野球少年は夢を見る…MLB篇

Major League Series 2022

メッツ「16対4」で快勝!(19日・フィラデルフィア)

2005-04-30 12:06:53 | New-York Mets
 ニューヨーク・メッツが、19日のフィラデルフィア・フィリーズ戦で球団新記録となる1試合7本塁打で「16対4」で快勝!! 初回のホゼ・レイエスの先頭打者アーチに始まり、8番ヴィクター・ディアスの2打席連続、地元マイク・ピアッツアの一発、ダグ・ミントケイウィッチが続き、レイエスの2本目、最後はデヴィット・ライトのグランドスラム(満塁弾)で締め。久々に「強い」メッツを見た。しかし、そんな中、松井稼頭央は6打数1安打、一人蚊帳の外……否、もう一人、3番カルロス・ベルトランがノーヒットだったが。

 ピアッツアがホームランを放ったとき、観客席で手を叩いて喜ぶ、おじさんが地元放送局【MSG】に抜かれて(映されて)いたが、【スカパー!】のコメンテーター二人は無反応。あれはどう見ても、ピアッツアのお父さん、だと思うが。気付いて欲しかったな、ベテランの高瀬有紀子嬢と(2年目の)菊田康彦氏。

 それにしても、若手ディアスの2発は衝撃的。今はマイク・キャメロンの代役だが、キャメロンが帰って来ても、ライトのポジションは無いかもしれない。この日もダブルプレーで送球ミスがあった松井稼はともかく、ベルトランの精彩の無さも気になる。同じニューヨークでも、ヤンキースに欲しかったな、と思う。
KAZUO25.com

野茂、王者に連敗! (24日・フロリダ)

2005-04-29 13:56:26 | Tampa-Bay Rays
 ホーム=トロピカーナ・フィールドに2度目の登板、野茂英雄(タンパベイ・デヴィルレイズ)。相手は古巣であり、初戦で打ち込まれた「世界一」ボストン・レッドソックス。雪辱を期すマウンド、だ。1番ジョニー・デーモンに3球目のスプリット(フォーク)を狙われ、センター前ヒット。早くもノーアウトで走者を許す。1塁ベース上でニンマリ、デーモン。長い髪をかき上げる。

 2番トロント・ニクソンの4球目にデーモンが走り、キャッチャーの送球が逸れて、デーモンは3塁へ。ニクソンを歩かせて、ノーアウト、1,3塁。初回からピンチを招く。地元トロピカーナ・フィールドの観客からブーイング。マウンド上で顔の汗を拭う野茂。続く3番マニー・ラミレスに初球(86MPH)を叩かれ、レフトへ大飛球。これが犠牲フライになって、あっさり「王者」が先制する。

 4番デヴィット・オルティーズには、ピッチャー強襲打を浴びるが、ショートのフリオ・ルーゴの好守で1塁封殺。しかし5番「クラッチヒッター」ケヴィン・ミラーに今度はサード強襲!! レフト線に転がるダブル(2塁打)を打たれ、2失点。トロピカーナ・フィールドの観客から大歓声。ボストン・ファンが大挙詰め掛けているようだ。「世界一」ともなれば、人気も「全国区」になるようだ。

【2回表】「天敵」(対野茂の通算打率.350)7番エドガー・レンテリアに初球(79MPH)2球目(85MPH)で「0-2」と追い込んだものの、3球目(84MPH)ファウル、4球目(77MPH)ボール、5球目、勝負に行ったフォーク(76MPH)をカットされ、6球目(77MPH)も見送られ、仕方なく7球目に投げ込んだ速球(ファストボール)(83MPH)をライト前に持っていかれ、ノーアウトで1塁。やはり「天敵」。野茂に攻略する術なし。

 8番「元シアトル・マリナーズ~サンディエゴ・パドレス」ラモン・ヴァスケスはセンターフライに打ち取るが、9番マーク・ベルホーンの2球目にレンテリアが走って、盗塁成功。ベルホーンはピッチャーゴロに仕留めて、2アウトに漕ぎ着けるが、1番デーモンに初球(87MPH)を叩かれ、ライト線に転がるダブル(2塁打)。1点入って、「0対3」。

