怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

益田ミリ「妄想はオンナの幸せ」・森見登美彦「夜は短し歩けよ乙女」

2020-11-30 07:19:16 | 
益田ミリは気が付くと手に取り読んでいてこのブログでも何冊かのレヴューを書いています。特に父の死を扱った「永遠のお出かけ」は自分の父のことを思い出して深く心に染み入りました。
でも今回の「妄想はオンナの幸せ」は三十そこそこに書かれたもので、若かりし頃はこんな妄想ばかりしていたんか、やっぱり文筆で身を立てるよな人は、妄想と言うか想像力を膨らまして生きてきたんだと妙に感心。

ままならぬ現実と向き合いたくなく、一人で妄想にふけって楽しむ、これは妄想の質が違うかもしれませんがオンナだけでなくオトコも一緒。著者は「モーソー族」と言っていますが、私もゾクに入る資格はありそうです。
妄想は物心ついてから、ありとあらゆることに向かいます。
章立てに従えば、
恋の「もしも」に胸キュン・・・かっこいい幼馴染がいたら、かっこいい彼氏がいたら、本屋で運命の出会いなどなど
「もしも」でラクして都合よく・・・ふたごだったら、超能力者だったら、ヤンキーの姉ちゃんがいたらなどなど
ヒロイン願望はとまらない・・・突然スポーツ万能になったら、私が芸能人だったら、組長だったらなどなど
「もしも」で人生大逆転・・・実はお嬢様、ある朝突然、すっごい天才になっている、英語がペラペラだったらなどなど
24の妄想が出てくるのですが、実は私も同じような妄想に浸っていたことも…子どもの頃から一人遊びが好きで人見知りだったので、シンパシーを感じることが多く、この本には心癒されました。
まあ、前書きにも書いてありますが、ほにゃららだったらいいな~と言うことは自分だけの妄想に済ませておけばいいものを、わざわざ実行に移してしまった場合、結果は悲惨なことになりがちです。
合間合間に、モーソー族大集会と称する読者投稿とそれに対する筆者コメントが付いていて楽しめます。
そんな妄想を小説に昇華したのが森見登美彦の「夜は短し 歩けよ乙女」
これは、森見登美彦としてはデビュー作の「太陽の塔」と評判になった「有頂天家族」をつなぐもの。森見登美彦ファンならおなじみの全編これ妄想の塊と言っていいものです。
舞台はおなじみの京都。木屋町、先斗町界隈から京都大学周辺、糺の森まで、土地勘がある人にはより楽しめます。
主人公は、京都大学の3回生と彼がひとめぼれしてしまったクラブの後輩の彼女。二人の語りが交互に入って物語は進行していきます。と言っても告白するわけでもなく、彼女の目に留まるように行く先々に行き、偶然と呼べないような回数出会うようにしているのだが、彼女はまったく意を払わない。この点については最近の風潮ならば仮に彼女が気が付いていれば彼は確実にストーカーとなる。私の青春時代ならば純情一途な行為と称賛されたことが今や犯罪者になるというのは、なんだかな~。朝が苦手なくせに彼女と同じバスに偶然乗り合わせるために朝早く起きて走って行く輩とか彼女の行動を調べて偶然のごとく出会うためにあちこちを彷徨う輩とかは周りにいっぱいいたのですけど。それはお前だろと言われるとどうもすいません。
下鴨神社の参道で古本市が開かれて彼女が行くとなれば、それは行って彼女が手を伸ばした本と偶然にも同じ本に手を伸ばし、そこから偶然の触れ合いが生まれ薔薇色のキャンパスライフへ自然に進んでいく。この展開は益田ミリの妄想にも同じシチュエーションがあったのですが、私なども何回同じような妄想して古本屋を巡ったことか。その昔二人で何軒かの古本屋巡りをしたこともあったのですが妄想だけは目いっぱい膨らんでいても、清く正しい青春時代の私は手も触れることもなく、あれはいったい何なんだったのか。まあ、妄想を実行していたらとんでもないことになったんでしょうけど。
二人の周りを固めるのは、怪しげな羽貫とか樋口とかの人間離れした二人とか、いかがわしい東堂とか、高利貸しの李白とか最早これは有頂天家族に登場する狸の一族。満艦飾の三階建て電車なども出てきたことがある様な。
重要な場面となる学園祭は青春の押し売り叩き売り、いわば青春の闇市、唾棄すべき青春そのものと言う啖呵には激しく同意!
その学園祭の事務局長とかパンツ総番長とか閨房調査団青年部とか京福電鉄研究会とか詭弁論部とかは、まさに「太陽の塔」のノリと登場人物の延長線にあるもの。
ここに出てくる青春とはなんて馬鹿らしくて滑稽で独りよがりで、まさに妄想の塊。だからこそ身につまされてしまいます。
因みに最後はハッピーエンドになるのは裏切られたようなホッとするようなアンビバレントな気分ですが、そんな自分が恥ずかしい。
思い出すのは東京キッドブラザースの名セリフ「金がなければ夢を見るしかない」
青春とは妄想です。
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11月23日鶴舞公園テニスコートはお店を求めてあちらこちらに

