司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

親子関係不存在確認の利益の有無

2022-06-24 18:13:45 | 民法改正
最高裁令和4年6月24日第2小法廷判決
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=91262

【判示事項】 親子関係不存在確認の訴えについて確認の利益があるとされた事例

「上告人は、亡C及び亡Dの孫であり、亡Eの戸籍上の甥であって、亡Bの法定相続人であるところ、本件各親子関係が不存在であるとすれば、亡Bの相続において、亡Eの子らは法定相続人とならないことになり、本件各親子関係の存否により上告人の法定相続分に差異が生ずることになる。親子関係の不存在の確認の訴えを提起する者が当該訴えにつき法律上の利益を有するというためには、当該親子関係が不存在であることにより自己の身分関係に関する地位に直接影響を受けることを要すると解されるところ(最高裁昭和59年(オ)第236号同63年3月1日第三小法廷判決・民集42巻3号157頁参照)、法定相続人たる地位は身分関係に関するものであって、上告人は、その法定相続分に上記の差異が生ずることにより、自己の身分関係に関する地位に直接影響を受けるということができる。」


【事案の概要】
 本件は、上告人(第1審原告)が、検察官(第1審被告)に対し、亡A及び亡Bと亡Cとの間の各親子関係(本件各親子関係)の不存在の確認を求める事案である。
 亡D(被相続人)の相続において、その戸籍上の法定相続人は、亡Eの子である上告人外1名及び亡Cの子ら3名であるところ、上告人は、本件各親子関係が不存在であるとすれば、亡Cの子らは法定相続人とならず、上告人の法定相続分が増加することになるので、上告人は本件各親子関係の不存在の確認を求めるにつき法律上の利益を有すると主張している。

cf. 最高裁判所開廷期日情報
https://www.courts.go.jp/saikosai/vc-files/saikosai/2022/jiangaiyou_03_1463.pdf
コメント

住宅のリースバックに関するガイドブック

2022-06-24 18:06:46 | 不動産登記法その他
「住宅のリースバックに関するガイドブック」 を公表しました
https://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000174.html

「国土交通省では、 住宅の「リースバック」について、有識者や不動産業界団体で構成する「消費者向けリースバックガイドブック策定に係る検討会」での議論を踏まえ、特徴や利用例、トラブル例、利用する際のポイント等を取りまとめた 消費者向けのガイドブックを策定・公表しました 。」
コメント

家族法制の見直しに関する中間試案のたたき台

2022-06-24 18:02:43 | 民法改正
法制審議会家族法制部会第16回会議(令和4年6月21日開催)
https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00137.html

 中間試案のたたき台に基づき,議論されたようである。
コメント

法務大臣閣議後記者会見の概要「外国会社の登記義務に関する質疑について」

2022-06-23 07:56:44 | 会社法(改正商法等)
法務大臣閣議後記者会見の概要(令和4年6月21日(火))
https://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00316.html

〇 外国会社の登記義務に関する質疑について
【記者】
 日本で事業を展開する海外IT大手に対して、日本で法人登記をしていない場合に、政府が罰則手続を取る方針を固めたとの報道がありますが、法務省としての対応状況を教えてください。

【大臣】
 6月3日に、総務省と連名で、総務省に届出がされている電気通信事業者である外国会社のうち42社に対し、6月13日までに登記申請を行うよう求める文書を発出しました。
 この通知を受け、新たに1社が登記を済ませ、複数社が登記の申請に向けて準備中であると承知しています。
 外国会社に対する発信者情報開示請求などの民事裁判手続が円滑に行われるためにも、外国会社が早期に外国会社の登記をすることは重要であると考えています。
 対象となる未登記の外国会社に対して、現在個別に登記を促しているところですが、早期に登記がなされない場合には、過料の裁判を行う裁判所に対する義務違反の事実の通知も含め、関係省庁と連携し、外国会社の登記義務の履行に向けてスピード感を持って取り組んでまいります。
コメント (4)

成年後見制度の在り方に関する研究会

2022-06-23 07:53:16 | 家事事件(成年後見等)
成年後見制度の在り方に関する研究会
https://www.shojihomu.or.jp/kenkyuu/seinenkoukenseido

 令和4年6月7日に第1回会議が開催されている。
コメント

「合同会社」による社員権の取得勧誘について

2022-06-21 20:56:45 | 会社法(改正商法等)
金融庁設置法第21条の規定に基づく建議について by 証券取引等監視委員会
https://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2022/2022/20220621-3.html

「合同会社制度は、本来、創業段階のベンチャー企業など少人数による事業を行うための会社に適した会社類型として創設されており、不特定多数の者に社員権を取得させることを念頭に置かれたものではない。
 しかし、近年、事業実態が不透明な合同会社が、その業務を必ずしも把握していない多数の従業員(使用人)を通じて、多数の投資家に対し、当該合同会社の社員権に対する出資と称して、不適切な投資勧誘を行っているという外部からの相談や苦情が多数寄せられており、証券監視委の調査の過程においても、そのような不適切な投資勧誘が認められている。

