司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

資本金の額の構造

2006-07-20 11:01:19 | 会社法(改正商法等)
 会社法では、設立時発行株式の数は、定款の絶対的記載事項ではなく、出資の状況に応じて発起人が決定することができる(会社法第32条第1項第1号、第58条第1項第1号)。そして、資本金及び資本準備金の額に関する事項を定款又は発起人全員の同意で定めるものとされ(会社法第32条第1項第3号)、発起人等の引受・払込担保責任に関する規定は置かれていない。したがって、いわゆる打切り発行が可能となり、設立時の資本金の額は、ある意味発起人が決定する構造となっている。

 設立時の資本金の額は、会社法第445条及び会社計算規則第74条の規定に従って計上するのであるが、払込み又は給付に係る額の2分の1を超えない額は、資本金として計上しないことができる(第445条第2項)。「できる」とあるが、会社法の下では、最低資本金規制が廃止されているので、実務上は2分の1を資本金として計上せず、資本準備金として計上するのが通例となろう。登録免許税が節減できるし、将来欠損填補が必要となったとき、資本金の額の減少によれば、債権者保護手続(第449条第2項)が必要であるが、資本準備金の額の減少によるのであれば、債権者保護手続が不要である(同項ただし書)等の効用があるからである。なお、登記において、資本金の額の計上に関する書面を添付する必要がある(商業登記規則第61条第5項)。

 また、資本金の額が大きくなるほど、課税上も相対的に不利な面が多い。資本金の額は、必ずしも大きい方がいいわけではないのである。

cf. http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/zaimu/rensai/zeikin.cfm?i=20051215kin02z5
※会社法施行前の内容であるが、概要は把握できる。
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