 味方打線が2点を返し、「2対3」と詰め寄ったものの、【6回表】にも、1アウト後「天敵」に「3-1」からレフト前ヒットを浴びて、8番ヴァスケスに右中間を破られ、「2対4」。野茂はこの回限りで降板して、試合は結局「3対11」ボストンの大勝。6イニングス4失点なら、まずまずのピッチングだが、序盤早々の失点は痛かった。味方が1点差に追いついての失点も痛かった。

 これで「2勝2敗」(防御率6.41)。先発(スターター)の一角、左腕マーク・ヘンドリクソンがDL(故障者リスト)から戻ってくるが、29日(日本時間・30日)の野茂の先発予定は変わらず。相手は、ボルチモア・オリオールズ。サミー・ソーサと対決、だ。

 それにしても、地元トロピカーナ・フィールドなのに、ボストンファンの声援が圧倒的。途中からキレた地元ファンが、歓声にブーイングで対抗して、観客同士が戦っていた。それに煽られたのか、【7回】の攻防で両チームが二度に渡る乱闘。新たな遺恨の発生か……野茂も「次は」マウンドで戦う。
BALLPLAYERS.jp

ガララーガの引退

2005-04-28 12:51:15 | Colorado Rockies
 ニューヨーク・メッツのアンドレス・ガララーガが現役引退。何故か、【サンスポ】でしか報道されていないのが不思議なのだが、メッツの公式サイトにもリリースされていた。通算399本塁打。「400」まで後1本に迫っていた。「400」を達成する為に、今シーズン、メッツにやって来たはずなのだが、この時期の引退。体の具合でも悪いのだろうか? 
 ファースト(1塁手)は左のダグ・ミントケイビッチで、右のガララーガは併用で起用される可能性も高かったのに、残念だ。松井稼頭央と石井一久のプレーを見つつ、ひそかに最後のガララーガの勇姿を目に焼き付けるチャンスだと、心待ちにしていたのだが……。

藪、初勝利!(22日・アナハイム)

2005-04-26 20:41:06 | Oakland Atheletics
 藪恵壹(オークランド・アスレティックス)メジャーリーグ初勝利(22日)しかし残念ながら、テレビの中継はなかった。スポーツニュースの短い映像でチラッと見たが、36歳6ヶ月、日本人・最年長勝利。これから野茂英雄(タンパベイ・デヴィルレイズ)と競争になるだろう。ここまで防御率1.17。メジャーでもそのピンポイント・コントロールが評価されつつあるか? それはまるで長谷川滋利(現シアトル・マリナーズ)のように……ブルペン(中継ぎ)から脱して、スターター(先発)に雄飛できるか、それとも、長谷川と同じくブルペンを終の棲家(根城)にするか? 
k-yabu.net

石井、DL入り(22日)

2005-04-23 22:31:39 | New-York Mets
 石井一久(ニューヨーク・メッツ)が次回23日の先発(スターター)を回避。ワシントン・ナショナルズ戦の大家友和との「日本人対決」を楽しみにしていたのだが、それどころではなくなったようだ。15日間のDL(故障者リスト)入りすることになった。メッツはどうしたことか、スターターが次々に故障に見舞われ、スティーヴ・トラックセル、クリス・ベンソンに続き、石井までもがDL入り。メッツの苦悩は続く。チームも開幕5連敗した後に、6連勝と持ち直したが、その後は一進一退。今後は石井のリタイアが響いてくるだろう。

 それにしても、同じ日本人・松井稼頭央の存在感が「薄い」。西武ライオンズ時代からこんなに地味だったのだろうか? スウィングも遅く見えるし、セカンドの守備もサブ(控え)で昨シーズンのニューヨーク・ヤンキースのレギュラー、ミゲル・カイロの方が安定感がある。バッティングもしぶとい。これでは地元シェイスタジアムの観客から「ブーイング」されても仕方がない。ちょっとチームで「浮いた」存在になっている。シーズンオフに、あるいはシーズン中に放出されるのは確実(?)だろう。
KAZUO25.com

野茂、ヤンキーを封じる!(19日・ニューヨーク)

2005-04-21 22:11:02 | Tampa-Bay Rays
 野茂英雄(タンパベイ・デヴィルレイズ)、ヤンキースタジアムのマウンドに立つ。1番デレック・ジーターへの初球ファストボール(135㎞)が高めに浮く。2球目(138㎞)空振り。球は速くないが、微妙にタイミングをズラしている。3球目、意表を突くカーヴ(118㎞)でストライク「1-2」。ここまで巧く攻めたが、4球目のファストボールを叩かれ、レフト前ヒット!! 当たっているジーター。野茂は攻略できなかった。昨日(18日)19点を取ったヤンキース打線。今日(19日)も野茂に襲い掛かるのか?