2020-11-26 07:07:27 | テニス
テニスを早めに終えてハイリスク・ノー天気高齢者3人は昼飲みに行くのですが、この日はいつも行く「紫禁城」はお休み。3連休の書き入れ時だと思うのですが、如何。

張り紙によると設備メインテナンスのための臨時休業とか。
それでは、何度か使ったことがある「気晴亭」へ行くことに。
ところが気晴亭は12時前だというのに階段下まで人が並んでいる。

コロナ禍で今は正念場だから3連休はみんな静かに家で過ごすのではなかったのか、とテニスに来て昼飲みしようという我々が言うべきことではない。
これでは中も結構密になっているのだろうからと店を変えることに。
今度はガード下の蕎麦屋「おらが蕎麦」

ここは夜だと居酒屋メニューが豊富なのですが、昼は定食中心でつまみの類のメニューが少ないのが難点。
それでも無事席についてタケちゃんマンと1059さんはとりあえずの生ビール。私は糖質制限でハイボールでお疲れさまと乾杯。

昼はお通しなどと言うものはないので、まずは素早く出てくる枝豆を。

もう限られたメニューを全部頼もうかと思ったのですが、なぜか板わさはできません。切るだけだろうに…それではさつま揚げを頼んだのですが、これも切れていますと断られてしまいました。
それではタコぶつ。これはちゃんとありました。

隣に書いてるピリ辛ソーセージも。

3人で話しているとタケちゃんマンもgo toトラベルで木曽に行ってきたとか。でも午前中は体調が整わないので旅行は無理かなと思ったとか。1059さんも奈良日帰りと蒲郡1泊に行っているので、みんな、ああだこうだと言っても使わないと損だということでちゃんと行っています。
ここで私はお酒の追加。今度はいいちこのロックにします。

キャベツとわさび味噌と言うのも頼んだのですが、これはキャベツのざく切りに味噌をつけて食べるもの。どうかするとワサビの辛いところにあたって無茶苦茶辛い。

でもお酒の当てには安くて(200円)いいかも。
タケちゃんマン、1059さんはお酒にします。

冷奴を頼み一つをみんなでつつきます。

更にもう1品はホタルイカの沖漬け

美味しいのですが、欲を言うとこれはホタルイカの目玉を取っておいてほしかった…
まあ、長い時間飲食して大声で話すのは時節柄いけないみたいなので、小1時間で終了。少人数ですし、お酒も一人2杯で、あまり大きな声も出さなかったので許される範囲だったでしょう。
〆のおそばでも食べたいようなちょっと物足りない感じでしたからか、お勘定は4290円でした。

一人1500円でおつりは基金に入れておきました。
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11月23日鶴舞公園テニスコート

2020-11-25 07:14:52 | テニス
この日もいい天気。でも、結構風が強い。予報を見みると北西の風、風速4~5メートル。
まあ、テニスをやるには支障はないので、それでは気合を入れて出かけましょう。
この日はえみちゃんは欠席でタケちゃんマンは11時ごろにならないと来ないというので、若干人数的に心配だったのですが、9時前に家を出て雁道バス停ではちょうどバスが行ったところで9時14分のバスで鶴舞公園へ。
9時30分にはコートに着いたのですがコートにはカバちゃん夫妻もいて、ゆうこりんにはげ親父、1059さんといてそこそこメンバーは集まっていて、早くも乱打を一回りしたところでした。

準備運動してから、私はかばちゃんハズに付き合ってもらい乱打。雲があるのですが、太陽が出ていると結構暑くて汗をかいてしまいます。

一休みしてから試合をします。
最初は練習に付き合ってもらったかばちゃんハズと組んではげ親父、カバちゃん組と対戦。カバちゃんはハズに対しても情け容赦なくボレーでボールをぶつけてきます。う~ん、勝負に厳しい。ハズはサーブの安定性がイマイチでそれでもだいぶ入るようになったのですが、第2サーブが力加減が難しいのかミスが多く、確率的には大して変わらないなら全部第一サーブの勢いでやったら…それなりに善戦したのですが、結局1:3でした。
次に試合はもう一度かばちゃんハズと組んでゆうこりん、1059組と対戦。この試合は最初のゲームを取ってこれはうまくいけばと思ったのですが、そこからはミスが続いて3連続ゲームを落してやっぱり1:3でした。
前回と同様に風にボールが流され、かつ太陽が低いので雲から出ていると南向きは眩しくてミスる。勝負の微妙なあやとなるのですが、まあ、弱いから負けるのでしょう。
休んでいる時には、いつもながらはげ親父持参のビールを頂きます。この日も缶ビール500と350を1本づつ。

