進軸があるとすれば

後退軸もあってよい

余剰次元を導入すると

これまで非科学的だとされていたことのすべてが

合理的に説明できる

謎の一切がメカニズムの一部となって現れる


未知の次元を文明が立証する術はない

検出装置なしで

実体のない時空間を

これからの科学は

率先して体系づけていかなければならない
コメント
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