 2番に入っているバーニー・ウィリアムス。その初球にジーターが盗塁を試みるが、OUT。キャッチャー、トビー・ホールが野茂をアシストしてくれた。因みにその間のボールは「ストライク」。球速は「140㎞」を計測していた。野茂の「140㎞」を見るのは久しぶりのような気がするが……2球目、3球目(138㎞)はボールの後、4球目はインハイを突いて、仰け反らせて、「3-1」。この球は「142㎞」を計測。今日の野茂は球が走っている。5球目(138㎞)を打たせて、ファウル。「3-2」フルカウントからのラストボールは、フォークではなく、ストレート(138㎞)。これで詰まらせて、ショートフライ。ここまで1球も「宝刀」(フォーク)を抜いていない。

 3番「天敵」(対戦打率.519)ゲーリー・シェフィールドには、初球カーヴ(118㎞)で入って、目先を変えたが、2球目(138㎞)を狙われて、レフトへ大飛球! いい角度で上がったが、失速して、レフトフライ。球威で押し返したか? 野茂、一瞬、ヒヤリとさせられたが、口を大きく膨らませて、息を吐き出し、3塁側ダッグアウトへ。

【2回裏】は先頭、4番・松井秀喜を迎える。初球(137㎞)が高めに浮いて、2球目(138㎞)も同様。3球目、キャッチャーがミットを低く構えて「低目」を要求してきたが、「137㎞」がやや真ん中に入って、これを松井が打ち返したが、セカンドゴロ。球威が勝っているのか? 依然としてフォーク(スプリット)は、1球も投げない。

 5番・アレックス・ロドリゲスへの初球(138㎞)空振り。2球目(134㎞)初めてフォークを投げたか? これをファウル。3球目(126㎞)今度こそ正真正銘のフォーク(スプリット)で見送り三振! 昨日(18日)大爆発したA・ロッド相手に「宝刀」を抜いて、斬って棄てた。唖然とするA・ロッド。口元を歪めながら、1塁側ダッグアウトへ。

 6番ジェイソン・ジアンビにも、フォーク(124㎞)で入って、ストライク。2球目(124㎞)もフォーク。これをジアンビに持って行かれた。ライトスタンドへ飛び込む3号ホームラン! やはり、フォークを多投するとロクなことにならない。このイニング、一転して、フォークを多投してきたが、その戦略が破綻した。「0対1」ヤンキースに先制を許す。

【3回裏】昨日グランドスラム(満塁弾)を放った8番・ティノ・マルティネス。「ティノ・コール」が渦巻く中、初球(137㎞)ボール。2球目(137㎞)も高めに浮くが、3球目(137㎞)にストライク。4球目、高目の速球(138㎞)で詰まらせて、サードフライ。ロー・ボールヒッターには、最高の攻めだ。

 9番トニー・ウオーマックにも、初球(137㎞)でストライク。2球目(138㎞)も高めを打たせて、ファウル。3球目のフォーク(126㎞)はワンバウンドになるが、4球目もフォーク(124㎞)を続けて、ピッチャーゴロに打ち取る。

 初回に「やられた」ジーターには、初球フォーク(135㎞)で入って、2球目(138㎞)をファウル。3球目(137㎞)はフォークが「ボール」。4球目は渾身のストレート「142㎞」でファウル。球審からの返球を頷いて受け、キャッチャーのサインにも頷く。冷静な野茂。1失点は喫したものの、自分のペースに持ち込めている。5球目も「140㎞」セカンドゴロに打ち取ったが、飛んだコースが良く、送球が1塁に達する間に、ジーターがベースを駆け抜けて、内野安打。2アウトから出塁を許すが、2番バーニーを速球(140㎞)で捻じ伏せて、ライトフライ。

