司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

「合同会社」による社員権の取得勧誘について

2022-06-21 20:56:45 | 会社法(改正商法等)
金融庁設置法第21条の規定に基づく建議について by 証券取引等監視委員会
https://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2022/2022/20220621-3.html

「合同会社制度は、本来、創業段階のベンチャー企業など少人数による事業を行うための会社に適した会社類型として創設されており、不特定多数の者に社員権を取得させることを念頭に置かれたものではない。
 しかし、近年、事業実態が不透明な合同会社が、その業務を必ずしも把握していない多数の従業員(使用人)を通じて、多数の投資家に対し、当該合同会社の社員権に対する出資と称して、不適切な投資勧誘を行っているという外部からの相談や苦情が多数寄せられており、証券監視委の調査の過程においても、そのような不適切な投資勧誘が認められている。

 証券監視委では、金融商品取引法違反の疑いがある場合、金融商品取引法第187条の規定に基づく調査を行い、同法により金融商品取引業の登録が必要な行為が認められた場合等同法違反が認められ、同法第192条所定の要件を充たす場合には、同条の規定に基づく裁判所への禁止命令等の申立てを行っている。

 しかしながら、現行制度では、特定の場合を除き、合同会社の従業員(使用人)による当該合同会社の社員権の取得勧誘は金融商品取引業に該当しないこととなっており、証券監視委の調査権限が及ばず、顧客に説明したとおりの事業が実施されていない疑いがある場合や、適合性の観点で不適切な投資勧誘行為が行われている場合でも、裁判所への停止命令等の申立てを行うことができない状況となっている。

 こうした投資者被害の懸念がある事案が認められている状況に鑑みれば、投資者保護を徹底する観点から、合同会社の業務執行社員以外の者(従業員や使用人)による当該合同会社の社員権の取得勧誘について、金融商品取引業の登録が必要な範囲を拡大するなどの適切な措置を講ずる必要がある。」
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相続の開始を期限の利益喪失事由とするカードローン契約等における規定の検証

2022-06-21 18:14:28 | 消費者問題
相続の開始を期限の利益喪失事由とするカードローン契約等における規定の検証について(要請)by 金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r3/ginkou/20220620/20220620.html

「消費者契約法に基づき内閣総理大臣の認定を受けた適格消費者団体が行った 、同法に基づく事業者に対する差止等の請求に関し、当該請求に関する相手方との間の協議が調ったときは、消費者庁は、当該団体の報告を受け事案の概要を公表することとされております。

 カードローンの契約における規程において、相続の開始を期限の利益喪失事由とする条項は、 同法第10条に規定する消費者の利益を一方的に害する条項に該当し無効であるとして 、当該団体が金融機関に対し 、当該条項を削除するよう求める申入れを行った事案について、26件の事案において協議が調ったとして公表されております(令和4年5月末日現在) 。協議が調った金融機関においては、 顧客本位の観点より、内部の体制整備や保証会社等との調整が整い次第、順次規定を削除する対応を進められていると承知しております。

 このような状況を踏まえ、カードローン等の提供を行う場合には、経営陣の主導のもと、顧客本位の観点から万全の態勢を構築し、下記の点に適切に取り組んでいただくよう、貴協会会員宛に周知徹底方よろしくお願いいたします。

          記
・ 相続の開始を理由に、期限の利益を失ったとして、相続人に対して被相続人の債務の全額を直ちに一括で返済するよう求めない方針を明確化し、顧客に周知すること
・ 方針の明確化及び顧客周知の具体的方法については、カードローン等貸付に係る規定に、相続の開始を期限の利益喪失事由とする旨規定されている場合においては、当該規定の削除等を行い顧客に周知すること」
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未登記の外国会社に過料発動へ

2022-06-21 04:28:16 | 会社法(改正商法等)
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA163EK0W2A610C2000000/

 日本で事業を展開する海外IT(情報技術)大手が法人登記をしていない問題で,

「法務省は6月初旬に、13日までに登記するよう一部の企業に再要請した。それでも登記の意思がない企業には、罰金を取るよう裁判所に求めると通告した。」(上掲記事)

 ついに伝家の宝刀が。

「海外のIT大手が日本で登記をしない理由としては、法人税の負担増への懸念が大きいとされる。このため法務省は、登記した後も日本での代表者の権限に制限をかけることで、税負担の増加につながらない仕組みを認める。」(上掲記事)

 これは,どういうことでしょうか?

「日本の法人税は、事業拠点となる「恒久的施設(PE)」を国内に置いていれば外国企業にも課税できる仕組みを取っている。外国企業が日本で登記をして代表者を置くと、PEの一種の「代理人PE」と税務当局が認定し、課税される可能性がある。
 海外IT大手は事業基盤を日本国外に持つ。日本に課税根拠となるPEを持つとの判断を避けることが、法人登記の壁になっていた。
 法務省は今回、本社登記を求める一方で、当面の課税リスクを避ける手法は容認する方針だ。会社法は代表者に本社を代表して契約を結ぶなど幅広い権限を与えているが、IT企業が日本の代表者の権限に「制限」をかけるという提案を認める。」(後掲記事)

 しかし,この「制限」を登記する制度は,難しいであろう。

cf. 日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA202IW0Q2A620C2000000/

会社法
 (外国会社の日本における代表者)
第八百十七条 外国会社は、日本において取引を継続してしようとするときは、日本における代表者を定めなければならない。この場合において、その日本における代表者のうち一人以上は、日本に住所を有する者でなければならない。
2 外国会社の日本における代表者は、当該外国会社の日本における業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
3 前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
4 外国会社は、その日本における代表者がその職務を行うについて第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。
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