ここで組み替えてゆうこりんと組んでカバちゃん夫妻組と対戦。一進一退の展開となってここは2:2の引き分けに。
ゆうこりんと組んでもう1試合は1059、はげ親父組と対戦。この試合も一進一退の展開だったのですが、最後のゲームの肝心なところでミスが出て落としてしまい、1:3の負け。
今回は、どうも久しぶりなのか風の影響なのか、ゆうこりんにもミスが多くて本人的に納得がいかない模様。
11時には予定通りタケちゃんマンが来て、飲みに来たようなものですが、一応テニスに来ているので少しはテニスをやってもらうことにしてカバちゃん夫妻とリベンジに燃えるゆうこりんの4人で1試合。
終わると11時30分過ぎ。まだ時間があるのですが、ここらで終了にしましょうか。
でもカバちゃん夫妻は時間までコートを使って、ハズのサーブの特訓をすることに。
はげ親父は双子の孫の世話に忙しいのか帰りますが、1059、タケちゃんマンとのハイリスクをものともしないデンジャラスじいさん3人組は昼飲みに行きます。

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11月21日東山公園テニスコート

2020-11-22 16:40:12 | テニス
天気晴朗なれど風強し。
このところ20度を超える最高気温だったのですが、この日からは少し寒くなって久しぶりに最高気温が20度を下回るとか、それでも平年並みだそうですけど。
とにかく9時30分になって西高蔵駅まで歩いて9時47分発の地下鉄で八事日赤へ。
ここから約1キロで東山公園テニスセンターです。
途中のフィールでは何やら消防団が出て防火運動のキャンペーンをしています。

何時もの歯医者さんの気温計では15度、風さえなければテニス日和なんでしょうけど。
この日のコートは4番コート。

何やらわがクラブとよく似たATCクラブが沢山の面を取っています。
コートにつくとえみちゃんとはげ親父がいます。予想通りタケちゃんマンは時間になっても来ない。
仕方ないので3人で乱打を始めます。
一通りやって休んでいると30分遅れでタケちゃんマンが登場。先回参加予定だと確認を取っていたので、ちょうどメールをして催促しようとしていたところでした。
どうも朝は7時ぐらいまでには起きるみたいですけど、そこから朦朧としていて出かけれる状態になるまでが時間がかかるとか。この日も口の周りに何やら白いものをつけていて、歯磨きが残っているのではと言ったのですが、何と朝食べたシュークリームの粉とか。どういう食事なんだ。
とにかく4人そろったので乱打をしてから試合にしましょう。
最初ははげ親父と組んでえみちゃん、タケちゃんマン組と対戦。タケちゃんマンは準備運動もそこそこにいきなり全力で強烈なショットを打ち込んできます。お互いにラリーが続かず、盛り上がりが欠けたまま2:2の引き分けに。
風が強いためにボールが流されラリーが続かないかも。加えて冬の日差しは低いので南を向くと眩しくて、ちょっと上がったボールが見えない。天気は本当に雲ひとつない晴れなんですけどね。

合間にははげ親父持参のビールを頂きます。

この日は500缶と350缶がそれぞれ1本。
次の試合はタケちゃんマンと組んでえみちゃん、はげ親父組と対戦。この試合も風と太陽でミスが多く淡々としたゲームが続いて、これまた盛り上がりを欠いたまま2:2の引き分け。
まあ、えみちゃんは12時に帰るというし、4人なので一回り試合をやって早めに帰りましょう。
最後の試合はえみちゃんと組んでタケちゃんマン、はげ親父組と対戦。このところえみちゃんは最初の試合はミスが多く試合がすすむにつれて調子が出てくるだんだん良くなる法華の太鼓状態。テニスの前に2~3キロ走ってきた方がいいかも。逆にタケちゃんマンは最初から全力疾走ですが、息切れは早く最後までもたない最近の状態。
と言うことで、なんとかこの試合は3:1で勝利しました。
ここで12時ちょっと前。コート整備をして帰ることに。
コロナ禍で宴会は自粛しようなんて言われているし、月曜の鶴舞もあるし、タケちゃんマンはこの日は車なので、みんな直帰します。
地下鉄の駅まで歩いたのですが、歯医者さんの気温計は17度。

空は相変わらず雲一つない青空です。

私は家に帰っても誰もいないので地下鉄の西高蔵駅近くの串揚げや「福爐(ふくろう)」へ。

ランチタイムはお得なメニューがあって900円で串揚げ9本に小鉢に小サラダと小デザートと御飯に味噌汁香の物のセットがあります。

店に入りカウンターに座るといきなり手を出してください。手のひらを出すと店主がアルコール消毒してくれました。う~ん、体温は測られたところはあったけど、店員にアルコール消毒されたのは初めて。
串揚げは揚がると順次出てくるのですが、この串は何かという説明がなく、何の串かと想像しながら食べるのですが、ソースにしようかポン酢にしようか塩にしようかが迷う。食べても何かわからないことも。

ランチのセットなのでネギ、サトイモ、こんにゃく、豆腐などとどうも動物性たんぱく質系が少なかったような。
まあ、揚げたてで美味しいし、9本あるとちょっとビールでもと思うほど。一口ビールが320円であるのですが、コートで飲んでいるので今回はパスしてごちそうさまでした。
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植島啓司「日本の聖地ベスト100」