【4回表】に味方が、ヤンキースの先発(スターター)ランディー・ジョンソンから、2ランホームランを放って、逆転「2対1」。打ったのは、元阪神タイガース、エドアード・ペレス、だ。【4回裏】も「天敵」シェフィールドにライトへ大飛球を飛ばされるが、ライトのオーブリー・ハフが背走してキャッチ。そして、4番・松井とのこの日2度目の対決……

 初球(138㎞)ボール、2球目(122㎞)ストライク。3球目(135㎞)初球と同じ球で「ボール」。4球目(138㎞)でストライク。この打席は一転、フォークを多投している。「2-2」からの5球目もフォーク(127㎞)、これはワンバウンドになって、6球目も既にキャッチャーがミットを上にして構えている。フォーク(127㎞)が来たが、松井がこれを選んで、四球。慎重になったバッテリー。もっとも(キャッチャーの)サインを出しているのは、ダッグアウトのようだが。

 A・ロッドは初球(142㎞)を打ち上げて、ファウル。せっかく昨日、当たりを取り戻したのに、今日、野茂に崩されると、元も子もない、A・ロッド。2球目も「142㎞」が来て、際どく「ボール」。3球目(135㎞)のフォークで空振り。翻弄されるA・ロッド。ヤンキースタジアムの巨大な溜息(45,802人)……観客も昨日の「爆発」(6打数5安打6打点2本塁打)でA・ロッドの「復活」を確信したのだが、これでは……4球目のフォーク(135㎞)は不発(ワンバウンド)。5球目の速球(143㎞)は高めに浮いて、「3-2」フルカウント。6球目のラストボールは「142㎞」これを打ち上げさせて、ライトフライ。野茂の「勝ち」。再び泥沼に陥るか、A・ロッド? 

 前打席でホームランを喫した、ジアンビには初球、この日の最速「145㎞」が出たが、ボール。2球目(127㎞)も外れるが、3球目(140㎞)、4球目(143㎞)でストライク。いい打者になればなるほど、球速が増す、この日の野茂。「2-2」からの勝負球も「143㎞」これがアウトサイド低目ギリギリに決まって、ジアンビ見逃し「三振」! 素晴らしい!!……今日一番の球だった。

【5回裏】は先頭のホルへ・ポサーダを歩かせるが、8番ティノに3球目(142㎞)を弾かれ、ピッチャー強襲を浴びるが、1塁ランナーがエンドランで走っていて、ベースカヴァーに入ったショートに打球が飛んで、ゲッツー完成。野茂は「幸運」。「不運」なヤンキース。しかし、それにしても、ティノへの2球目には、この日の正真正銘の最速「148㎞」が出ていた。信じられない……ここ数年の野茂には考えられなかったこと、だ。野茂の「復活」を確信する、この日のピッチング。

 しかし、ウォーマックにセンター前ヒットを浴び、しぶといヤンキース。1番ジーターも野茂の渾身の143㎞を弾き返し、右中間を抜ける……否、抜けない。ライト・ハフが回り込んで捕ったが、3塁ベースコーチャー、ルイス・ソーホーは、ウォーマックの「快足」を信じて、手をグルグル回している。しかし、本塁寸前でタッチアウト。2アウトだからセオリーだが、右中間は抜けていなかった。焦りを感じ始めたか、ヤンキース……?

【6回裏】野茂、最後のマウンドへ。先頭のバーニーは初球(135㎞)を打ってくれて、ファーストゴロ。3番の「天敵」シェフィールドには、ストレートで歩かせ、4番・松井とのこの日3度目の対決は……初球(140㎞)を打って、三遊間を抜いて、レフト前ヒット!! 1アウト、1,2塁のピンチを招くが、5番「ポイント」のA・ロッドを「143㎞」でセンターフライに打ち取る。この日はA・ロッドを抑えこんだことが、「勝因」になった。ヤンキースタジアムの観客からは失望の溜息と共にブーイングも飛ぶ。

 ここでホームランを打たれているジアンビを迎えたところで、ルー・ピネラ監督、登場。野茂は口を大きく膨らませて不満そう。第2打席は抑えただけに、「自信」があったのだろう。キャッチャーのホールも敵意の視線すら送っている。同道した来た仲間の絆……しかし、頷いて降板。この日のピッチングに納得もしているのだろう。ヤンキースの専属放送局【YES】のコメンテーターからも「グッド・ジョブ!」

