【7回表】を終わった段階で「1対9」。この時点で雨も降ってきて、日曜日の夜、“セヴンス・イニング・ストレッチ”を終えた地元USセルラーフィールドの観客にとっては「散々な日」になるはずだった。
ましてやヒューストン・アストロズのスターター(先発)は「エース」ロイ・オズワルト。【7回裏】に4番ポール・コナーコの1発(第19号)で1点を返すが、「2対9」。シカゴ・ホワイトソックスにとっては絶望的なGAME(試合)だった。
その流れを変えたのは、一人の日本人選手。【8回裏】0-OUT1,2塁で打席には、2番・井口資仁。ここまでオズワルトには2打数ノーヒットだったが、この回から2番手のラス・スプリンガーに代わっていた。「3-1」から高めのクソボールに手を出して、空振り。大量得点差でオマケに雨も降ってきて、ヤケクソ気味に騒いでいた観客からも失望感が滲むが、「3-2」からの6球目。真ん中高めに入ってきた95MPHを叩いて、レフトスタンドへ第7号3ランホームラン!
花火が打ち上がる中、ホームに還ってくる井口。その構図は美しかった。そしてダッグアウトに還る頃にはブーイング? よく聴いたら、それは井口を讃える「グー」イングだった。「5対9」。ヒューストンとのワールドシリーズのリ・マッチ(再戦)インターリーグGAME-3は、「王者」シカゴが4点差に詰め寄った。
そして【9回裏】2-OUT満塁で井口に打席が回ってくる。マウンドにはヒューストンのクローザー、ブラッド・リッジ。「1-1」からの3球目、99MPHのファストボール、これを叩いた井口。打球が上がった瞬間、女性の観客から悲鳴が上がる。打球は左中間スタンドに吸い込まれていき、第8号同点グランドスラム(満塁ホームラン)!
着弾した瞬間にも、女性の観客から再び悲鳴。こういう悲鳴は「いい」。この日3発目の花火が打ち上がる中、ダッグアウトに還ってきた井口もさすがに興奮気味。ナインからハイタッチで迎えられ、騒然とした中、カーテンコールに応えて見せたが、興奮した観客が何人気づいたことか……「9対9」同点! そのうち井口一人で7打点!!
試合は結局、延長【13回表】にヒューストンが1点を勝ち越して、「10対9」に逃げ切った。井口の活躍がなければ、すんなり終わっていたGAMEだった。井口の存在がいかにシカゴで利いているか、を印象付けた試合。この試合を見て、これで井口のオールスターゲーム出場(監督推薦)は確実に思えたのだが、オジー・ギーエン監督は、井口を選ばなかった。嫌いなのか?
井口、満塁弾含む2発! 日本人初の7打点 (MAJOR.jp)