2020-11-21 06:44:34 | 
植島啓司と言う人は初めて知ったのですが、日本の聖地と言うタイトルに引かれて図書館で何気なく手に取ってみた本です。

一応聖地ベスト100と言う題名で、100のリストもあるのですが、一つ一つのガイド本ではありません。聖地とは何かと述べたのち著者が実際に訪れた聖地の見聞記となるのですが、ここではリストの順番と言うこともなく具体的に紹介されているのもほぼ半分だけです。ちなみにランキング1位は天河大弁財天社、2位は室生寺・室生龍穴神社です。
著者によれば、聖地の定義としては
1;ある特定の人物にゆかりのある土地であって、その目印になるような自然条件が選びだされたとするもの
2;特別な自然条件を備えた場所がまずあって、それが人々を引き寄せ、そこでなにがしかの祭祀的な行為を引き出したとするもの。
どちらにしても、「神の降臨した場所」と言うことみたいです。
聖地には神の臨在を感じさせる場所と、神に対して祈りをささげる場所の二通りがありますが、一般に私たちが聖地巡礼のように訪れるのは祈りを捧げる場所ですが、神を感得した場所としての聖地は、ほとんどの人は訪れていないし、訪れるのにはそれなりの苦労があるみたいです。
最初に挙げられるのは室生寺と長谷寺ですが、どちらも若かりし頃参拝しています。室生寺は近鉄室生口から歩いた記憶ですが、急勾配の奥の院迄は行った記憶があるのですが、本当の聖域は室生寺が創建されるよりもずっと前から聖域と崇められていた場所とか。室生寺の前から室生川に沿って1キロぐらい遡った道沿いにある室生龍穴神社です。実際の龍穴は山中をさらに1キロぐらい進んだところにあるので、それなりの準備と覚悟が必要でしょう。でも名古屋から日帰り圏内ですので機会があれば一度訪れてみたいものです。
次はすぐ隣の長谷寺なんですけど、長谷寺自体も素晴らしいのですが、奥の院の瀧蔵社が長谷寺の地主神で、今昔物語にも出てくるほど繁栄していたのですが、今は訪れる人もあまりいない。ここはタクシーぐらいしかなかなか行けないみたいです。
次の聖地は日光。東照宮は友人と鬼怒川温泉に行ったときに参拝したのですが、そもそも東照宮鎮座以前から日光は修験道の聖地であり、弘法大師も慈覚大師も来たとかの伝承がある。その中心は瀧尾神社で、東照宮から稲荷川に沿っての参道をほぼ1時間歩いて行く。ここにも龍穴があり瀧がある。東照宮の喧騒が嘘のような静寂の中に本来の聖域を感じることができるそうです。ここも機会があればと思うのですが、残りの人生で日光は機会があるかどうか。
こうして読んで行くと伊勢とか熊野は何と聖地が多いことか。今までに行ったところも多いのですが、物見遊山の観光客として祈りを捧げる場所までで、奥の院とか知られていない聖地には無縁でした。ちなみに愛知県はリストに載る聖地はありません。
この本で出てくる山形県の立石寺、島根県の出雲神社、高知県の足摺岬、那智神社などは行った事があるのですが、単なる観光客として何ら考えなく通過しています。
伊勢熊野なら日帰りか一泊で行けるので、今度行くときにはこの本片手に絶対奥の院まで行ってみようなどと思うのですが、一人ならともかく一緒に行く酔狂な人は私の周りには見当たらないような。
出羽三山とか宇佐・国東半島、阿蘇・高千穂とか吉野・高野山とかは機会があればと思いつつその機会がないまま高齢者になってしまいました。それでもまだ何とか歩けるうちに行けるところは行けたらと思うのですが、一人旅だと一人で食べる夕飯がわびしいのが難点です。
一緒に借りたのは今野敏の東京湾臨海署安積班シリーズの「炎天夢」。テレビドラマにもなっているシリーズです。あまり何をする気にもならない時でもサクサク読めるので重宝しています。シリーズでもう何作かになっているのですが、記憶力減退している中で題名だけでは読んだかどうかが定かでなくなっているのが難点です。でも安積班の面々の個性的な姿と活躍、敵役となる対抗意識丸出しの同僚、本庁の刑事とのやり取りはどこの職場でもありそうで読んでいて引き込まれてしまいます。おかげで途中でやめられずに半日で読了してしまい、有り余る暇をつぶすのには一時しのぎ。安積班では小太りの動作がのろげな、それでいて判断力と言うか勘が鋭い須田刑事が魅力的で、確かドラマでは塚地が演じていたと思うのですが、イメージ通りですが、欲を言えばもう少し若ければいいのですが。それにしても東京湾臨海署では当然ながら小説の新刊が出るたびに殺人事件が起きるのですが、世の中殺人事件はそんなに多くないよね。