 この後、2番手の左腕トレヴァー・ミラーが、ジアンビを空振り三振に打ち取って、ダッグアウトの野茂は「俺でも取れた」の顔。それでも出迎えにグータッチで向かって、帰ってきたキャッチャーのホールから激励を受ける。ホールはいいヤツだ。6番目(?)の移籍球団でも、キャッチャーに恵まれたみたいだ。キャッチャー「運」があるのかもしれない。

 試合は【7回表】にペレスの2打席連続ホームランが出て、「3対1」。【8回表】にも加点して、ランディー・ジョンソンをKO。「6対2」でデヴィルレイズの勝利。野茂に「2勝目」が付いた。これで日米通算「198勝」。もう何の「不安」もない。野茂は「復活」した。この日の球速・球威が総てを物語っている。試合後のインタヴューで「プレイオフにも出たい」と意欲を語る野茂。昨シーズン、地区優勝しながら、ロースターから外れ、プレイオフで投げられなかった、直近の悔しさが、野茂の心の中で渦巻いているのだろう。もう一度、あの舞台に立ったとき、それが真の「復活」か。

野茂、ボストンに散る!(15日・ボストン)

2005-04-19 13:36:54 | Tampa-Bay Rays
 古巣ボストン・フェンウェイパークに帰ってきた、野茂英雄(タンパベイ・デヴィルレイズ)。あのときも、背番号「11」に戻して、赤いユニフォームで、ノーヒッターを達成した思い出のチーム(2001年)。柄の悪い(!?)ボストンのファンも憶えてくれているだろうか? 【1回表】1番・ジョニー・デーモンにファーストピッチ(初球)、アウトサイドにファストボール(速球)が外れる。

 2球目も同じサイドに低く決まって、「1-1」。3球目はフォークがワンバウンド。4球目もアウトサイドに高く外れて、「3-1」。ボストンの観客が騒ぎ出す。5球目も外れて、デーモンが1塁に歩く。それにしても、相手がNOMO、ということもあり、じっくりボールを見てきたデーモン。1球もスイングせず、小憎らしいばかりに出塁。リードオフマンの役割を果す。ノーアウト1塁。ボストンの喧騒は高まる。

 2番トロント・ニクソンへの初球も、アウトサイド低めに外れる。例によって、球速はないが、低めを丹念に突こうとする意思が窺える。2球目もアウトに高く外れるが、3球目は低めに決まって、「2-1」。インサイドを突かないのが気になるが……怖くて突けないか? 相手は「世界一」のボストン打線。勇気と球威が必要、だ。キャッチャー、またしても、アウトサイドに構えて、4球目、今度も低めに決まって、「2-2」。5球目、初めてインサイドを突くが、低過ぎて、「3-2」。打席のニクソンも息を吐く。バッターだって緊張している。6球目もアウトサイド。これを弾き返したニクソン、ピッチャー前にライナー! 野茂が弾き落として、1塁へ送球。1アウト2塁。この辺りはベテラン、落ち着いている。

 3番マニー・ラミレスに初球、アウトサイド低めに絶妙のロケーション。2球目、同じコースにフォークで誘って、反応なし。3球目、アウトサイドに精一杯のファストボール、チェックスウィングで、「1-2」。これも「いい球」だ。4球目は高めで誘ったが、誘いには乗らず、昨年のワールドシリーズ「MVP」男。決めに行った5球目のファストボールは外に外れて、「3-2」。6球目、フォーク狙いの裏を掻いたか、真っ直ぐでファウル。7球目も渾身の真っ直ぐ勝負! バックネットにファウル。気温7.8度のボストンで、半袖の野茂、熱投が続く!!

 8球目も真っ直ぐ。これを打ち上げさせて、ファーストフライ。「フォーク」を予想した解説の与田剛氏が「ひたすら」唸っている。かつてのソウル・オリンピックの戦友は、未だ現役で、メジャーリーグで投げ続け、友に「勇姿」を見せ続けている。「MVP男」ラミレスも頭の半分で、フォークを予測していたのだろう。その分、野茂の140㎞前後の真っ直ぐに差し込まれた。かつてバリー・ボンズ(サンフランシスコ・ジャイアンツ)に対したように、「強打者」には強気に真っ直ぐ勝負を挑む、メジャーリーガー野茂の真骨頂、だ。

