司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

法務大臣閣議後記者会見「民事裁判の全面IT化に関する質疑について」

2018-04-05 18:05:34 | 民事訴訟等
法務大臣閣議後記者会見の概要(平成30年4月3日(火))
http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00991.html

〇 民事裁判の全面IT化に関する質疑について
【記者】
 政府の有識者検討会が先月30日,民事裁判の全面IT化を求める提言をまとめました。法制審議会への諮問も視野に入れた検討・準備についても言及されていますが,大臣の受け止めをお聞かせください。

【大臣】
裁判手続等のIT化については,先月30日に内閣官房に設置された「裁判手続等のIT化検討会」において,その検討結果が取りまとめられたものと承知をしています。この取りまとめにおいては,民事裁判手続の基本である民事訴訟一般を念頭におき,裁判記録の全面的な電子化を前提とする「裁判手続等の全面IT化」を目指すとの基本的方向性が示されたところです。
 具体的には,民事訴訟における「3つのe」として,1点目は「e提出」,これは訴状や準備書面についてオンラインでの提出を可能にするもの。2点目として「e法廷」,これはウェブ会議等を通じて裁判手続に参加することを可能とするもの。また3点目として「e事件管理」,これは訴訟記録にオンラインでアクセスできるようにするもの。この「3つのe」の実現を目指す様々な取組ということです。その上で,民事訴訟制度を所管する法務省においては,2019年度中の法制審議会への諮問を視野に入れ,この「3つのe」の実現に必要な法整備に向けた検討・準備を行うことが望まれるなどとされています。
 近年のIT技術の発展は大変めざましいものがあり,民事裁判手続の効率化・迅速化を果たし,また利用者に対してもサービス向上を図るといった観点から,民事裁判手続におけるIT化を推進することは大変重要と考えています。法務省としては,この取りまとめ結果等を踏まえ,法制審議会への諮問についても視野に入れつつ,関係機関等の協力を得て,司法権の独立にも十分配慮しながら,まずは法整備に向けた検討等の取組を速やかに進めてまいりたいと考えています。

cf. 平成30年3月30日付け「裁判手続等のIT化に向けた取りまとめ」
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法務大臣閣議後記者会見「司法外交に関する質疑について」

2018-04-05 18:03:33 | 国際事情
法務大臣閣議後記者会見の概要(平成30年4月3日(火))
http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00991.html

「本年度に新設された大臣官房国際課が,昨日から業務を開始しました。私は前回法務大臣を務めた後,自民党の司法制度調査会長として,法の支配などの普遍的価値を国の基本に掲げて培ってきた日本型司法制度や,法曹人材を国のソフトパワーとしてしっかりと位置付け,法の支配を国際的に浸透させる「司法外交」を国の施策に明確に位置付けるなどの様々な問題提起をしてまいりました。昨年8月3日に再び法務大臣を拝命して以降,この問題提起を今度は行政府の立場で,「司法外交」の基礎となる施策を充実させるべく取組を進めてまいりました。
 国際課は,正に「司法外交」を推進する攻めの取組を行うための司令塔機能を担うものです。同課の新設により,国内外の国際化の進展に伴い,法務省が直面する国際的課題や法務行政の国際化を求める社会のニーズに的確に対応し,司法分野における国内外の施策を総合的・戦略的に推進し,積極的に世界に向けて発信する,まずそのための礎(いしずえ)を築くことができたものと考えています。
 国際課には,法の支配等の普遍的価値の各国への浸透,ひいては持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた積極的な貢献についても,強く期待を寄せているところです。国際課には,国際化の時代や社会の変化に即応し,社会のニーズに積極果敢に応えるべく,これまで以上に積極的な姿勢で,省内はもとより関係省庁や関係団体とも連携し,「司法外交」を力強く推進する主翼の役割を果たしてほしいと思っています。」

〇 司法外交に関する質疑について
【記者】
先ほど大臣から御発言があった司法外交ですが,国際仲裁であったり,東南アジアの国々への支援をされたりしていると思います。今後,具体的に特にどの分野で,どのくらいのスケジュール感で,こういったことを実現したいということがあれば教えてください。