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養老孟司「日本のリアル」

2020-11-19 14:19:07 | 
養老先生の対談集です。
家族の食卓、農業、漁業そして林業の関係では知る人ぞ知るという4人との対談です。

正直4人の内畠山重篤さんは知っていたのですが、あとの3人については知りませんでした。でも対談を読んでみると目から鱗と言うか新しい知見に知的好奇心を刺激されました。この4人の人選は養老さんではなくて編集部なのでしょうが、養老さん自身が知古の方もいて話はうまくかみ合って盛り上がった感じです。
それでは順番に簡単に紹介してみます。
まずは岩村暢子さん。1998年から毎年「食DRIVE」と言う子どもを持つ主婦に1日3食1週間分の食卓を写真と日記で記録してアンケートと個別面接してフォローするという調査を行っている。そこから見えてきたのは家族や家庭の変容。家族がそれぞれますます「自分」を大切にし、個を優先するようになっている。「バラバラ食い」や「勝手食い」が増えている。今や御馳走とはそれぞれが好きなものだけでお腹を一杯にできることとなってしまった。ビュッフェとか回転すしが人気に出ています。今や子供が13歳あたりになると親子の役割があいまいになって、むき出しの「個」と「個」の関係になってくる。家族がクリスマスなどのイベントでかろうじて結びついているのだが、そのイベントも最近は低調になってきている。家族と言う共同体と言うか、最も密接な人間関係が内側から怪しくなってきていて、それは家庭の食事と言う日常そのものに現実がなくなってきている。
家族についての二人の論考は興味深く、家族にとどまらずこれからの日本社会のあり様について示唆に富んでいます。
次は岩澤信夫さん。私は知らなかったのですが「不耕起栽培」を推進した人です。残念ながら12年5月に亡くなっています。その半生は試行錯誤をしながら不耕起栽培を広めていくもの。バイタリティ溢れたその活動には瞠目します。不耕起栽培を普及するためには三菱農機とか伊関農機と言う農業機械メーカーに掛け合い専用の田植え機まで開発している。不耕起農法は冷害があっても従前並みの収穫を得ていて、1993年の大冷害の年にその差を見事に実証していた。その様子は「究極の田んぼ」と言う本になっている。それにしても不耕起冬季湛水栽培が普及すると農薬も肥料も売れなくなって困るから慣行農法に拘泥しているとすると農協はもはや時代に合わなくなっていて役目は終わったと言い切っていますが、12年時点でそう言い切ると農村では敵を多く作るでしょうね。
3人目は畠山重篤さん。カキ養殖漁師が森に木を植える運動を行ったということで話題になり私自身も紹介記事を読んだことがあるので、この本の4人の中で唯一知っていた人です。森と川と海は繋がっていて、広葉樹林と鉄分が海の生物を育てている。だからこそ漁師が森に木を植えるのだと。ダムは森の養分を止めてしまうので、ダムが必要ならば海までを視野に入れた設計思想で作るべきと言っています。防災の観点からダム見直しの見直しが言われていますが、災害から短絡的にダムと言うのではなく多角的な検討が必要なんでしょう。ところでフランスで養殖されているカキは今は宮城県で生産されている「宮城種」と言う種ガキが輸出されたものとか。その縁で大震災の際に最初にカキ業者に支援の手を差し伸べてくれたのはフランスだったとか。 
最後は鋸屋茂さん。日本には健全な森林、健全な気に対する定説がなく科学的な林学がないと言い、健全な森にすべく科学的な密度管理に基づく間伐法「鋸屋間伐」を提唱している。人工林の間伐は健全な生態系を保つために行うもの。具体的には1ヘクタール当たりの胸高断面積合計と言う数値を目安にして、1ヘクタール当たりの木の本数を管理していけばいいというのが基本です。残していく木に将来性があるかどうかは素人が選んでも、プロが選んでも答えはほぼ一緒とか。もう一つ鋸屋さんが開発したのが木を伐らずに枯らせる間伐法「巻き枯らし間伐」を開発。無理して搬出してももうけにもならないしので、伐り置きにすれば作業効率も安全性も高まり土留め効果をもたらし、下層植生の回復にも役立つといいことづくめ。林業はもうからないというが、作業効率を高め、正しく無駄のない仕事をすればちゃんと採算が合うというのは頼もしい限りです。以前、三重県の速水林業の社長の話を読んだのですが(このブログにもレヴューしています )、きちんと創意工夫をして効率化すればちゃんと事業継続性も将来性もあるのです。問題はそういうことのできる人材をどうリクルートしていくのかかもしれません。
一緒に写っているもう1冊は逢坂剛の「墓標なき街」、百舌シリーズの最新刊、と言っても2015年刊ですけどね。「百舌の叫ぶ夜」から愛読していたのですが、暫し間が空いてほとんど内容を忘れてしまっていたのですが、登場人物はなじみがあり、話のところどころにそれまでの事件の振り返りがあったりして読み進めていくと、そう言えばそういう場面もあったかと思いだしつつの読書でした。相変わらずグイグイ引き込まれてしまいますが、ちょっと荒唐無稽な面が引っかかるところも。
それでも新たな登場人物も出て来て、最後にすべて解決とはならず、まだまだ続編がありますよと言う終わり方。お楽しみはまだまだこれからもです。
続編はいつ出るのか、ひょっとしてもう出ているのでしょうか?
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11月14日熱田神宮公園テニスコートの後は