 マウンド上で高揚感を覗かせる野茂。しかし、続くは4番デヴィット・オルティーズ、だ。昨年のチャンピオンシップ・シリーズ「MVP」男。このニューヨーク・ヤンキースを倒した男には、初球フォークでストライク。2球目は一転、ファストボールで空振り奪取。3球目、イン・ハイで仰け反らせ、ボストンの観客が鋭く反応! ブーイングが過ぎ去った後、4球目、フォークを振らせ、三振! ボストンの観客を沈黙させる。「エース」のピッチング、だ。口を大きく膨らませ、息を吐いた野茂。緊張感から解放され、マウンドを降りる。素晴らしかった!!

 この野茂が【2回裏】に7失点を喫する。信じられないのだが……先頭の5番ケヴィン・ミラーを歩かせて、ノーアウト1塁。6番エドガー・レンテリアに初球フォークの後の真っ直ぐを狙われて、三遊間を抜かれて、1,2塁。7番「かつてバッテリーを組んだ」ジェイソン・ヴァリテックにも、2球フォークを続けた後の真っ直ぐを狙われたが、打ち上げて、キャッチャー・ファウルフライ。思わずデカい声で<Fワード>を叫び、己を罵るヴァリテック。かつての僚友相手に力んだか、それとも野茂の真っ直ぐが遅すぎて、タイミングが狂ったか? 

 8番「マリアーノ・リヴェラ“キラー”」ビル・ミュラーには、4球フォークを続けて、「2-2」と追い込むが、5球目、6球目の真っ直ぐが高めに浮いて、四球。1アウト満塁になって、9番「曲者」マーク・ベルホーンに「2-2」から高く入った真っ直ぐを叩かれ、左中間を抜かれて、2者生還、「0対2」。1番デーモンは初球のフォークに手を出してくれて、サードゴロに打ち取るが、2番ニクソンを歩かせて、再び満塁。3番ラミレスにも四球で押し出し、「0対3」。そして、4番オルティーズにライトフェンス最前列にライナーで飛び込む、グランドスラムを浴びて、万事休す。「0対7」。

【3回裏】も先頭の6番レンテイリアに“グリーンモンスター”直撃のトリプル(3塁打)を浴び、7番ヴァリテックに投じたフォークがワンバウンドになり、「0対8」。ヴァリテックにもセンター前ヒットを浴び、ここで降板。2回0/3、5安打、4四球、8失点。初回の強気な真っ直ぐ勝負から一転、【2回裏】は何故か、フォークを多投し、これが裏目に出て、四球を出すことになり、ランナーを溜めて、オルティーズには真っ直ぐを狙われた。【3回裏】はファストボール主体に転換したが、これを悉く狙われた。

 キャッチャー、トビー・ホールの苦心のリードは分かるが、少し策に溺れたか? 野茂の球速はこれ以上増さないだけに、キャッチャーのリード次第で、野茂のピッチングはどうにでもなる。野茂は疲れていないから、次「早く投げたい」と言った。まだ自分は「やれる」と信じている。その「強い」気持ちとキャッチャーのリードが巧く噛み合ったとき、野茂のナイスピッチングは生まれる。「次は」19日(日本時間・20日)ヤンキース戦、だ。

対決!野茂「対」藪(9日・フロリダ)【後篇】

2005-04-17 19:34:54 | Tampa-Bay Rays
【5回裏】7番エドワード・ペレス(元阪神タイガース)に初球(91MPH)、2球目(89MPH)ファウル。3球目(83MPH)外で誘って、4球目(92MPH)を打たせて、ファーストゴロ。8番トビー・ホールには、初球(90MPH)ストライク。2球目のスライダー(85MPH)を打たせて、サードゴロ。9番ジョーイ・ガスライトには、初球(92MPH)を叩きつけられ、センター前に転がり、2アウトで出塁を許す。

 1番「快足」カール・クロフォードにも初球(90MPH)を流し打たれ、2アウト、1,2塁。快足ランナー2人を出して嫌な展開だが、2番アレックス・ゴンザレスに初球スライダー(76MPH)で、マズはストライク。2球目のフォーク(89MPH)を振らせ、「0-2」。3球目、4球目フォーク(89MPH)を続けて、「2-2」。5球目のチェンジアップ(75MPH)も外れて、ラストボール。6球目のフォーク(88MPH)を今度こそ振ってくれて、三振!