 証券監視委では、金融商品取引法違反の疑いがある場合、金融商品取引法第187条の規定に基づく調査を行い、同法により金融商品取引業の登録が必要な行為が認められた場合等同法違反が認められ、同法第192条所定の要件を充たす場合には、同条の規定に基づく裁判所への禁止命令等の申立てを行っている。

 しかしながら、現行制度では、特定の場合を除き、合同会社の従業員(使用人)による当該合同会社の社員権の取得勧誘は金融商品取引業に該当しないこととなっており、証券監視委の調査権限が及ばず、顧客に説明したとおりの事業が実施されていない疑いがある場合や、適合性の観点で不適切な投資勧誘行為が行われている場合でも、裁判所への停止命令等の申立てを行うことができない状況となっている。

 こうした投資者被害の懸念がある事案が認められている状況に鑑みれば、投資者保護を徹底する観点から、合同会社の業務執行社員以外の者(従業員や使用人)による当該合同会社の社員権の取得勧誘について、金融商品取引業の登録が必要な範囲を拡大するなどの適切な措置を講ずる必要がある。」
コメント

相続の開始を期限の利益喪失事由とするカードローン契約等における規定の検証

2022-06-21 18:14:28 | 消費者問題
相続の開始を期限の利益喪失事由とするカードローン契約等における規定の検証について(要請)by 金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r3/ginkou/20220620/20220620.html

「消費者契約法に基づき内閣総理大臣の認定を受けた適格消費者団体が行った 、同法に基づく事業者に対する差止等の請求に関し、当該請求に関する相手方との間の協議が調ったときは、消費者庁は、当該団体の報告を受け事案の概要を公表することとされております。

 カードローンの契約における規程において、相続の開始を期限の利益喪失事由とする条項は、 同法第10条に規定する消費者の利益を一方的に害する条項に該当し無効であるとして 、当該団体が金融機関に対し 、当該条項を削除するよう求める申入れを行った事案について、26件の事案において協議が調ったとして公表されております(令和4年5月末日現在) 。協議が調った金融機関においては、 顧客本位の観点より、内部の体制整備や保証会社等との調整が整い次第、順次規定を削除する対応を進められていると承知しております。

 このような状況を踏まえ、カードローン等の提供を行う場合には、経営陣の主導のもと、顧客本位の観点から万全の態勢を構築し、下記の点に適切に取り組んでいただくよう、貴協会会員宛に周知徹底方よろしくお願いいたします。

          記
・ 相続の開始を理由に、期限の利益を失ったとして、相続人に対して被相続人の債務の全額を直ちに一括で返済するよう求めない方針を明確化し、顧客に周知すること
・ 方針の明確化及び顧客周知の具体的方法については、カードローン等貸付に係る規定に、相続の開始を期限の利益喪失事由とする旨規定されている場合においては、当該規定の削除等を行い顧客に周知すること」
コメント

未登記の外国会社に過料発動へ

2022-06-21 04:28:16 | 会社法(改正商法等)
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA163EK0W2A610C2000000/

 日本で事業を展開する海外IT(情報技術)大手が法人登記をしていない問題で,

「法務省は6月初旬に、13日までに登記するよう一部の企業に再要請した。それでも登記の意思がない企業には、罰金を取るよう裁判所に求めると通告した。」(上掲記事)

 ついに伝家の宝刀が。

「海外のIT大手が日本で登記をしない理由としては、法人税の負担増への懸念が大きいとされる。このため法務省は、登記した後も日本での代表者の権限に制限をかけることで、税負担の増加につながらない仕組みを認める。」(上掲記事)

 これは,どういうことでしょうか?

「日本の法人税は、事業拠点となる「恒久的施設(PE)」を国内に置いていれば外国企業にも課税できる仕組みを取っている。外国企業が日本で登記をして代表者を置くと、PEの一種の「代理人PE」と税務当局が認定し、課税される可能性がある。
 海外IT大手は事業基盤を日本国外に持つ。日本に課税根拠となるPEを持つとの判断を避けることが、法人登記の壁になっていた。
 法務省は今回、本社登記を求める一方で、当面の課税リスクを避ける手法は容認する方針だ。会社法は代表者に本社を代表して契約を結ぶなど幅広い権限を与えているが、IT企業が日本の代表者の権限に「制限」をかけるという提案を認める。」(後掲記事)

 しかし,この「制限」を登記する制度は,難しいであろう。

cf. 日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA202IW0Q2A620C2000000/

会社法
 (外国会社の日本における代表者)
第八百十七条 外国会社は、日本において取引を継続してしようとするときは、日本における代表者を定めなければならない。この場合において、その日本における代表者のうち一人以上は、日本に住所を有する者でなければならない。
2 外国会社の日本における代表者は、当該外国会社の日本における業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
3 前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
4 外国会社は、その日本における代表者がその職務を行うについて第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。
コメント

バーチャルオンリー総会「元年」

2022-06-20 09:17:08 | 会社法(改正商法等)
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB08A6F0Y2A600C2000000/

「2022年3月期決算の上場企業で今回オンラインのみの株主総会開催を表明したのはヤフーを傘下に持つZホールディングスなど6社となっている。」(上掲記事)