2020-11-17 07:06:03 | テニス
終わって、ハイリスクですけど感染しても職場には迷惑をかけない高齢者3人で「山葵」へ。

開店直後の17時ですが、既に家族連れ4人の先客がテーブルに。奥のもう一つのテーブルに3人で着座。
1059さんとタケちゃんマンはとりあえずの生ビール。私はコートでビールを飲んできたこともあって、お酒にします。

ここの日本酒は飛騨田古川の渡辺酒造のお酒なのですが、今回は飲んだことがない「田んぼ」に。
飲み物と突き出しはすぐに出てきました。
料理は入り口の黒板に書いてあった「カツオのたたき」と「飛騨野菜のてんぷら盛」を。
もう一つ「大人のポテトサラダ」。

ポテトサラダは比較的早く出てきたのですが、次がなかなか出てこない。
ポテサラを食べてしまってビールも飲んでしまうと手持ちぶたさで、ちょっとイラつきます。
狭いお店(テーブル2つにカウンター)で二人で全部やっているので大変でしょうがお客は2組だけ。カツオのたたきぐらいは、ここで藁焼きするわけでもないでしょうし、切るだけではと思うのですが、手際の問題?
ビールを飲み終えた頃にカツオのたたきがやっと出てきました。

ニンニク醤油かポン酢でと言うことでしたが、全員ポン酢に。
こうなればお酒を追加するしかない。
蔵元の隠し酒を正2合をおちょこ3つで。ここはおちょこはたくさんの種類から各自選べます。

こうやって堂々と出しているのですからどこが隠し酒なのでしょうか?
確か先日バローでも見たような。もっともバローは岐阜県の東濃本社なので飛騨古川の渡辺酒造のお酒の品ぞろえは充実しているんですけどね。
飲んでいるうちに飛騨野菜のてんぷら盛り合わせが出てきました。

見た目ではよくわからないものもあって、これは何だと言いながら美味しく頂きます。
〆に何かご飯ものをとも思ったのですが、ここは大きなカキフライに。ちょうど3個盛なので一人一つづつです。

もう少し飲みたいような気分でしたが、1059さんはお酒はもういいというし、タケちゃんマンにはあまり勧められないので、ここでお茶をもらいお勘定に。

お勘定は7590円。一人2500円で私が90円を出しておきました。
お店は密集ではなかったし、テーブルは大きかったので密接でもなかったのですが、久しぶりのテニス終わりの飲み会で相変わらずの馬鹿話でそれなりに大声を出していたような。でも飲んだり食べたりする時だけマスクを外して、話をするときはマスクをしてと言うのは、ちょっと、ちょっとと言うか、そこまでしなくていけないかと言う感じで、現実的ではないのでは。


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11月14日熱田神宮公園テニスコート

2020-11-15 21:48:21 | テニス
先週は雨でテニスは中止。11月になって一度もテニスをやっていないのですが、今週も予約が取れずにテニスはできない予定。
テニス(と言うか終わってからの飲み会)の間が空くと妙に寂しいもので、何とかならないかと思ってダメもとで県と市のシステムを見て突然空いたコートがないのか見てみたら、熱田神宮公園のBコートが空いていました。13時から15時だけは予約が埋まっていましたが、あとの時間帯は空いている。午前中は私の野暮用があるのですが、15時から17時ならば大丈夫。天気予報も秋晴れで暖かいと言っているし、急遽メールの一斉送信をして参加できるかどうか問い合わせをします。
果たしてえみちゃんにはげ親父1059さんと参加できるとの返事がありました。ヤッターマンはこのコロナの第三波で名古屋に出てくるのは自粛するみたいです。ゆうこりんは子どもの都合とかで無理とのこと。それでも何とか4人は確保できたのですぐに予約を入れた次第です。
当日は天気予報通りの晴天。早めに家を出たのですが、地下鉄の出口ではげ親父とばったり。はげ親父に手続きをお願いして私は時間があるので白鳥公園を散策してから行くことに。

ダヴィンチの騎士像に西日が差しこんできらめいています。
今までほとんど気にしていなかったのですが、デザイン博の時に鹿児島から持ってきた「あこう」の木は大した迫力で、青空のしたで存在感を出しています。