【6回裏】3番ハフをシュート(91MPH)で打ち取って、ショートゴロ。4番ルーゴにスライダー(85MPH)を打たせて、ファウル。2球目のスライダー(86MPH)は「ボール」。3球目のカットボール(90MPH)も「ボール」。4球目のスライダー(88MPH)を打たせて、ライトフライ。5番カントゥーも初球(89MPH)を打たせて、ライトフライ。総てアウトサイド低めに絶妙なロケーション、だ。このイニングは3分で終了した。

【7回裏】6番フェリップスには、インサイドを突いて、ストライク(90MPH)。2球目のスライダー(86MPH)で誘って、3球目、同じくアウトサイド(90MPH)で空振り。「1-2」追い込んで、4球目、キャッチャーはインサイドに構えるが、逆球になって(91MPH)ファウル。最後はインサイドにツーシーム(84MPH)を落として、空振り三振。

 7番ペレスにも、初球スライダー(88MPH)でストライク。弱点を心得ているか? 2球目(74MPH)ボール。3球目、初球と同じ球(88MPH)で空振り。「1-2」と追い込んで、最後も同じ球(86MPH)でチェックスウィング、見逃し三振で2アウト。やはり「弱点」を熟知していたようだ。

 8番トビー・ホールにも、初球スライダー(86MPH)で空振り。2球目も同じ球(84MPH)でファウル。3球目も同じ球(85MPH)を続けた! チェックスウィング、キャッチャーはファーストの方向を指差している。藪はそんなものには構わず、スタスタとマウンドを降りている。余裕! ファースト方向に目をやリ、アウトを確認して、ダッグアウトへ。そして、帽子のひさしに手をやる。カッコいい!! 3者三振で、この最後のイニングも3分程度で切り抜けた。

 一方、野茂は【6回表】で降板。1安打、4奪三振、2四球。その1安打は、【3回表】コッツエーに喫したホームラン。【2回裏】の味方の大量援護で少し気が緩んだか、真ん中に入ったフォーク(74MPH)をライトスタンドに豪快に放り込まれたが、その一発のみ。今シーズン初先発で初勝利を挙げた。その初登板で実現した日本人対決、野茂「対」藪。

 藪は同じ36歳。野茂を常に意識してきて、野茂に刺激されて、メジャーリーグへの夢を膨らませてきたのだろう。そして同じ舞台に立った。中継ぎ(セットアッパー)が最終目標ではないだろう。いずれは先発(スターター)の座を勝ち取るべきだ。先発で野茂「対」藪を見たい。あるいは藪「対」松井秀喜(ニューヨーク・ヤンキース)、藪「対」イチロー(シアトル・マリナーズ)……夢は拡がる。夢の舞台……メジャーリーグ。

対決!野茂「対」藪(9日・フロリダ)【前篇】

2005-04-16 12:03:17 | Tampa-Bay Rays
 グリーンが意外に良く似合う、野茂英雄(タンパベイ・デヴィルレイズ)。トロピカーナ・フィールドのマウンドに立つ。背番号は出戻りの「11」番。復活を期すマウンド、だ。初球は勿論、ファストボール(84MPH)。「ボール」の判定。キャッチャーがアウトサイドに構え、逆球でインサイド低め、いいコースに決まったが、逆球が心証を悪くしたか? 2球目(84MPH)はボールがお辞儀して、「2-0」。3球目(84MPH)も高めに浮いて、いきなり「3-0」。4球目(83MPH)に真ん中でストライクを取るが、5球目(84MPH)がインサイド低めに狙いすぎて、オークランドの1番マーク・コッツエイが1塁に歩く。「不安」が過ぎる……

 2番ジェイソンン・ケンドールへの初球(84MPH)は「ストライク」。2球目はフォーク(78MPH)で誘って、「1-1」。3球目(86MPH)でファウル。4球目、この日最速(89MPH)で、インサイド低目を突くが、際どく「2-2」。5球目(88MPH)を叩かれるが、ライトライナー。アウトサイドに低く来たから、野手の正面で済んだ。3番「主砲」エリック・チャヴェスには、初球(88MPH)ストライク。2球目(88MPH)はワンバウンド。3球目(88MPH)はインサイドに近すぎて、4球目(88MPH)はアウトサイドにお辞儀。5球目(89MPH)を突いて、大ファウル。「3-2」フルカウント。6球目(79MPH)の勝負球フォークをファウルされて、7球目(88MPH)はアウトサイドに外れて、1,2塁。