【大臣】
 大臣官房国際課は課長以下20名の体制により,当面の課題として,まず,2020年に開催される京都コングレス(国連犯罪防止刑事司法会議)の準備。開催まで2年ですので,これに力を入れてまいりたいと思っています。
 2点目としては,国際仲裁の活性化に向けた,必要な基盤整備についてもしっかりと取り組んでまいりたいと思います。この間,国際仲裁のセンター化を推進している東南アジアの国々を訪問し,様々な情報交換をしてきましたが,日本の役割,また国際仲裁全体の国際的な指標等も含め,あらゆる角度からこの問題に取り組んでまいりたいと思っています。
 3点目としては,アジア諸国からの評価が大変高い法制度整備支援を戦略的に,かつ,そのニーズに応じてさらなる推進を図ってまいりたいと思っています。また,何よりも人材が大切であるということで,諸分野において活躍できる人材の養成も含め,国際社会の中での人的連携も大変大きな要素ですので,戦略的な国際機関等への法曹人材の派遣を通じ,国際関係業務に関する総合的,戦略的な企画と立案を行っていくことをまず念頭におき,直ちに本格稼働する予定です。

※ 大臣官房国際課の課長は,「商業登記ハンドブック」で著名な松井信憲前商事課長です。
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「不動産譲渡契約書」等の印紙税の軽減措置の延長

2018-04-05 15:15:09 | 不動産登記法その他
 平成30年税制改正により,「不動産譲渡契約書」及び「建設工事請負契約書」の印紙税の軽減措置の拡充特例(租税特別措置法第91条第2項及び第3項)が2年間延長された。

 改正後の規定は,次のとおりである。


第四節 印紙税法の特例
 (不動産の譲渡に関する契約書等に係る印紙税の税率の特例)
第91条 【略】
2 平成26年4月1日から平成32年3月31日までの間に作成される不動産譲渡契約書のうち、当該不動産譲渡契約書に記載された契約金額が10万円を超えるものに係る印紙税の税率は、印紙税法別表第一第一号の規定にかかわらず、次の各号に掲げる契約金額の区分に応じ、一通につき、当該各号に定める金額とする。
 一 10万円を超え50万円以下のもの 200円
 二 50万円を超え100万円以下のもの 500円
 三 100万円を超え500万円以下のもの 1000円
 四 500万円を超え1000万円以下のもの 5000円
 五 1000万円を超え5000万円以下のもの 1万円
 六 5000万円を超え1億円以下のもの 3万円
 七 1億円を超え5億円以下のもの 6万円
 八 5億円を超え10億円以下のもの 16万円
 九 10億円を超え50億円以下のもの 32万円
 十 50億円を超えるもの 48万円
3・4 【略】
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外国への登記上の本社の移転

2018-04-05 10:46:30 | 会社法(改正商法等)
日経記事
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29023270V00C18A4EAF000/

「通信用半導体大手のブロードコムは4日、シンガポールから米デラウェア州へ登記上の本社の移転を完了させたと発表した」(上掲記事)

 日本からデラウェア州に本店移転をする場合で考えると,

(1)デラウェア州で会社設立
(2)日本における会社の解散
(3)日本における代表者を定めて外国会社の登記(会社法第933条第1項第2号)

ということになろう。大仰な話である。外国に持株会社を設立して,その子会社化するスキームの方が容易であろうか。

cf. 日本から香港へ本社移転すること by NOVEL ERA LIMITED
http://novel-era.com/%E3%80%90%E3%80%80%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%8B%E3%82%89%E9%A6%99%E6%B8%AF%E3%81%B8%E6%9C%AC%E7%A4%BE%E7%A7%BB%E8%BB%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%A8%E3%80%80/

ロイター記事「米企業の節税目的の本社海外移転」
https://jp.reuters.com/article/us-firm-avoid-tax-idJPKBN0FD02S20140708

日経記事「本社機能の海外移転とどう向き合うか」
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO85322940W5A400C1PE8000/
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