公園をフラフラしてから橋を渡ってテニスコートに来ましたが、橋の上から名古屋駅の高層ビル群方面を見ても空は雲一つない快晴。

風もあまりなくて急遽予約を入れてよかった、よかったと実感。
さて公園を逍遥してからコートに行くとタケちゃんマンが座って待っている。程なく、えみちゃん、1059さんも登場して私とはげ親父を合わせて5人に。
早速5人でボレーとストロークに分かれて乱打を行います。
一回りしてから休憩してビールを一杯。それからじゃんけんして試合になりますが、5人でもじゃんけんがなかなか決まらないのは息が合わない証拠か?
最初の試合はえみちゃんと組んではげ親父、1059組と対戦ですが、久しぶりなのか私もえみちゃんも絶不調と言うかミスを重ねて1ゲームを取るのがやっとで1:3の負け。どうもえみちゃん得意のロブをライン際にが決まらず、足も最近は走っていないようなので動かないとか。
試合の合間に休んでいると風もなく色づいた樹々が鮮やかです。コート横の銀杏の黄色は本当に見事です。

手持ちのデジカメの写真ではその鮮やかさが分からないでしょうけどね。
次の試合ははげ親父と組んで1059、タケちゃんマン組と対戦。相手の暴走気味のホームランにも助けられこの試合は4:0の完勝。
この日ははげ親父の他にえみちゃんもビールを持ってきてくれて、つまみのイワシの焼き干しとかもあって、いただきます。

ほろ酔い加減で次の試合はタケちゃんマンと組んで1059、えみちゃん組と対戦。この試合は一進一退の展開で相譲らず2:2の引き分け。
この時点で16時30分近く。日はかなり傾いてきて、動いていないとさすがにちょっと肌寒くなってきました。ボールもちょっと見え辛くなったので、タケちゃんマンは帰り支度しだすのですが、最後の1試合が残っていると言うことで1059さんと組んでえみちゃん、タケちゃんマン組と対戦。ここは帰り支度のタケちゃんマンに負けるわけないと思っていたら、私も1059さんもかなり疲れていてえみちゃんだけがだんだん良くなる法華の太鼓で妙に元気で3ゲームを連敗。最後の1ゲームをかろうじて奪取するも1:3の負け。
終わってコート整備をして帰るのですが、この時点で16時50分過ぎ。太陽は大学の建物の陰に隠れて、かなり薄暗くなっていることが写真でわかるでしょうか?

この日ははげ親父は飲みに行かずに直帰。実はえみちゃんは飲みに行ってもいいかなと思っていたそうですが、旦那からリタイアしたプー太郎は何にかかっても支障はないだろうが、まだ現役なんだからダメと言われたとか。現役の人はいろいろ気を遣うことがあって残念でした。

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桐谷さんには遠く及ばないけど「優待生活」

2020-11-10 07:01:04 | Weblog
桐谷さんには遠く及びませんけど、一応優待狙いも含めて株式投資はやっていて、この秋から年末に向けて優待品が届きます。
株式投資としては、優待狙いなどと言うのは邪道だろうし、利益がでれば配当を充実するのが本来の在り方と思うのですが、市販されていないものを入手出来たり、自分が投資した会社の店の優待券が送られてくるとお店に行って優待以上の利用をして会社を応援したくなるものです。
年末にはまた塩カズノコとか明太子が届くはずなのですが、今のところ届いた優待品を紹介します。
まずは三光マーケティングフーズの優待品。実はこの会社は「金の蔵」などを経営している会社。本来は店で使える優待券が6千円分来るのですが、居酒屋業態は浮沈が激しく、「東京チカラめし」で大コケしたこともあってこのところ経営再建中。名古屋にあった金の蔵も閉店してしまい、優待券の使い道がありません。そういう場合は優待券6枚でお米と引き換えることができます。

新潟県魚沼産コシヒカリが4キロ。新米です。
実はかみさんも優待狙いでこの株を持っていて、それはもう一つの引換先でレトルトカレー15人分と交換しました。

好みの問題ですが、私には少し辛目でもう少しごろっとした肉が欲しいところですが、辛いのが好きなかみさんはこのカレーがいいみたいです。
ところで三光マーケティングフーズは、業績は悲惨で、優待品はいいのですが、赤字で無配。株価もメロメロで含み損を抱えています。優待品につられて売り時を失しているのかもしれません。
次は稲葉製作所です。ここは地味に図書カード。

この会社は一応配当もあり黒字ですが、株価はさえない。
次は伊藤ハム米久ホールディングの優待品。実は米久の株を持っていたところ伊藤ハムと合併して、そのまま伊藤ハム米久ホールディングになったものです。

保有株数のよって変わるのですが、我が家にはロースハムとベーコンが来ました。

どちらも大変美味しくて、ロースハムは分厚く切ってハムステーキにしました。ベーコンも分厚く切って焼くもよし煮るも良しで満足、満足。
もう一社は「大黒天物産」名古屋ではなじみがありませんが岡山本社の中国地方中心に展開するスーパー。業績は好調で株価は買った時から倍以上になっています。単元株しか持っていないのですが、もっと買っておけばよかったと思う数少ない株。
ここの優待品は毎年ブドウのピオーネ。

なんでも岡山の特産みたいですが、一房が3千円相当とか。そんな高いブドウは食べたことなくて、この優待で初めて食べたのですが、こんなおいしいブドウがあったのかと瞠目。まあ、美味しくても値段が値段なので自分でお金を出して買うことはないと思いますけど、一年に一度の楽しみです。

