青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

いつまでも あると思うな 8000系。

2022年07月10日 21時00分00秒 | 東武鉄道

(国境の大河を渉る@東武野田線・南桜井~川間間)

ある晴れた日曜に、ふと思い立って訪れたのが東武野田線。今まで野田線なんぞを撮影の対象に選んだ事はほぼなく、どこで撮ろうか逡巡したのでありますが、先日の南海本線じゃないが「迷ったら大きい鉄橋に行け」というセオリーにのっとって、春日部の先にある江戸川橋梁まで行って来ました。家を朝早く出て、現地到着までクルマで2時間以上、神奈川からだと予想以上に遠い野田線。大きな大きな関東平野のど真ん中、埼玉県と千葉県の間を滔々と流れる江戸川は、徳川幕府による利根川の東遷(銚子方面への流路変更)に伴い作られたもの。それまで利根川から色々な支流に分かれて東京湾に流れ込んでいた大小の河川を、千葉の関宿にて本川から分流する形に一本化したもので、広い意味では開削された人工河川という事が出来ます。既に改修から400年の歴史を経て築かれた広い氾濫原は、かつての坂東太郎の名残りを留めるには十分な川幅。単線ながら威風堂々としたトラスを、最新鋭の60000系が渡河して行く。

んで、何で野田線なの?って話なんですが、東武電車の永遠のスタンダード、8000系がかなり少なくなっているのではないか、というのが気になってましてね。公式から正式に「引退します」って言われてからじゃ遅いんで、この手のモノは早目の対応が一番。近くで東武8000系を捕まえるなら亀戸線?とかなんですけど、あそこだと2連になってまうんでチト寂しい。そうなると、やっぱ6連運用になる野田線に行くっきゃないかって事になるんですけど、炎天下の江戸川の土手で三脚出して列車を待っても、顔を出すのは60000系と10000系ばかり。頭をジリジリ焼かれながら待つ事小一時間、やっとこやって来た8000系を慎重に切り取りましたが、本当に数が少なくなった事を実感しましたね・・・

先日発表された東武鉄道の設備投資計画によれば、野田線は「コロナ後の新しい利用状況を踏まえ」て、現在の6連→5連に減車するのだそうで。そうなると、今の6両固定で使用している8000系から中間車を抜いて・・・みたいな面倒はかけず、8000系は順次淘汰した上で、60000系の6連から中抜きした中間車に先頭車両をくっつけて5連を作るほうに舵を切るのではないかと思われます。8000系についてはさすがに経年劣化もあるだろうから、館林から北のローカルに転用って話にもならないでしょう。トロリとした静かな川面に夏の青空が映る江戸川の岸辺。轟音と共に走って行く8000系。先代が纏ったセイジクリームが「昭和の東武色」なら、この新8000系が纏う白いボディにさわやかな二色のブルーのラインはさしずめ「平成の東武色」と言ったところか。

そうそう、私がこの現場に馳せ参ずる直前、東武野田線の野田市の駅に止まってた8000系車内で液体が撒かれたなんて騒ぎがありましてね。車内にいた女子高生が体調を崩して緊急搬送された・・・なんて聞いてすわテロか!と思ってしまったんですけど、よくよく後日情報を拾ってみると、洗車の際に発生した汚水(洗剤かなんか)が車体の隙間から染み込んで車内に漏れ出ただけ、という「それって8000系がボロイだけなんじゃねーの?」という悲しい事実を持ってファイナルアンサーとなってしまいましてね。これはひょっとして、いやひょっとしなくても「野田線の8000系の置き換え圧力」というのはさらに強まらざるを得ない、何ともトホホな何の事件性もない案件として決着してしまいました。いやもうね、こうなったらさっさと撮りに行ってみんな春日部の駅のホームで東武ラーメン食べようぜって気分にはなるわなあ・・・(笑)。

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