青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

春の風 集めて爽し 山ノ内

2021年05月15日 17時00分00秒 | 長野電鉄

(林檎追分@夜間瀬~上条間)

夜間瀬の神社裏から、扇状地の果樹園を登って行く鯨編成。前にリンゴの花弁を置いてみましたがいかがでしょうか・・・もうちょっと光の加減が良ければ花がふわぁっと広がって絵になるのではないかと思うのだけど、ちょっと暗かったですかね。それにしても、リンゴの花は咲けば白いのだけど、蕾の時は赤くてそれ自体が姫リンゴとでも言うような色彩をしている。こういう事も、間近で見てみないと気が付かないものだ。

土曜日の鯨も、山ノ内の人々を街へ運ぶ。ジャージ姿の高校生、中野立志舘高校の生徒さんだろうか。同じ中野~湯田中間には長電バスも走っていたりして、本数の少ないこの区間の流動を相互補完するような感じになっています。バスはフットワークの軽さを活かして途中でイオン中野店に寄ったりもしますが、信州中野の街も駅周辺よりバイパス沿いのイオンの周辺の方が圧倒的に栄えており、高齢者の買い物需要を考えれば、利便性はそちらの方が上かもしれないですね。

高社山の麓を走る山ノ内線、駅や橋梁以外は40パーミルの急勾配。抵抗制御の昭和の車両にとっては、登るにも下るにも床下の抵抗器からメラメラと陽炎が上がりそうな坂道。標高366mの信州中野から600mの湯田中まで、こんな急勾配に線路を敷いたのも、ひとえに湯田中・渋への温泉客の需要と、その奥に広がる志賀高原の開発を目論んでのこと。勾配標を横に見て、ひらりと左にカーブを切って泳いで行った鯨編成。夜間瀬のホーム脇に咲いた菜の花にも、春の装い。

お馴染みの上条農免踏切から。リンゴの花弁をかき分けて、鯨がのっそり山登り。少し高くなって来た日差しの中を。また暖かさで花もほころぶ山ノ内界隈、そう刺激的なカットはありませんが、広角のレンズを使ってあまり気張らずに普段通りの姿を一枚ずつ、春らしいカットを収めて行くのは良いものです。ギチギチに画角一杯に車両を入れ込んで、カッコいい!と思わせるカットも撮ってみたいけど、基本的には画角に季節や街の情景を入れ込んで列車と合わせて行くのが好き。ただ合わせるだけじゃなくて、構図の中でアイテムをどうバランス良く配するか・・・?とか、光や風を読みながら尽きぬ疑問を自問自答して行くところ、この趣味の面白いところかと思います。

コメント
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