ところでいいところばかりでなくて、ダイコク電機は今年から優待制度は廃止になってしまいました。曰く配当を重視したということで、それは正論。ダイコク電機の業績はパチンコ業界の動向次第なのですが、このコロナ禍で業界が目の敵にされたこともあって落ち込みは大きい。V字回復も難しいとなると優待制度の廃止もやむを得ないか…ただ、優待制度は個人株主を引き付けていたので、それを見直すと株価は大幅に下がるのはやむを得ない。優待はなくなるは株価は下がるはと言うことで踏んだり蹴ったりです。

今年は昨年未使用の優待ポイントだけがわずかに使えます。なんだかな~
それでも12月には、魚喜からは塩カズノコが、魚力からは明太子が届く予定ですし、ほかに食事券とかクオカードをもらえるところもあって配当と違ってノータックスです。今までの人生でお中元とかお歳暮とかに縁のない生活だったので、この時期に来る優待品を個人株主のひそかな楽しみとしている優待生活です。
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宮部みゆき「昨日がなければ明日もない」「荒神」

2020-11-08 07:05:44 | 
硬い本を読んでいると合間に宮部みゆきの小説を無性に読みたくなる。読みだすと止まらなくてグイグイ読めるのですぐに読み終えてしまうのが欠点でしょうか。人気作家なので新刊が出るとすぐに予約殺到で、この本を借りるのに予約して順番待ちに何か月か掛かっています。すぐに読み終えてしまうので、次の予約をするのですが、また順番待ちなんですよね。
「昨日がなければ明日もない」は杉村三郎シリーズの最新刊。最初は逆玉の輿で大企業の広報室勤務だったのですが、紆余曲折があって今はしがない私立探偵になった杉村さん。

中編3篇からなっていますが、テーマというか設定は結構重たくて暗い。
「華燭」については話の展開がちょっとあり得ないというか現実味が感じられなかった設定だったので、イマイチ感情移入できませんでしたけど、杉村さんと彼の事務所の大家夫人とその周辺の人間関係と描写でそれなりに面白く読むことが出来るのですけど、これは作者の力量でしょう。
他の2編ですけど、まずは「絶対零度」
体育会系マッチョ集団のアンシャンレジームが巻き起こす事件。依頼を受けた杉村さんが飛び回って事件を解明していきます。私自身は体育会系の上下関係には嫌悪感しか感じないのですが、軟弱な運動音痴の文科系(と言うほどの文化はなかったですけど)だったからか。いまだにそんな世界に嵌まっている人がいるのかと思うのですが、日大アメフト部事件とか高校部活の監督コーチによる暴力事件も後を絶たないことからまだまだそういう文化は残っているのか。ここに出てくる夫のそういう世界に引き込まれ、そこから離れることができない妻と言うのは何時代に生きているのかと思うのですが、引き込まれて読んでいると説得力があって、現実にまだまだありそうに思えてきます。
この本の題にもなっている「昨日がなければ明日もない」
自堕落で浪費癖があり、あちこちに勝手なクレームをつけて周囲に混乱と迷惑をまき散らす毒親。負の連鎖でゆがんだ性格の娘。この本に出てくるような毒親は小説だからと思われるのでしょうが、かつての同僚に児童相談所のケースを仄聞するとこの程度の毒親は決してレアケースとは言えないのが悲しい。そんな親に育てられている子供も悲惨ですが、その親子に振り回される子ども、保護者、保育園、幼稚園、学校も疲れ果て消耗し、やってられなくなる。そんな親から依頼された件の顛末がストーリーなのですが、嫌悪感しか感じない毒親をありそうに感じてしまうところに怖さを感じてしまいます。
この2編、いずれも寛容と忍耐と誠実な対応で問題人物が悔い改めればハッピーエンドになるのですけど、最後はどちらかと言えば救いのない不幸な結末です。それだけに読後の余韻が残るのですが、不幸な連鎖がどこかで立ち切れ再生の道があることを願ってやみません。
もう1冊、宮部みゆきの「荒神」

これはだいぶ前に朝日新聞で連載されていたもの。当時朝日新聞では真っ先にこの小説を読んでいました。単行本化するにあたって大幅加筆となっていましたが、かなり以前(6~7年前?)のことなのでどう加筆したかは全く分かりませんでしたけど。
東北の山深い隣り合った藩の境界を舞台に、人を襲い食らうことで巨大化していく不気味な怪物、その物の怪を必死に退治しようとする人々。その怪物の正体は何で、どうやって封じ込めることができるのか。進撃の巨人のような話ですが、これまた読みだしたら止まりません。
一緒に写っているのは今野敏の「臥龍」ですが、これまた読みだすと止まらない。ハマの用心棒シリーズなのですが、少し読んで気が付いたのですが、これはもう読んでいた。でも最近記憶力の低下著しい私としては話の展開は大体分かっても細部の記憶は全くなく新鮮な気持ちで読み終えることができました。
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