 導入には,定款変更が必要であるが,

「バーチャルオンリー総会を可能にする定款変更に対しては「原則賛成」とする機関投資家が多く、これまで否決されたケースはない。」(上掲記事)

累計で300社に達するようだ。
コメント (1)

離婚後の共同親権

2022-06-20 06:44:18 | 民法改正
毎日新聞記事
https://mainichi.jp/articles/20220619/k00/00m/040/184000c

「法務省は、家族法制の見直しを議論している法制審議会(法相の諮問機関)の部会に、離婚した父母双方を親権者にできる「離婚後の共同親権」の導入を提案する方針を固めた。」(上掲記事)

 未だ中間試案の段階なので,果たしてどう議論が進んで行くのか注目である。

 中間試案は,8月を目処に取りまとめられ,パブリックコメントが実施される。

cf. 法制審議会-家族法制部会
https://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003007
コメント

会社法等の研修会

2022-06-19 14:43:39 | 会社法(改正商法等)
 今後の講師等の予定。

 7月 7日(木)某会会員研修会(Webinar)※事業承継
 8月27日(土)某会某ブロック会員研修会(鳥取市)※会社法関係
 8月29日(月)某会某支部会員研修会(大阪市)※会社法関係
 9月18日(日)近司連企業法務研究会(京都市)※会社法関係
12月 3日(土)某会某ブロック会員研修会(京都市)※会社法関係

2023年
 1月14日(土)近司連新人研修(大阪市)※法人登記

 その他,日程未定で3件,オンデマンドのセミナーが1件予定されている。

 先日(5月19日),東京会でWebinar形式での研修会(会社法関係)がありました。東京会も義務化がされたそうで,数多(七百数十名)の受講がありました。

 全国的に,Webinar形式での研修会がすっかり定着した感がありますが,加えて,オンデマンドを併用する方式が今後の定番になって行くのでしょうね。

 近司連では,構成会6会の研修会の一部について,オンデマンドで視聴できるようになっています。
コメント

ベンチャーキャピタルに対して「物言う株主」が取締役全員の退陣を要求

2022-06-17 21:36:40 | 会社法(改正商法等)
日経ビジネス記事
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC155SG0V10C22A6000000/

「東京証券取引所上場の中堅ベンチャーキャピタル(VC)、フューチャーベンチャーキャピタル(FVC)が、経営陣と物言う株主(アクティビスト)の対立の舞台となっている。アクティビストは取締役7人全員の退陣を要求。14日、FVCの筆頭株主がアクティビスト側に付くことが判明した。FVCの株主総会を6月下旬に控え、攻防戦が激しくなりそうだ。」(上掲記事)

 ベンチャーキャピタル(VC)は,成果を出さないと厳しい世界である。しかし,こういう事態は,前代未聞では。
コメント

改正特定商取引法の施行

2022-06-17 21:15:47 | 消費者問題
NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220615/k10013671371000.html

「今月、施行された改正特定商取引法では、注文する直前の画面で、商品の量や、支払う回数や総額、解約する場合の条件などをわかりやすく、最終確認できるよう表示することが、すべての通販サイトに義務づけられ、違反した場合、消費者は契約を取り消すことができるようになりました。」(上掲記事)

 改正特定商取引法は,令和4年6月1日から施行されている。

cf. 特定商取引法 by 消費者庁
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/specified_commercial_transactions/
コメント

整備法と整理法

2022-06-17 16:08:54 | いろいろ
参議院法制局「整備法と整理法」
https://houseikyoku.sangiin.go.jp/column/column028.htm

「「整備法」に似たものとして「整理法」と呼ばれるものがあります。これは、法律の制定改廃に伴って関係法律中の不要となった規定を削ったり、字句を改める等、必然的に行われる改正を内容とするものであり、通常「...(法の施行に伴う)関係法律の整理に関する法律」といった題名が付されます。「国家行政組織法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律」(昭和58年法律第78号)などはこの例です(なお、必然的に行われる改正という域を少しはみ出すような改正を伴う場合には、このように「整理等に関する法律」という題名とされることがあります。)。」

「整理法と整備法とは、もととなる法律の改正に伴い、必然的な字句の整理等にとどまるものか、それとも、実質的な政策判断にまで踏み込んだものかによって区別されます。」
コメント

刑法の改正による司法書士法の一部改正

2022-06-17 15:44:26 | 司法書士(改正不動産登記法等)
官報
https://kanpou.npb.go.jp/20220617/20220617g00129/20220617g001290018f.html

「刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律」(令和4年法律第68号)が本日公布された。

「刑法等の一部を改正する法律」(令和4年法律第67号)の施行期日(公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日)から施行される。

 これにより,司法書士法の一部改正がされる。

 (司法書士法の一部改正)
第十九条 司法書士法(昭和二十五年法律第百九十七号)の一部を次のように改正する。
  第五条第一号中「禁錮」を「拘禁刑」に改める。
  第七十四条、第七十六条第一項、第七十七条及び第七十八条中「懲役」を「拘禁刑」に改める。

cf. 刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/g20809058.htm

「整備」ではなく,「整理」なんですね。
コメント