青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

この情景をいつまでも

2019年03月02日 17時00分00秒 | 弘南鉄道

(構内除雪中…@石川駅)

中央弘前行きを先にやったラッセル編成、いったん大鰐方面へバック。ホイッスルを一発鳴らし、今度は上り線の除雪を開始します。操作する係員さんが慎重にフランジャーを下げ、ホームと逆側のウイングを開きます。東急7000もスノープロウを備えているのである程度の雪は弾き飛ばすことが出来ますが、深く刻まれた雪の轍を削り取るのはやはり専門職であるキ105の出番ですね。構内除雪なので非常にゆっくりとしたスピードで、ズリズリズリ…と雪を押しのけて行きます。


乗務する係員は目視で2名、おそらく前方確認およびそれぞれが左と右のウイング操作を担っているのでしょう。基本的にキ105が出来るのは前面のフランジャーの上げ下げとウイングの開閉だけで、線路の雪を「けずる」「どかす」以外は不可能のシンプルな除雪車です。それでも長年ここで活躍出来ているのは、津軽の雪質が軽くて乾いていることや、路線が平坦でそう大きな勾配がなく、雪の溜まりやすい掘割などがないからじゃないですかね。新潟とか上信越の水っぽい重い雪とか、谷あいの線路に雪が吹き溜まるような山岳路線だと、やっぱロータリー車で「投げ飛ばす」除雪が必要になってくると思うのでね。

 

ラッセルは上り線で出発待ち。おそらく大鰐行きが着いたら即座に発車して行くと思われますので、石川駅での撮影会はそろそろ切り上げて先を急ぎます。急ぐったって駅の周りは住宅街の雪道ですから、とにかく事故だけは気を付けて運転しないといけません。この時期ならではなんですけど、「この道を通って追っ掛けよう」なんて思ってても除雪が入ってない道が結構ありますからね。基本的には大きい道を大回りしていくルートで考えてた方がいいと思います。


先回りして、朝方ロケハンしておいた石川~義塾高校前間の石川高架橋へ。雪も止み、明るさの見えてきた空の下を行くラッセル編成。高架橋の上に積もった雪を豪快に削り飛ばし、滝のように降らせながら進んで行くその姿に、思わずシャッターの回数が弾みます。「弘南冬の大瀑布」とでも言いましょうか…


美しい放物線を描いて落ちて行く雪が、雲間から零れて来た朝の陽射しにキラキラと輝く情景。大鰐線ラッセルは、この石川高架橋を除雪していくシーンがまさしく白眉ではないかと思っていたので、その姿を収められたことに静かに心でガッツポーズ。いつ走るか分からないし、逢えるかどうかは気象条件とその時の運次第。狙って撮れるもんじゃないだけに、本当に鉄神様に感謝だよなあ。

「日本のいつまでも残したい鉄道情景」とかあったら、絶対にノミネートしておきたいワンシーン。
そんな情景が、いま目の前を過ぎ去って行きました。
コメント
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