 4番エルビエル・デュラーゾの初球(89MPH)もアウトサイドに外れるが、2球目(88MPH)でインサイドを突いて、ファウル。野茂との対戦成績、7打数1安打、1三振。デトロイト・タイガース、あるいはボストン・レッドソックス時代か。その頃は未だ文字通りのグリーンボーイ、だったデュラーゾ。しかし苦手意識は変わらず、か……3球目(89MPH)のインサイドで詰まらせて、セカンドフライ。

 5番スコット・ハッテバーグには初球(88MPH)ストライク。2球目のフォーク(79MPH)はアウトサイド低めに落ちたが、「ボール」。3球目のフォーク(79MPH)は真ん中に落ちて、これを掬い上げられたが、センターフライで万事休す。2番ケンドールを除く、4人の左バッターへの強気のインサイド勝負が目に付いた。野茂らしさは健在。貫禄で初回のピンチを脱出した。

 一方、オークランドのスターター、バリー・ジトは「不調」。【2回裏】6番ジョシュ・フェリップスの3ランを皮切りに、3番オーブリー・ハフにも3ランを浴びて、一挙7点を失い、3塁側のブルペンでは、早くも藪恵壹がウオームアップ。実現するか? 野茂「対」藪の日本人対決。ジトは【4回裏】にも1点を失ったところで、降板。ついに藪がマウンドに上がる。夢のメジャーリーグ初登板は、1アウト満塁で、バッター4番フリオ・ルーゴ。

 初球は勿論、ファストボール(92MPH)、アウトサイド低めに絶妙なロケーションで、ストライク先取。2球目のカットボール(90MPH)を打たせて、ファウル。これもアウトサイド低目。早くも「0-2」に追い込んで、3球勝負でフォーク(85MPH)はワンバウンド。4球目のファストボール(94MPH)でファウル。150㎞だ。凄い!! バッターは振り遅れている。圧倒的な藪。5球目の勝負球はフォーク(84MPH)を選んだが、これを巧く打たれて、レフト前ヒット。2者が還って、「1対10」。先発(スターター)のジトに10失点目を付けた。

 5番ホルへ・カントゥーには、初球スライダー(75MPH)でストライク。2球目はインサイドのシュート(90MPH)で空振らせ、「0-2」。3球目、今度こそ3球勝負でフォーク(86MPH)を振らせ、三振。2アウトを取るが、6番フェリップスに2球目のシュート(90MPH)が甘く入って、レフト線を破られ、もう一人生還、「1対11」。これは「甘い球」だった。2人目はホームで封殺して、3アウト。藪、右手を挙げて、キャッチャーの肩を叩いて、3塁側ダッグアウトへ。グリーンのユニフォームは似合っているか? 修羅場のマウンドはこうして、終わった。

石井、クレメンスと張り合う(13日・ニューヨーク)

2005-04-15 13:09:29 | New-York Mets
 せっかく石井一久(メッツ)が好投、ロジャー・クレメンス(ヒューストン・アストロズ)と投げ合って、「0対0」。7イニングス2安打5奪三振、最高のピッチングを見せたのに、ノーテレビ。衛星もスカパー!もノーチェックだった。スターター(先発投手)の予定に合わせて、放送予定を組み立てるのは難しいことだが……野手の試合を毎日、放送して、当たりか外れか、一喜一憂もいいが、最高のパフォーマンスをしたピッチャーの試合は見逃したくないものだ。今回は見逃した。それは痛恨……!!

 石井は環境が変わって良かった。リック・ピーターソン・ピッチングコーチの指導の賜物だろう。オークランド・アスレティックスで、メジャーリーグを代表するサウスポー(左腕)バリー・ジト、マーク・マルダー(現セントルイス・カーディナルス)を指導した実績は「伊達」じゃない。石井にとって最高のピッチングコーチに巡り会った。背番号「23」が光って見える。急ごしらえで付けさせられた番号だが、このまま付け続けることになるかもしれない。